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ミット・ロムニー氏は昨日、下院予算委員会の委員長であるポール・ライアン氏を副大統領(VP)に選択したことを報告した。その反響は大きく、著しく共通した専門家の意見は、その「選択は大胆であり、大きなリスクを伴う」ということである。また、なぜ、ライアン氏を選んだのかその理由にも多大な関心が寄せられ、盛んに論議されている。

ポール・ライアン氏は、ウィスコンシン州・ジェーンビルで、父、弁護士ポール・M・ライアンと母エリザベス・A・ベティとの間に生まれ、中流家庭で育ったカトリック信者である。マイアミ大学で経済および政治学の学士号を所得し、活力に溢れた42歳の政治家である。1998年28歳の時、共和党下院議員となり、現在7期目である。『ニューヨーカー』誌によると、ライアン氏は、学生時代読書を通して、論争的なロシア系アメリカ人の哲学者および作家であるアイン・ランドの思想に強い影響を受け、ランド書物に触発されて公務の仕事に関心を持つようになった。「富豪層が全ての富を創造し、労働者は単なる依存者である」とするランドの思想は長年、各界にインパクトを与えたことで知られている。ライアン氏は最近、ランドの思想に距離を置くようになり、彼女の思想に影響を受けたのは、「若さの戯れ」であったと述べている。ロムニー氏が本人をキャーンペーンで紹介した際、「信仰深いキリスト教信者だ」と強調した。その理由について、同誌は、ランドの無神論者思想に距離を置く事は「政治的に重要である」と述べている。また、全体主義より個人主義のために戦うという信念を持つ人物であり、オバマ大統領のバフェット・ルールの税制に対し、「階級闘争だ」と最初に反論したのはライアン氏である。

ロムニー氏のライアンVP選択は色んな点で危険であるというのが目立つ意見である。その最たる理由は、ライアン氏の経済政策の提案は、具体的、急進的、極端すぎることで知られているからである。大半の民主党や複数の共和党さえ懸念を表明している。11日の『AP通信』は、ロムニー氏は、自分の政策を、特に経済政策に関しては可能な限り曖昧にしてきたため、VPの選択は、本人の意図をはっきり示す証拠になると伝えた。また、ライアン氏の革命的な予算案は、メディケア変更や貧困者の政府の「安全ネット」プログラムを大幅に削減する一方で、富豪層を減税し、収拾がつかない赤字をさらに拡大させることを懸念している。フロリダの共和党議員コニー・マック氏でさえ、「ライアンの予算案は冗談だ。今後、何年間も予算調整は不可能だ」と述べている。

ライアン氏の予算編成には、メディケアやフード・スタンプなど、一般国民および貧困層の安全ネットを大胆に削除する計画が織り込まれている。例えば、メディケアをクーポン・プログラムに変えることで、大幅な予算削減を提案している。また、メディケアの資格年齢も現行の65歳から67歳に引きあげる計画である。更に、社会保障は「ポンジ・スキーム(投資詐欺)の類だ」と言っているライアン氏は、自身のHPで社会保障改革の必要性を訴えている。20年後、65歳に達する人口層が増大するため、将来、社会保障の支払がその歳入を超過することが予測されているからである。そのため、最初のステップとして、保険システムの投資プログラムを利用する部分的な民営化を提案している。最終的には完全な民営化になることが懸念されている。いずれにしても、ライアン氏の予算計画と類似するロムニー氏の税政策はすでに、複数の専門家が試験済みであり、オバマ氏のキャンパーンは「不公平税制」であると宣伝している。しかし、ロムニー氏の選挙キャンパーンは、それに対して数値で論破していない。ライアン氏を選んだことは、「裕福層の税を削減し、中流家庭に増税する」ロムニー・ライアンの経済路線を一層明確にしたことになり、有権者を民主党寄りにさせる」と懸念する意見もある。

ロムニー氏がライアン氏をVPとして選んだ理由を憶測する専門家も多い。ジョージ・W・ブッシュ元大統領のスピーチライターであったディビット・フラム氏は、11日『デイリービースト』でその理由について、(1)ライアン氏の予算案を自分の考案として真面目に採用した可能性がある。(2)知事時代にリベラルで、風見鶏的なロムニー氏は、共和党の主要議員らに信用されていないため党の統合性を図る事が狙いである。(3)ロムニー氏に莫大な選挙資金を献金した金持ちがライアン氏の予算案を支持している可能性がある。(4)ロムニー氏は、ライアン氏を自己の管理下に置くほうが有利であることを計算している、ともっともらしい仮説を述べている。

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