アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

先週、上院議会は、大半の部分でジョージ・W.ブッシュ政権の減税法を延長する一方で、年間所得250,000ドル以上は対象外にする法案を通過させた。一方、これに反対する共和党は、昨日、下院議会でブッシュ政権の減税法の延長に関する投票を実施した。共和党がコントロールしている下院議会と民主党がコントロールしている上院議会で、減税に関して合意に至らないため、この税政策論争は、11月の大統領選挙前に終結する見込みはないようだ。ロムニー氏も基本的には、ほぼブッシュ政権の減税を支持していて、富豪層が潤うシステムを採用している。8月1日の複数のメディアは、ロムニー氏の税政策は、富豪層のみにメリットがあると報じた。

この研究結果を発表したのは、無党派のタックス・ポリシー・センター(TPC)である。1日の『ロイター』の報告によると、全クラスの所得税20%削減を提案しているロムニー氏の税金政策は、大金持ちにメリットがあるが、中級クラスの収入は減少させる結果になると報告。TPCの説明は、ロムニー氏の減税案を適応した場合、年間所得100万ドル以上の課税後の収入は平均4.1%利益が出る一方で、年間所得20万ドル以下の収入は平均1.2%減少させると発表している。ロムニー氏の減税案は、従来、低所得および中流家庭が得ていた住宅ローン控除や経営者が支払う従業員の健康保険料などを個人所得として計算するためであると説明している。これも含めて、TPCの複数の経済学者による包括的な計算から、ロムニー氏の減税政策を採用した場合、政府の歳入源はほとんど年間収入20万ドル以下の世帯であり、不公平な税制であることを報告している。

オバマ氏は、昨日の選挙キャンペーンで、TPCがこのような発表をしたことを簡略的に述べ、「年間250,000ドル以上の所得者も減税の対象にすると、誰がそのつけを支払うことになると思いますか?貴方達ですよ」と語った。トップ・クラスの富豪層を優遇すると、低所得層も潤う(trickle-down economy)と呼ばれ、富が上から下へ流れるという経済論理はレーガン政権以来、共和党に支持されているが、オバマ氏も共和党の税法に妥協し、「過去3年半、試してみたが、結果は現在の通りで効果はない」と繰りかえし説明している。

この経済理論は、レーガン政権時代、供給サイドの経済〔Supply-Side Economics)を支持したレーガン氏の減税政策であり、当時レーガノミックス(Reaganomics)と呼ばれ、莫大な負債と赤字の原因になったことは有名である。コロンビア大学の歴史家アレン・ブリンクリーはその著作『The Unfinished Nation』で、1981年、レーガン政権が歴史上最大の減税を実施した結果、1980年には9000億ドルの負債が1990年には3兆ドルまで膨らんだことを記載している。専門家の間で経済格差が頻繫に論じられるようになったのも1990年代以降である。米国政府は、この経済政策をブッシュ政権以後も繰りかえし、再度莫大な赤字と負債を増大させた。現在「多くの経済学者はこのサプライ・サイドの経済論理に異議を唱えている」と、ロイターも報告している。オバマ氏が「今の経済状態を見れば分かる通り、共和党が固執する税政策は効果がない」と主張しているその根拠は自身の経験と米国の歴史に基いている。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。