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11月の大統領選挙キャンペーンは、歴史上初めて無限の選挙献金が利用できる点で過去の大統領選挙とは若干異なる雰囲気がある。2010年1月、最高裁は、憲法第一条の言論の自由に照らし、企業、組合も人であるため、選挙資金献金の限度を定めることを違憲とする判定を下した。また、6月、最高裁はモンタナ州が1912年から保持してきた、企業の選挙献金を禁じる法も違憲としたことで、公的に個人、組合、企業による無限の選挙献金が可能になった。選挙献金に関する相次ぐ最高裁の決定は、言論の自由に基き支持する側と、金力が及ぼす政治的影響を懸念する側との論争で国を二分している。

この判定から2ヶ月後に台頭したものがスーパー・パックス(Super PACs)設定である。これは、従来の政治活動委員会(PAC)と異なる新たな政治資金委員会であり、個人、組合、企業の選挙資金に関し、(1)寄付金の限度は定めないが、(2)その金額と贈与者の公表を必要とし、(3)支持する特定の政治家や政党との直接交渉および協力または連携行動を禁止し、(4)外国からの寄付金を禁じる、などの規定がある。従来のPACには、連邦レベルでの公表規定があって、候補者の委員会、党委員会、これら政治活動委員会は、その集まった選挙資金とその出費を報告することを義務づけている。また個人の場合でも200ドル以上寄付した人の氏名、住所、職業、雇用主、などの情報を報告する必要がある。ところが、このSuper PACsは、現実的には、公表が遅れたり、どこまで透明性があるのか、国民には掴みにくい実態がある。

更に、上記のグループの他に、免税を受けている非営利団体である慈善団体や社会福祉団体の資金集めについても規定されている。アメリカ合衆国内国歳入コード501(C)は、501(C-3)の慈善団体と501(C-4)の社会福祉団体の2つに分類している。前者は、あくまでも慈善団体であり、一切の政治活動を認めていない。後者の社会福祉団体は、教育、慈善、レクリエーションを目的としており、教育の名目でなんらかのマイナーな政治的アピールを行うことは許可されている。この曖昧な規定にたいし、本格的な政治活動を行う場合、政治活動委員会に登録し、献金額と寄付者を公表することを義務づける方向性が連邦選挙委員会で検討されているが、議会の意見が半々で成立していない。最近ではこのような社会福祉団体が免税を乱用して政治活動をおこなっていることが問題になっている。

その結果、この選挙献金「公表法」デイスクロージャー法)の制定が急務となっている。この法の通過を目指す、連邦議会の投票は数週間後に予定されている。「公表法」は2010年7月に提唱されたものであるが、元来、連邦政府の選挙に外国からの献金を禁止する1971年の連邦選挙キャンぺーン法を改正したものである。ニュート・ギングリンチ氏やミット・ロムニー氏を支持する個人から、スーパー・パックスに献金された中に、米国で8番目の富豪者シェルドン・アデルソン氏が存在する。彼は、ラスベガス以外に中国でもカジノを経営していて、その寄付金の一部は、中国での売り上げも含まれているのかどうか、その全資金の出所は不明である。

現在、それ以上に問題になっているのは、社会福祉団体に注ぎ込まれる資金を利用して、共和党候補者やロムニー氏を支持するため、多額の寄付金が流れているが、この選挙資金を明白にしていない福祉団体が存在することだ。その一例が、ジョージW.ブッシュ政権下で、政策上級顧問であった、カールー・ローブ氏が設立したクロスロードである。7日の『ニューヨーク・タイムス』紙によると、この選挙資金「公表法」に真っ向から反対表明をしたのが、共和党上院議員で上院少数党院内総務のミッチ・マコーネルである。反対の理由を本人は「憲法第一条の言論の自由を尊重するため」と述べている。一方、『ニューヨーク・タイムス』紙は、クロスロードのような社会福祉団体が、免税の利点を乱用して、敵対する候補者を攻撃するため、贈与者不明の寄付金を宣伝広告に使っていることを指摘している。また、企業が選挙資金を寄付する場合、寄付内容の公表を要求されているスーパー・パックスを避けて、上記のような免税の非営利団体に寄付することで、「大金を寄付し、政治的影響力を狙う大企業が増えている」ことを指摘している。

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