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ロムニー氏とベイン・キャピタルに関する論争は日増しに悪化する一方である。論争の主要点は「いつロムニー氏がベインを退社したのか」という疑問に対して、ロムニー氏の返答と、多数のメディアの調査結果に大きな相違があることである。一見単純な疑問であるが、タイミングがかなり重要なポイントになっている。ロムニー氏が証券取引委員会(SEC)や米国内国歳入庁(IRS)に不正書類を提出していたような事実はないと思うが、オバマ陣営側は「どのようにビジネスに成功したのか、国民は知る権利がある」と無難な表現で、ロムニー氏に2010年以前の税金報告書の公開を求めている。本日の『ワシント・ンポスト』紙によると、共和党の間で、要求に従うことを提案する議員と反対する議員との意見も二分している。

選挙キャンペーンで、ロムニー氏は「ビジネスに成功した経験があるため、オバマ大統領より米国の経済回復に貢献できる」とアピールしたことが発端であるが、オバマ陣営側は、最近表面化したロムニー氏のバミューダ、ケイマン諸島、その他の海外投資など、不透明な資産があることを指摘している。更に、ソルトレイクで開催されたオリンピックを組織化するためベインを去ったと主張するロムニー氏は、「1999年2月の退職後は、ベイン・キャピタルが倒産しようが、あるいは、従業員が解雇されようが自分には一切責任はない」と反発している。これに対して、多くのメディアが次々に調査に基づいた反論を展開している。

例えば、マサチューセッツ州の『ボストン・グローブ』紙は、ロムニー氏が記載した州政府の書類やベイン・キャピタルの書類には、2000年、2001年、2002年も引き続きロムニー氏がベイン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)、株主、および会長になっていて、この期間に新たな5つの共同出資のパートナーを得ていたと報告。また、同州の財務記録には、2002年の時点でベイン・キャピタルを100%所有していて、2001年と2002年には、同社の社長として年間10万ドル受け取っていた記録もあるとされている。また、2002年に、同州の知事として出馬した際、ロムニー氏は、州の選票法委員会(Ballot Law Commission)で、ベインを離れる事を「欠席の状態」と明言したため、最終的な離脱ではないと報じている。

16日の『AP通信』によると、税金報告書の提出を繰り返し要請しているオバマ陣営に対し、ロムニー氏は、「すでに公表した2010年の税金報告書と今後予定している2011年度の税金報告書以外は公表しない」と明言している。おそらく、大統領選挙前に国民が真実を知る可能性はほぼないと思われる。オバマ陣営は、ベイン・キャピタルにおけるロムニー氏の監督下で、仕事が中国やメキシコにアウトソーシングされていたと異議を唱えている。1999年から2001年までのロムニー氏のベインでの立場を正確に把握することは、「ロムニー氏の真実性に疑問を抱いている」からという理由だけではなく、ベインがこの時期に「海外に仕事をアウトソーシングしていた」ことが判明しているからであるとAP通信は述べている。

更に、ワシントン・ポストやハッチントン・ポスト、マザー・ジョンズなど複数のメディアは、一般に知られていなかった情報を発表している。例えば、1999年2月以降、ベインは、反トラスト法違反で問題のあったステリサイクルという、医療品および中絶後の胎児を廃棄処分する会社に7500万ドルを投資し、ロムニー氏およびパートナーはその利益を得ている。オリジナルの書類はロムニー氏の署名になっていることが判明している。7月2日の『マザー・ジョンズ』によると、1999年11月30日付けのSECの書類で、ロムニー氏は、ステリサイクルの約200万株の議決及び処分権などの重要決定権を保持していて、2月に完全退職したのであれば、どうしてステリサイクルのような大規模の株をコントロールする権力のある社長の名前がロムニー氏になっているのか」と疑問視している。

このような疑問に対し、ロムニー氏のアドバイザー、エド・ジルスピイ氏は、ロムニー氏は「ソルトレイク・シテイの仕事完了後、結局会社には戻らなかったので、退職したことになる」と答えている。またロムニー氏本人も「1999年2月以降は、ベイン・キャピタルとは全く関係がない。社長であり株主であったことが、その会社を経営していたことにはならない」と反論しているが、国民が納得できる説明はしていない。皮肉なことに、ロムニー氏の父、ジョージ・ロムニー氏は、1968年の大統領選挙に立候補した時期に、何らかの予期しない事態の発生に備えて、1~2年の税金報告書だけでは不十分だと述べ、12年間に相当する税金報告書を提出している。メディアが様々な情報を提供すればするほど、またロムニー氏が頑固に拒否すればするほど、問題はますます泥濘化するようだ。

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