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11月の大統領選挙キャペーンは経済問題が焦点であることは既に知られている。その中でも、特にオバマ大統領が強調していることは、巨額な負債と赤字を減少させることで財政バランスを回復させることだ。前ブッシュ政権の減税法の延長が国の財政破綻をまねく事態を懸念しているためである。大統領が昨年9月から提起している税制改革の中で、赤字財政減少措置として、 「100万ドル以上の収入のある金持ちは、少なくとも30%の税金を支払うべきだ」との増税案を発表した。昨年初頭、米国の富豪ウォーレン・バフェット氏が「金持ちの税金を上げるべきだ」と主張したため、大統領は これを支持し、今年2月にはバフェット氏に大統領自由勲章を授与している。そして、米国民の1%の富豪層と99%の一般国民との収入の格差を緩和するため、「バフェット・ルール」と呼ばれる税制案を広くアピールするようになった。

2月1日、上院議員によって紹介された「バフェット・ルール」法案は、「年間100万ドル以上の所得者に対して寄付金を差し引いた全収入源から最低30%を連邦政府に課税する」内容である。この法案が適用された場合の影響については様々な意見があり、具体的にその「インパクト」を数値で提示したのは 「Citizens for Tax Justice(CTJ)」のシンクタンク組織である。CTJはブッシュ政権の税制を延長しない場合、又は延長した場合の状況で「バフェット・ルール」法案が連邦政府の2014年の歳入にどのような「インパクト」を与えるか推定している。例えば、ブッシュ政権の減税法を延長せず、「バフェット・ルール」法案も適用しない場合、その歳入に全く変化は見られず、適用した場合、約250億ドルの歳入があるとしている。また、その法案を適用せず、現行法の資本利得税15%を30%に引き上げた場合、約700億ドルの歳入を予測している。

次ぎに、ブッシュ政権の減税法を延長し、「バフェット・ルール」法案を適用しない場合、約3140億の赤字になり、法案を適用した場合、幾分減少して約2680億の赤字となり、現行法の資本利得税15%を30%に引き上げた場合、更に減少して約2190億の赤字になるとの推定を発表し、「バフェット・ルール」法案の有効性と前ブッシュ政権の減税法延長の「インパクト」とその対比を明確に示している。法案が発表された同日の『ABC ニュース』は、連邦政府の税制議会委員会も「この法案の制定により、年間推定額で400億から500億ドルの歳入が見込める」と発表し、ホワイトハウスも 「10年間で1.5兆ドルの赤字を削減できる」としている。一方、米議会予算局(CBO)は、継続中の前ブッシュ政権の減税法を含めて、総体的な税法に変化がない場合、2012年の連邦予算赤字は1.1兆ドルと推定している。

米国の課税システムは、金持ちに有利に働くと思える現状があることは否定できない。株の配当金および資本利益の税率はいずれも僅か15%で、1%の富豪層の収入源はほぼ株の配当金と資本利益による場合が多い。一方、庶民の所得税は、バフェット氏が「自分より秘書の課税率が高い」と公表したとおり、最高35%ではるかに高い税率となっている。事実、資金力豊富なミット・ロムニー氏も、今年1月18日の『ボストン・グローブ』紙に、「平均の納税者よりかなり低い15%以下の税金を払っている。なぜなら、ここ10年間の収入のほとんどは株の投資から得ているからだ」と語っている。同誌が発表したロムニー氏の公表によると、「2010年2月から2011年2月までの1年間で、一回の講演料11,475ドルから 68,000ドルの範囲で375,000ドルの収入」を得ている。1月24日の『ワシントン・ポ スト』紙によると、ロムニー氏が公表した「2011年の収入は2090万ドルであり、この収入はほとんど配当または投資による資本利得である」らしい。

このような具体的な公表結果を反映してか、4月の複数の世論調査によると、70%(CNN)から60%(ギャロップ)の米国民がこの「バフェット・ルール」法案を支持している。共和党議員は、この新たな税制改革法案を執拗に拒否しているが、上記の理由により、オバマ大統領にとっ ては、これが最も重要な経済回復政策のひとつである。

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