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9日のオバマ大統領の同姓間結婚の支持表明は、この選挙の最重要課題である経済の焦点がずれてしまい、その反響は1週間続きました。特に、大統領選挙次期にこの大統領の支持表明は、個人の政策ではなく、政治的なものであるとの憶測が目だっていました。この問題について、多少、その背景や理由、政治的意味、11月の大統領選挙に与える影響について考えてみました。同姓間の結婚は、従来、憲法の平等性により、市民権の問題なのか、結婚式を教会などで行うことから宗教の問題なのか、世論も二分していますし、その傾向は今後も続くと思います。宗教団体は、聖書に照らし、同姓間の結婚は認めていないのが現状です。

同性間結婚を許可するかどうかは、州により異なっています。現在同姓間の結婚を認めている主な州は、アイオワ、コネチカット、マサチューセッツ、ニューヨーク、ニューハンプシャー、バーモント、ワシントンDCです。1993年から2001年までのクリントン政権時代は、宗教、社会問題に関して、保守傾向の強い共和党議員にコントロールされていた為、当時の民主党のクリントン大統領は共和党多数派の議会が承認したディフェンス・メリッジ法(DOMA)に、1996年7月署名しました。「結婚とは、一人の男性と一人の女性の法的結合である」ことを定義したもので、同性間の結婚を禁じる ことを宣言したのです。従って、DOMAが各州に同性間結婚を反対する動機と影響を与えました。同性間結婚が認められない州では、男女間のカップルに憲法上保証されている政治的及び経済的権利は、同性間のカップルには与えられていないため、最近は、このような差別に反対し、同姓間カップルを支持する人口層が増えています。

オバマ大統領はこの問題に関して、2009年1月の大統領就任以降ずっと口を閉ざしていましたが、5月9日の突然の表明は、選挙目的もあると思います。対抗者のミット・ロムニー氏はさほど選挙資金には困っていないようですが、オバマ氏は新たな資金源が必要だと言われています。もっともリバラルな世界であるハリウッドの大スターにも支持者が多く、資金を集めるためには、同性間結婚の問題に関しても、自分の立場を明白にする必要があると思います。しかし、8年前、上院議員への選挙運動当時、テレビでのインタビューで、伝統的な結婚を支持する表明を行っています。オバマ大統領は、その後ずっと時代の趨勢を見てきており、2年前には、自分の立場が変わりつつあることを表明しました。米国人の過半数が同性間結婚を支持するようになった現在、支持を公表しても「選挙に影響はない」というのが一般的な見方のようです。数年前から、大半の米国民が、同姓間のカップルの法的保護を支持するようになっている理由のひとつに、特に若い世代が宗教や伝統に縛られず、個人のライフスタイルを尊重するようになったことがあげられます。この風潮は、米国に限らずグローバル的な現象ではないかと思います。オバマ氏は時勢を意識した上での表明であったとも言えるし、ロムニー氏ほどではなくても、オバマ氏も、そのときの情勢と政治的都合で立場を変える点においては、例外ではないと言えます。

これが選挙にどのような影響を及ぼすか、その見解も様々です。憲法で同姓間の結婚を禁止することを主張しているロムニー氏と、この点で対極の立場を明確にしたため、熱心なキリスト教徒で同姓間の結婚を反対する率の高い州、例えば、アラバマ、ミシシッピー、ユタ、ルイジアナなどでは、オバマ氏は、熱心な黒人クリスチャンの支持を失う可能性も否定できません。しかし、例えば、カリファルニアは民主党の州、テキサスは共和党の州と決まっているような州に比較して、特定の党または候補者を決めていない州(スィング州と呼ぶ)などでは「影響がほとんどない」というのが一般的な見方です。15日の『PEW リサーチ・センター』の世論調査は52%が「大統領の同性間結婚の支持に影響はない」とし、19%が「更に好意的」に思い、支持を「歓迎しない」率はわずか25%になっています。

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