アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

米最高裁は、本日28日、オバマ政権の医療保険改正法(正式名はAffordable Care Act) の最も論争的で、最も拒否されていた部分の「強制加入」を合憲とする決定を公表した。最高裁決定の要点は、「医療保険を購入しない者は罰金に科す強制加入が合憲」とした点を「国の経済問題に関与する通商条項 (Commerce Clause)に照らし、合憲である」としたためである。一方、非合法となった箇所は、メデイケイドの拡大にともなう強制部分である。この法の制定に伴い、更に数千万人の低所得者層がメデイケイドを利用できるとする条項に対し、26州が財政上の理由で、この強制的な法の撤廃を望んでいた。メディケイドは連邦政府と州の連帯資金プログラムであるが、例えば、現行法で、連邦資金はA、B、Cのグループに提供されているが、更にD、Eのグループにも拡大するという条項を拒否する州は、そのA、B、Cに対しての資金援助を停止するという規定が違憲であると判定。これにより、州の財政負担を懸念し、撤廃を主張した26州にとって、メデイケイド資金にリスクはなく、更なる拡大の選択は自由となった点でも安堵できる判定となった。

最高裁の決定は、9名の判事らの意見を大きく二分したが、「強制加入が合憲である」と表明したのは、ルース・ギンズバーグ、ソニア・ソトマイヨー、エレナ・ケーガン、およびステファン・ブレイヤー判事 で、最高裁判所長官、ジョン・ロバーツ氏は、「強制加入」の合法性を肯定しなかったが、「議会は課税の権威を有する」とし、いずれの意見にも反対した保守派4名の判事らは5対4で退く結果となった。この法の最も核心部である「強制加入」が合憲となったことで、オバマ政権の医療保険改正法は揺るぎないものとなった。3月の聴聞の席上で、オバマ政権の弁護側が主張した強制加入の通商条項が違憲である場合、医療改正法それ自体が無効になる可能性もあったため、議会に権限を与えたことで、オバマ政権および連邦政府の権力を全面的に支持するかたちとなった。

一方、最高裁の決定は、大半の国民の希望を逆手にとったような結末であったため、問題を複雑にする結果となった。24日の『ロイター』によると、19日から23日までロイターが実施した世論調査で、56%の国民はヘルスケアに反対し、44%が支持している。主な反対理由は、国民に「強制加入」を強いる条項であり、61%のアメリカ人がその「強制加入」に反対し、39%が支持している。しかし、大半の国民は「オバマケア」に反対しているが、その大抵の条項は強く支持しているという矛盾したアメリカ人の複雑な感情を反映している。例えば、子供は26歳まで親の保険に加入できる条項、すでに病気を患っている人に対する保険会社の差別を禁止する条項、更に50人以上の従業員を抱える経営者に従業員の健康保険を義務づける条項を含めて、「大半がオバマ政権の医療保険改正法を大変気に入っている」とし、「共和党が有権者にオバマケアを拒否することを説得している」実体が窺がえるとロイターは伝えている。

オバマ大統領は、最高裁の決定を受けて、ホワイトハウスから数分間程度の短いスピーチを行い、この決定に対し、誰が勝利し、誰が敗北したというコメントは完全に要点を見間違っていると述べた。また、この法の制定は政治的意図によるものではなく、「国にとっていい事だ」と確信していることを伝え、「全国民の勝利である」と語った。今後、この法の条件をさらに満たすよう向上の努力をすると決意をこめた表情で語った。

2014年から医療保険に加入しない国民は、収入の1%(2014年度)を罰金として支払うことになる。カナダのような厳しい医療保険法に比較すると、国民に大きな影響力があるとは考えにくい。むしろ、今後、失業で医療保険を失うこともなく、いつでも、予防と治療が受理可能であるため、健康上の不安はかなり解消されるはずである。今後、共和党と民主党が一体となって、その向上への努力がなされるのか、あるいは、ロムニー氏をはじめ、この撤廃を目論んでいる保守派議員やグループによる阻止行為が続くのか、あるいは、11月の選挙の結果次第により、議会が撤廃に追い込むことになるのか、今後の動向が注目される。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。