アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

ポール・ライアン氏が共和党副大統領候補に確定してから約1週間以上が経過した現在、ロムニー・ライアン経済政策路線がある程度明確になってきている。最も保守的で極右翼の共和党議員の一人であると言われるライアン氏は「富豪層(資本家)が全ての富を生産する・・」の経済思想で知られるロシア系アメリカ人の作家及び哲学者であるアイン・ランドに大きく影響を受けたことは確実である。本人は、ランドの書籍を読み耽ったのは、「若さの戯れ」だったと述べているが、数年前、複数の側近にもランドの名作『肩をすくめるアトラス』をクリスマスにプレデントしていたことを複数のメディアが報じている。

ロムニー・ライアンの減税政策は、年末で期限切れになるジョージ・W・ブッシュ減税を延長させることであり、基本的に、中流家庭に増税し、富裕層に減税することである。8月13日の『シンク・プログレス(TP)』が伝えた、<予算と政策優先センター(CBPP)>の研究によると、両氏の減税案は、金持ちほど有利で、低所得者ほど不利になるシステムである。TP提供の下の図表は、年間所得10,000ドル以下の家庭は課税後の所得がマイナス2.0%になり、年間所得1,000,000ドル以上の家庭は最も有利で、課税後の所得は年間12.5%増えている。ロムニー・ライアン税政策は、まさしく富豪層に富を与えるシステムであることを明白に表示している。

この減税のため、今後10年間で、連邦政府所得税の歳入は4.5兆ドル減少するため、ライアン氏の予算案は、社会保障や他の給付の大幅な削減が導入されている。例えば、従来のメディケア・プログラムをクーポン制に改正した場合、<議会予算事務所(CBO)>の計算によると、受益人は、2030年までには年間1,200ドル、2050年までには5,900ドルと、クーポン制受給額では補えない余分な医療費負担が増大する結果になる。また、TPの調査によると、ライアン氏の予算案には、連邦政府の大幅な出費削減が見込まれていて、これは約4,000億ドルにおよぶ様々なプログラムを削減するため、2013年までに130万人、2014年までに280万人の雇用が減少する結果になる。また、ライアン氏は「ペル・グランツス」と呼ぶ連邦政府の大学教育援助プログラムを破棄することを提唱している。これは、10年間で2,000億ドルを削減することが見込まれている。

ライアン氏は、ロムニー氏から2年間の所得税申告書提出の依頼を受けていて、その情報は2日前に公開された。18日の『ワシントン・ポスト』紙によると、ライアン氏の家族は石油やガスの掘削、鉱業および砂利事業などを含む4社のビジネスを営んでいることが判明している。ライアン氏と彼の妻は、石油やガスのエネルギー事業で税制上の優遇措置により、間接的恩恵を受けていることが所得税申告書と財務情報の公開文書で明らかになっている。ライアン氏は、大手の石油会社に対する400億ドルの補助金提供を支持している一方で、代替燃料やクリーン・エネルギー技術開発に対する予算は2013年までに30億ドルの削減を提唱している。ライアン氏のエネルギー政策は、家族のビジネスの関連性から考慮すると、偶発的ではなさそうだ。また、ライアン氏は、オバマ政権の今後10年間の軍事費約4,900億ドルの削減計画にも反対している。

要するに、ライアン氏は、メディケアの改革、社会保障の民営化、フードスタンプなどの社会福祉の排除、教育費や技術開発研究費などの削減を通して、予算を大胆に減少する一方で、石油掘削事業の補助金や軍事費の増大を奨励した極端な経済政策を掲げている。国民は、全く異なるオバマ氏の経済政策とロムニー・ライアン経済路線のいずれかを選択しなくてはならない重大な責任を負っている。

しかし、最近の選挙キャンペーンは、辛辣、嘘、曖昧さが顕著であり、歴史上最悪の選挙戦であると言われている。18日、ライアン氏は、フロリダで退職後の年配層が最も多い地域での選挙演説に母ベティを連れて参加し、「メディケアは母も利用している。ロムニー氏と自分はメディケアを必ず保持する」と述べたが、受益者が医療費を賄うため、定まった金額を受給するクーパン制に改革するその構想については、具体的な説明を避けた。多かれ少なかれ、政治家は嘘をつくが、ライアン・ロムニー両氏は、オバマ氏のメディケア・プランは7,160億ドルを削減するため受益者に不利であると公言している。しかし、実際は、連邦政府が民間の医療保険会社に支払う不当に高い補助金を削減することで今後10年間のコストの節約を予測しているCBOの推定額が7,160億ドルなのである。ライアン・ロムニー両氏の選挙宣伝にはこのような意図的な歪曲が目立っているが、これはほんの一例に過ぎない。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。