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オバマ大統領の医療保険改革法は、2014年までに新たに30万人が医療保険に加入できることが予測されているが、現状は医者不足であることが判明している。28日の『ニューヨーク・タイムス』紙によると、特にカリフォルニア、ミシシッピー、デトロイト、アリゾナなど各州の特定の地域で、形成外科や皮膚科を除く全ての分野で医者が不足しているという。アメリカ医療大学協会(AAMC)の推定によると、2015年には約63000人の医者が不足し、2025年までには、医療保険改革法が拡大し、現在のベビー・ブーマー世代の医療アクセス需要も増大するため、医者不足は更に2倍に増えることが予測されている。例え医療保険改革法がなかったとしても、10万人以上の医者不足が問題になりそうだ。

その結果、予約期間や病院での待ち時間は長くなり、サービスは事務的になり、医者と患者の信頼関係は希薄になり、治療が遅れがちになるため重病になる率も高くなり、近い将来の医療システムは悪化する可能性がある。急速に人口が増加している地域では、特に問題である。2000年代に人口が42%、64万人以上増えているカリフォルニア州南部のサンバーナーディーノ市は、住宅バブル崩壊の影響を最も受けた地域であり、全国平均失業率の8.2%よりはるかに高い11.8%である。このような地域ほど、医者には魅力がないため、医者の人口減少が深刻な問題になっている。ロスアンゼルスの大都市地域の東部に位置するカリフォルニア州南部のインランド・エンパイアと呼ばれるリバーサイド市とサンバーナーディーノ市では現在、10万人の患者に対して、プライメリー・ケアの医者〔簡単な病状診察後、必要に応じて専門の医者照会を行う最初の医者〕はわずか40名で、各専門の医者はわずか70名と、医者不足は最悪な状態である。

更に、医療保険改革法によるメディケイド全体の拡大率は30%以上だと言われている。しかし、米国各地で、2008年の時点からすでに新しい患者を受けるプライメリー・ケアのクリニックは50%以下に減少していて、メディケイドの適任者であっても、貧しい国民には病院のアクセスが難しくなっている。また、全米のベビーブーマー世代の医療アクセス需要も、現在の約5000万人から2025年には7300万人の増加が見込まれている。

医学生も増えているが、人口増加のペースには追いつかない状況であるようだ。メディカル・グループ・管理協会(MGMA)の研究によると、プライメリー・ケアの医者になる医学生の数は15年間で減少している。その理由は、2010年のプライメリー・ケアの医者の年収は20万ドルであるのに対し、専門医はその2倍だという。更に、若い医者は病院で働く時間が、彼等の親の世代に比較して減少傾向であるという。また、米国の約3分の1の医者は55歳またはそれ以上であり、退職寸前だという。このような別の理由も医者不足を加速している。

オバマ政権は、医者不足を緩和するため、新しいプライメリー・ケアの医者の訓練費も含めて、2013年、2014年のメディケイドのプライメリー・ケアに政府の支払を増やすことで、医療サービスが行き届かない地域の病院の強化を図ることを検討している。しかし、カリフォルニアの専門家によると、医療保険改革法で保険加入者が増大することは歓迎しているが、現実的には、新たな患者を増やせない状況であるため、医者不足の現状に沿った「資源」をうまく活用する以外に方法はないようである。オバマ政権の医療保険改正法は、その政策の理想に反し、厳しい医者不足の現実が横たわっている。

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