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先週コロラド州で起きた銃乱射事件を受けて、米国の銃規制はほぼ皆無であり、政府が規制に消極的であることを批判する声が高まっている。24日『ロイター』は、銃規制は米国でもっとも論争的な問題のひとつであるが、一般的にリベラル派は銃規制を支持し、保守派は反対していると述べている。ギャロップの過去20年間の調査に基く情報によると、厳しい銃規制を支持する率は1990年の78%から2010年には44%に減少していると報告。同日の『ロスアンゼルス・タイムス』も、近年全国的に銃規制を支持する率は減少していたことを述懐している。しかし、今年5月に実施され、昨日メディアが発表したばかりの世論調査の結果は驚くほど意外である。

600名以上の市長で結成される不法銃所持禁止推進団体(MAIG)は、5月に銃規制の世論調査を実施していたが、その結果を今回の事件後に公表している。ロイターによると、ニューヨーク市長ブルンバーグ氏は、今回の事件は「銃保持者に厳しい銃規制を設定する必要性を促している」と述べている。MAIGが5月に実施した調査によると、全米ライフル協会(NRA)の元メンバーと現在のメンバーの74%、および一般の銃保持者の87%は、銃を購入する全人物の身元確認を厳密に実施することを支持している。また、NRAの元メンバーと現在のメンバーの79%、および他の銃保持者の80%は、銃小売店の経営者にその従業員の犯罪歴をチェックする事を義務づける規制を支持している。

更に、NRAの元メンバーと現在のメンバーの63%、および一般の銃保持者の74%は、隠して携帯できる拳銃を所持する年齢も21歳以上に限定することを支持している。加えて、これら二つのグループの3分の2は、人目に触れず携帯できる拳銃を家庭内暴力や暴行などの軽犯罪で逮捕された犯罪歴のある人物の銃保持を禁止する規制を支持している。また、NRAの元メンバー又は現在のメンバーの71%、および一般の銃保持者の80%は、テロリスト・ウオッチ・リストの人物に銃購入を禁止する規制を支持している。

4月に独自調査を実施したロイターは、些細な規模の銃規制にも反対し、それに対抗する議員を罰する構えもあり、数千人の活動家を養成しているNRAの立場に好意的な意見を持っているのは3人に1人であると伝えた。しかし、3ヶ月後に起きたこの事件を受けて、NRAのスポークスマンに電話でインタービューを行ったところ、「今は被害者の家族が悲しんでいる時でもあり、また、地域住民が心の傷を癒す時であり、政策的なディスカッションをする時ではない」と述べMAIGの世論調査結果についてのコメントは避けたと報告。一方、MAIGのメンバーでボストン市長のトーマス・メニィーノ氏は「無残にも命を失った被害者とその遺族の名誉を称える最大の方法は、二度と同じ事件を起こさないため、政治のリーダーが法制定を促すことであり、我々が今要求すべきだ」と述べている。

MAIGの世論調査結果を24日に報じた『ロスアンゼルス・タイムス』も、銃を保持する権利と、銃規制のどちらが大事かという選択ではなく、「保持する権利には責任が伴う」とコメントした、ワシントンDCにあるリベラル派の擁護団体であるセンター・フォー・アメリカン・プログレスの声を伝えている。

これらの世論調査が意味するものは、明らかに4月2日にカリフォルニア州オークランドのオイコス大学で起きた銃乱射で7人が死亡した事件以後、国民の意識が変わってきたことが窺がえる。今回の事件が起きる2ヶ月前に実施されたMAIGの世論調査では、一般の銃保持者に加えて、NRAのメンバーも大半以上が銃規制を支持していることが判明している。『ギャロップ』が昨年10月6日から9日まで実施し、26日に発表した情報によると、自宅に銃を保持している米国人は全米で45%である。2001年の調査では40%、2007年には43%と、自宅に銃を保持する人口層は上昇している。この傾向は地域により異なり、南部で52%、中西部で51%、西部で41%、東部で34%のアメリカ人が銃を自宅に保持している。また、住む環境によっても大きな差があり、田舎では60%、郊外では38%、都市部では35%の住民が自宅に銃を保持している。政治的にも大きな違いがあり、保守派は59%、リベラル派は34%が保持している。あまりにも銃乱射事件の多い米国で、50%以上の国民は銃を保持していない現実と、NRAメンバーさえ何らかの銃規制を支持するようになっている事実を政治家は真剣に模索する時がきているように思う。

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