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最近、ミット・ロムニー氏の個人資産にまつわる思惑が台頭している。一部のウオッチドッグは、以前からロムニー氏がバミューダ、ルクセンブルク、ケイマン諸島に幽霊会社を設立していたことを報じていて、殆ど非課税または税金天国である外国で投資した財産に透明性がないことを指摘していた。1週間前、イギリスのジャ-ナリストおよび作家のニコラス・シャクソン氏による報告が米国の文化誌『ヴァニティ・フェア』に発表された後、メディアが注目するようになった。オバマ氏の選挙キャンペーン・チームはロムニー氏と彼の家族の税金報告書に公表されていない資産があることを指摘し、ロムニー氏に対し、「秘密」資産の透明性を求めている。

シャクソン氏の報告、オバマ氏の選挙キャンペーンのHP、他複数の情報筋によると、ロムニー氏が公表した2010年の所得税報告書には、スイス銀行に約300万ドルの口座があるとされている。しかし、バミューダやケイマン諸島に設立された会社の所有権は、マサチューセッツ州知事に就任する前日の2003年1月に、新たに作成された彼の妻であるアン・ロムニーのブラインド、トラスト(Blind Trust)と呼ばれる信託に移し変えられていたことが判明している。また、ルクセンブルクにもベイン・キャピタルおよび他の財源の資産も家族が保持していたとされている。いずれも規模は明白ではないが、家族が保有している何らかの財産または投資資産に関する資産価値は税金報告書に明らかにされていないと伝えられている。

ロムニー氏および彼の選挙支援チームは、「支払うべき税金は全て支払い、米国の税法に違反することは一切していない」と弁明している。一方、一部の共和党議員や彼を支持する関係者は、幽霊会社に関する投資の情報を提供するよう促している。8日の『ロイター』によると、オバマ氏の選挙アドバイザーであるロバート・ギブズ氏は、CNNのインタビューで、「税法に関する綿密な調査を可能にするため、バミューダやケイマン諸島に設立された会社の税金報告書を全て公開する」ことを要求している。ロムニー氏が税法違反に問われるかどうかは、ギブズ氏も「分からない」と答えている。本人が過去の財務記録を全て公表しないため、真実は誰もわからないというのが現状である。

ロムニー氏は、なぜスイスの銀行に口座が必要だったのか、なぜ、2010年以前の税金報告書の公表をためらっているのか、なぜ、知事に就任する前日、所有権を妻の名目に移し変えたのか、どのような税金を支払ったのか、バミューダやケイマン諸島に設立された会社をロミニー氏の家族はまだ所有しているのか、なぜ、米国ではなく税金天国の外国に投資したのか、公平なビジネス慣行がなされていたのか、など多くの疑問が提起されている。オバマ氏の選挙キャンペーン・チームは、ロムニー氏が大統領に候補するほどの人物であるため、このような疑問を「国民は知る権利がある」として追及しているようだ。

第三者に管理や処分の執行を委ね、受益者に保有財産を知らせないブラインド、トラストは、一般に著名人や政治家が自身の評判を落とさない目的で利用する財産管理方法であり、歴代の政治家にも前例はあるとされている。また、税金報告書の公表は、プライバシーの保護から法律で義務化されていない。ロムニー氏は「一切不正はしていない」と主張しているため、それは真実だろうと思われるが、要求されている過去の税金報告書を公表しないため問題を複雑化させている。多くの歴代の大統領または大統領候補者は自ら公表している。ロムニー氏の父、ジョージ・ロムニー氏も1968年の共和党大統領候補として12年間の税金報告書を公表している。また、オバマ氏も例外なく2000年から毎年、前年の税金報告書を提出していることは知られている。昨年、始めて、2010年の税金報告書を公表した際、2億5千万ドルを超える資産が推定されていた。おそらく、ロムニー氏は米国歴史上「最も富豪な大統領候補者」の一人であり、彼ほど選挙期間中、個人の資産を詮索される人物もかって存在しないだろう。このような事例において、国民が知る権利とプライバシーの保護はどちらに重みがあるのか考えさせられる問題である。

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