アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

1975年のベトナム戦争終焉から37年が経過した今、やっと米国とベトナムの合同清掃プロジェクトが始まった。米軍が戦略で散布した枯葉剤で荒廃した47エーカー(19ヘクタール)区分の清掃作業が先週から開始されている。枯葉剤を英語でエージェント・オレンジと呼ぶ。名称の由来は、色とは無関係に米軍が便宜上名づけたものである。長い間、枯葉剤による環境汚染と地域住民の健康被害による苦情は著しく、枯葉剤製造会社に対する訴訟も含めて、様々な問題が摘発されていたが、歴史的なプロジェクトが着手されことは、責任を果たす米国の努力を示す意味で肯定的な外交政策である。

9日の『AP通信』によると、1962年から1971年までの期間に、米軍は7500万リットルの枯葉剤と他の除草剤を約200万ヘクタールの森林に散布した。このサイズは、現在のマサチューセッツ全土に相当する規模である。汚染された区域47エーカー(19ヘクタール)だけでも、その合同作業を4年間で完了させる事が予定されていて、4300万ドルのプロジェクトであるそうだ。当時ジャングルだったこのサイトは現在、ベトナムの軍事施設や商業用の空港がある場所になっているという。米政府は、枯葉剤の影響を受けた他の場所の査定も予定していて、両国政府は最新の技術を駆使し、汚染サイトの清掃を続ける予定である。

米国政府は長年、除草剤がベトナム住民の健康に及ぼす影響に関する科学的研究が不足していると主張する一方で、2007年から環境問題の修復のため、ベトナムに6000万ドルを提供している。しかし、数十年間、地面や下水に体積したダイオキシンの清掃に直接関与するのは今回が初めてである。ダイオキシンは水溶性ではなく、雨が降ると土に拡散する。そのため、当時、米軍が枯葉剤を調剤し保存した場所の汚染した土地は、2007年に米国環境保護庁の技術援助と非営利団体の資金提供により、分厚いコンクリートで埋められているようだ。しかし、その周辺は茂った草で覆われ、現在でも化学薬品のかすかな臭いが残っているらしい。また、汚染した湿地は住民地域との間に高いコンクリート壁で封鎖してあるという。

米国政府は昨年11月、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の参加を決定した際、米国のアジア太平洋地域への進出を強調した。其の目的は、過去10年間アフガニスタンやイラクにつぎ込んだ資源とエネルギーを、今後はアジアにシフトさせたい為である。また、米国も現実的には不景気に直面しているなかで、その経済を回復させるためには、視点をアジア太平洋地域に向けて、米国のリーダーシップを再びアピールする戦略があるからである。「2015年までに輸出を2倍に増大させたい」との具体的なビジョンを持つオバマ大統領の第一の狙いは、市場性の高いアジア太平洋諸国と強い外交関係を築き、「健全で自由な経済競争を原則に、米国経済の建て直しを図ることである。今回の合同プロジェクトもアジア太平洋地域での貿易関係の促進、投資の拡大、多国間組織の経済および政治的統合と安定性の強化を狙うオバマ政権の外交政策の一環であると思う。

両国間の貿易を活性化させることが本来の目的であるこの合同プロジェクトは国際的な評価も良く、ベトナム政府は更なる支持を求めている。しかし、汚染した多くの地域をすべて適切に査定しておらず、米政府側も、今後の清掃プロジェクトの期間や規模、および枯葉剤の犠牲者数など、完全に掌握していないようだ。連邦政府は数年前、枯葉剤に露出した米国の退役軍人に賠償金を支払ったが、ベトナムの退役軍人には支払っていなかったようだ。ベトナム政府は自国の退役軍人の賠償金も要求しているような様子もあるようだ。資金面でも莫大なプロジェクトになる可能性があり、ベトナム戦争の後遺症とそのつけは大きい。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。