アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

一般的に失業率は経済のバロメーターであるが、長引く失業率の高さに、国民の心理は冷え込んでいる現在、オバマ大統領とロムニー氏の選挙キャンペーンは、米国経済の向上に関し、白熱した選挙演説が展開されている。特に雇用拡大についてはお互いに、「具体的な雇用政策がない」と批判しあっているようであるが、オバマ氏は具体的な雇用拡大政策を掲げている。ロムニー氏も雇用拡大を意図したそれなりの経済政策はある。近い将来、どちらの政策が米国民にとって有利かどうか、その点は有権者の判断次第だ。全く異なる二つのビジョンを選択しなければならない今年の大統領選挙は、党派を越えた冷静な国民の判断が求められている。以下、両氏の雇用政策の要点を概略的に比較してみた。

ホワイトハウスの『ファクト・シート:アメリカの雇用法』によると、オバマ氏の雇用政策の概要は主に5つにある。(1)小さなビジネスが雇用を拡大し、成長を促進するための減税政策として、98%のビジネスの給与税を50%削減し、起業家や小さなビジネス経営者を援助するため規制の改革や減少を目指す。(2)アメリカを再構築し近代化の促進を図りながら、労働者の雇用拡大を促進する。この計画では、英雄に職を与えるため、退役軍人を雇用する企業に減税する。さらに28万人の教師の解雇を防止し、警察官や消防士の仕事も保持する。科学、インターネット完備の教室など、全国の35000の公立学校の近代化を図る。金融、鉄道、道路、空港、水路などの構造基盤のための投資を行う。赤字削減の1案として高速ワイヤレス・システムを拡大する。(3)求職中のアメリカ人の就労を促す手段として、失業保険プログラムの改革を行う。長期的な失業者を雇用する経営者に4000ドルの減税を行う。雇用上の差別禁止を強化する。低所得の若い世代と成人の雇用機会を拡大する。(4)全てのアメリカ人および家族の減税政策として、社会保障に影響のない範囲で、来年1億6千万人の労働者の給与税を50%削減する。各家庭に約2000ドルの余裕が出る住宅ローンの変更を目指す。(5)経済の安定性を目指した長期的な赤字削減計画、などを掲げている。

一方、ロムニー氏のHPが提供する『アメリカを信じる』と題する、氏の仕事を生み出す政策案は、経済政策の総括案に含まれていて、(1)新たな企業税の導入または企業の減税、(2)金融規制の見直しと企業に対する規制緩和、(3)予算調整、(4)オバマケアの撤廃、(5)キーストーン・オイル・パイプラインを基盤にした国内原油掘削拡大によるエネルギー政策、(6)組合結成の阻止、などである。減税に関する個人税については、現状のレベルを維持し、預金と投資に対する減税、財産税を廃止するなどが含まれる。企業税に関しては25%まで減税することを目標としている。また、各種の「規制は製造会社にとって経費がかかる」と主張するロムニー氏は、オバマケアの撤廃およびドッド・フランク法案の改正または撤廃を掲げている。ドッド・フランク法案は、ウオール・ストリートの金融機関を規制し、消費者を保護する目的で、民主党上院議員のドッド・フランクが提唱し、2010年7月に大統領が署名したものである。更に、主な規制はすべて議会が承認することを要求している。また、市場拡大に関しては、未決定の自由市貿易協定を実施し、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の更なる合意を得ることを目指している。中国に対しては、現行法を強化し、不正な貿易慣行が続けば、厳しい罰を科すなどが経済政策となっている。

結論として、オバマ氏の雇用政策は、失業保険など比較的に短期的な達成を目指し、具体的政策案を打ち出している。また、小さな企業の減税および包括的な公共施設の資本整備計画はその明白なビジョンを打ち出している。一方、ロムニー氏には、オバマ氏ほど詳細な雇用政策はなく、減税、規制緩和、国内のエネルギー政策が雇用に結びつくという観点から述べた包括的な経済政策を掲げている。しかし、雇用を如何に拡大するのか、その具体案はほとんど明確にしていない。基本的には、ロムニー氏の経済政策も移民政策と同様、長期的な展望または長期的解決を示唆している点が特徴である。失業問題を解決するビジョンが弱い印象があり、現在失業中の国民にとっては、いまひとつ説得力がない印象がある。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。