アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

20日から本日まで〔当地時間〕NATOサミットが開催されている、シカゴ湖畔のコンベンション・センター前では必ずしも平和的とは言えない大規模なオキュパイ運動が行われている。地元紙の『シカゴ・トリビューン』を含む他多数のカメラは事の成り行きを一部始終捉えた。ノースキャロライナ州からも出動した警察官を含め、警察の数も相当なものだ。昨夜からアート・インスティチュートの前に待機していた大勢のシカゴ市警とデモ隊との間で、ミシガン・アベニューやサーマック通りなどで小競り合いがあり、日曜日の午前9時までには約45名が逮捕されている。逮捕されたデモ隊の中には、顔や頭から血を流していたり、多少怪我をしている者も少なくない。NATOサミット会場近辺で行進を繰り広げている通りでは、交通も閉鎖されている。サミットの会場に向けた行進がデモの主な目的だが、大半のデモ隊は近づけない。NATO代表団の会場であるマッコォミック・プレイス・コンベンション・センターの北東方面の橋やシカゴ川領域方面は、デモ隊をセンターに近づけないよう、大勢の警察官がバリケードを張って封鎖している。しかし、100名以上のデモ隊は、危険を冒してバリケードを走って通過している。アート・インスティチュートの前に立ちふさがる警察官らに近づいた約50名のデモ隊は「オバマに会いたい」と言っている。20日、夕方6時半頃になっても約250名位のデモ隊は警察に対抗していたようだ。センターの西から1キロ以内の地点では警察とデモ隊が衝突。護衛目的で「センターに通じる道路に張られたバリケードが無人地帯を思わせる」と同紙の記者は述べている。

NATOサミット最中のデモ運動でもっとも注目すべき行事は、イラク戦争の退役軍人が組織した「メダルを返却する」集会である。日曜日ミシガン・アベニューの東側、サーマック通りには、大勢のユニホーム姿の退役軍人が集まった。その中の50名以上の退役軍人らは、一人あたり30秒前後の簡単なスピーチを行ったあと、NATOサミット会場のコンベンション・センターの方向にメダルを投げた。通常、メダルは国の為に戦った誇りとしての象徴だが、彼等はそのメダルは「嘘の象徴だ」として怒った表情でメダルを投げ捨てた。複数のメダルを投げ捨てた退役軍人もおり、そのスピーチで、氏名、出身地、過去の軍隊所属名、メダルを投げ捨てる心情などを手短に語った。

ミルワォーキから来た、現在28歳の機械工学員のザック・ラポーテは、19歳の時、大学に通う余裕もなく、職業の選択の余地もあまりなかったため入隊を志願した。2005年から06年までイラク戦争で戦ったが、受けた複数のメダルは「自分を英雄に感じさせない」と語った。なぜなら、「民間人の犠牲者や逮捕者を目撃しているからであり、主権国での占領は不法だと考えるからだ」と述べた。2001年から06年まで海兵隊員だった29歳のマット・ホワードは、「退役軍人の自殺率が高い」ことを語り、「メダルは、イラク戦争が失敗だった象徴にすぎない」と述べた。オハイオ州からこのデモに参加した元米軍のエリカ・ソロンは、「威厳を持ち続けて生きたければ、このメダルを処分しなくてはいけない」と言った。ニューヨークから参加した、ジェリーは、「帝国主義と物質主義より人間らしい人生を選ぶ」と言ってメダルを投げた。2003年のイラク侵略戦争期間と2011年にアフガン戦争に参加した元米国陸軍軍曹で29歳のアレジャンドロ・ヴィラトロは、合計3つのメダルを受理した。彼は、心的外傷後ストレス障害と鬱状態に苦しんでおり、アフガン戦争の終結を望んでいる。「このようなメダルには名誉はない。あるのは恥だけだ」と語り、3つのメダルを投げた。

NATOサミットでのデモの特徴は、シカゴ市警がかなり攻撃的であること、NATOサミット首脳陣が、NATO軍アフガン撤退の2014年後もアフガニスタン安全保障軍勢を支持することを表明しているため、この機会に早期撤退を求める事、オバマ大統領との対話を望む声もあったことが挙げられる。1960年代のベトナム反戦運動にも劣らない喧騒の白熱したアフガン反戦デモとも言えるオキュパイ運動である。当時のベトナム反戦運動は、カリフォルニア大学バークレー校の学生がキャンパスでの大規模なストライキを始めたことで、全米のキャンパスに広がった。公民権運動と連動して、言論の自由と反戦を叫んだデモの炎は全米に燃え広がった。今回も警察が攻撃的であること、反戦を訴えていること、ベトナム戦争でも敗戦を嘆き、メダルを放棄した多くの軍人が存在した点でかなり共通点がある。多国の民主主義のために戦っていると信じていた軍人らが後年、その誇りと自信を失う理由とは一体何か?ベトナム戦争の退役軍人、そして、昨日メダルを投げ捨てた50名以上の退役軍人が体験を通して教えている。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。