アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

共和党全国大会の開催は、ハリケーン・アイザックの影響で27日の初日がキャンセルになったが、28日午後から開始された大会でロムニー・ライアン両氏は共和党大統領候補および副大統領候補としてそれぞれ公式に認定された。初日の主要スピーカーは、ほぼ最後の出番となった、ロムニー氏の妻であるアンとニュージャージ州の知事クリス・クリステイであった。

アンのスピーチは、最近、各種の世論調査でロムニー氏の女性の支持率が、平均10ポイント前後オバマ氏にリードされているため、女性を意識した印象があった。高校の時の出会いから長年知っている夫のソフトな側面をアピールし、夫を支える妻の立場から愛情について語り、「ミット以外にこの国を良くする人はいない」、「彼は信頼できる」、「問題解決のために生きている夫にチャンスを与えてほしい」と熱のこもったスピーチであった。また、5人の子供を育てることの困難さ、母親としての責任を語りながらも、庶民の生活を知らない彼女は、一般的な女性の側に立って支援する言葉はほとんどなかった。クリステイ氏は、抽象的な表現でオバマ政権の批判をする一方で、「愛されるより尊敬される」共和党のリーダーシップを目指すことを鼓舞するスピーチを行った。又小さな政府を強調し、労働者クラスに負債の真実を知らせ、教師に対する教育改革を促した。ロムニー氏は、終始、多少憂いのある表情であった。

共和党全国大会は開催寸前まで、多少、管理的な問題や疑問が提起されていた。この時期のフロリダは、台風シーズンであることは一般的に知られているので、慎重なスケジュールを設定できたはずであるが、ロムニー陣営は、どうしてハリケーン・アイザックが予測される時期を選んだのか?その理由は、共和党全国委員会は、タンパを開催地として選択する1年以上前に、気象専門家に相談したところ、タンパが直接ハリケーンの被害を受けたのは100年位前の事だと言われたからである。どうやら、ロムニー氏の委員会は一人だけのアドバイスをあてにして、入念な対策を取らなかったものと思われる。結果的に、数日前まで、ロムニー陣営はかなり神経質になっていて、党の選定委員会がタイミングの悪い時期にタンパを認可したことを、お互いに批判しあうという事態が発生。2年前、共和党全国大会の元議長だったマイケルー・スティール氏も責任を問われたことの不快感を吐露した。また、大会ホールでは、初日がキャンセルなり、大会が縮小されたことに不満を述べる支持者もあったようである。

ロムニー氏の選挙陣営が民主党の共同体であるフロリダのタンパを選んだことも一般に疑問視されていた。フロリダのタンパは、民主党の勢力地であるが、参加者が最初に目に止まるユーモアは、空港から会場に向う途中にある大きな看板に書かれた民主党の市長と市の委員会のメッセージである。そのメッセージは、「共和党全国大会参加者の皆様、タンパ湾にようこそ。タンパは、米国で最大の無党派州の中で、民主党の地域であることを気付いてほしいです」と記載されている。ロムニー陣営がそのことを知らなかったとは思えないが、場所の選択は、単なる戦略的なものであるか、便宜上のものであると思われる。オバマ陣営も、無党派州で同姓愛者の結婚に反対する有権者が圧倒的に多いノース・キャロライナ州で9月3日から民主党全国大会を開催する。共和党大会の会場には、ユタ州やアリゾナ州の数箇所の都市が候補に上がっていたが、共和党選定委員会が5月中旬にタンパを選択した後、タンパ湾の主催委員会が準備を開始したため変更は難しいものがあったと思われる。また、両党の大会は、開催地での多額の歳入が期待されている点も見逃せない。

また、大事な大会にジョージ・W・ブッシュ前大統領、デイック・チェイニー元副大統領、さらに、共和党全国大会の元議長マイケルー・スティール氏の3人の主要人物が出席していないことを疑問視する声もある。リストにさえ記載されていない理由は、過去に論争的だった人物を自分の身辺に近づけたくないロムニー氏が彼等の参加を拒否したからである。ブッシュ氏は、2008年の大会にも参加せず、退任後ほとんど公の場所に姿を見せなくなっている。イラク戦争が間違いであったとする世論が高まった数年前から、イラク戦争での拷問を強化したことで人権団体などから弾圧を受けている理由もあり、世論の評価が辛辣になっているためでもある。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。