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6月7日の『CBS ニュース』によると、5日のウィスコンシン州の解任選挙〔リコール・エレクション〕で勝利したスコット・ウーォカー氏が集めた選挙資金は、3000万ドル、一方、トム・ベレッテはわずか400万ドルだったと言う。2008年の大統領選挙で、対抗した共和党上院議員、ジョン・マケイン氏の選挙資金は3億3300万ドルだったが、オバマ大統領は7億3000万ドルと2倍以上の資金を確保して当選に至っている。しかし、現在、共和党の対抗者、ミット・ロムニー氏が資金面でリードしていて、11月の大統領選はちょっと事情が違う。オバマ大統領は資金集めに必死にならざるを得ない状況のようである。

最近、11月の大統領選は、ミット・ロムニー氏が勝利するのではないかとの予測も除々に出始めている。そのような要因のひとつに資金力があげられる。『ニューヨーク・タイムス』紙によると、オバマ氏は3月末までに、$196,900,097の資金集めに成功していて、これは、ロムニー氏の$87,452,399の資金より、はるかに超過していた。しかし、5月には立場が逆転し、現在ロムニー氏がオバマ氏を追い越したと言われている。資金力が弱い候補者の方が、選挙に不利な理由はなぜか?それは、政治を金力で動かす、つまり金で政治家を買うことが平然とできる時代になっているからである。2010年、米国最高裁は、企業による無限の選挙資金提供を合法的であると決定したため、更にこの風潮は強くなり、パワー・ハングリーの富豪者の資金力が政治に与える影響は甚だしい状態である。

アメリカで4番目、世界で3番目の富豪者と言われるコーク兄弟(チャールスとデイビッド・コーク)は莫大な米国政治に影響力を持つことは知られているが、5日のウイスコンシン州の解任選挙にもコーク兄弟の資金援助が間接的に流れるシステムになっていたようだ。3月29日の『アルジャジーラ』によると、世界で最悪の環境汚染企業のトップ10にランクされている化学製品や石油精製を主な業務とするコーク産業の年間歳入は、1000億ドルである。コーク兄弟は徹底した反リベラル派で、オバマ氏の政治的敗北を信望するティパーティ運動の黒幕であるとも言われている。特にビジネスの完全自由化を目指し、徹底した規制緩和、気候変動の拒否、科学の否定、環境規制の撤廃などが、多数の保守派シンクタンク組織にたいする資金援助の根拠になっている。

一方、慈善家としても、教育、医療研究、芸術などの分野で多くの機関に寄付していることも知られているが、それは政治目的の寄付である。例えば、コーク兄弟は過去に100以上の大学に寄付したといわれるが、寄付の条件として、大学で自分達の政治思想を生徒に教育するためのプログラムを設定すること、またはそのような教育者を雇用することを前提としていると言われている。更に、The American Legislative Exchange Councilまたは米国立法取引委員会〔筆者訳〕、通常ALECと呼ばれる機関は、保守派のシンクタンク・グループ、各州の両党の議員、企業および財団のメンバーで構成され、企業減税、環境保護の最小限化、銃保持の権利の促進を含む自由市場を目的として、その研究と立法制定の草案を行い、法律制定に影響を及ぼす組織である。コーク兄弟はこのようなロビー活動を行う保守派のシンクタンクに長年多額の融資を行い、政治的に相当な影響力を維持している。

その典型的な例は、選挙の投票会場に運転免許証などの写真付きまたは、何らかの証明書を持参する規則を定めた、有権者ID法案で2003年から施行されているものだ。細かい規定は州により異なるが昨年の9月までに30州で制定されているこの法は、少数派への「抑圧法案」(Voter Suppression Bills)であり、企業の有利性を目論んだ州法だとして批判されている。また、『アルジャジーラ』によると、コーク兄弟の選挙資金の影響力は、上院、下院議員にも多大である。ニュート・ギングリッチ氏やミット・ロムニー氏は、以前、気候変動の法律制定を支持していたが、現在反対している。まさに、政治の世界もお金次第である。コーク兄弟の次ぎの目標は、11月の大統領選でオバマ氏を倒すことであり、そのためには莫大な選挙資金が流れると予測されている。

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