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二日目の共和党全国大会は、昨夜東部時間の夜7:00から10:30頃まで、詰まったスケジュールで開催された。主要スピーカーは大会の最後に登場したジョージ・ W・ブッシュ政権下の元国務長官コンドリサ・ライスと副大統領受諾スピーチを披露したポール・ライアン氏であった。他の登壇者も含め、いずれのスピーチも、美辞麗句を用い雄弁であったが、ほとんど、オバマ大統領に対する批判と皮肉が顕著であった。

しかし、コンドリサ・ライスは批判を避け、スピーチは知的で冷静で、「最も素晴らしかった」とのメディアの評価があった。ジム・クロウ〔黒人差別〕法で、幼少の頃、ハンバーガーさえ買うことができなかった女の子が夢を持ち続け、国務長官になったことを語ったとき、彼女は大きな喝采を受けた。米国での移民の重要性と教育改革ついてに語り、貧しい家庭の子供達がいい学校に通っていないため、遅れているK12分野での教育改革の必要性を訴えた。しかし、移民の話をした際、会場はしらけていた。ブッシュ政権は、教育の重要性を提唱し、<一人の子供も取り残さない法>〔No Child  Left  Behind Act)を制定したが、現在、極右傾向の共和党は、教育費さえ削減しようとしている。一方、これを維持しようと努力しているのはオバマ氏と大半の民主党議員である。普段、国内政策を語らないコンドリサ・ライスがどうして、この議題を共和党の大会で持ち出したのか、その心理は理解できる。

一方、ポール・ライアン氏の副大統領受諾スピーチは、明快で、落ち着きがあったが、コンドリサ・ライス以外の他のスピーカと同様、オバマ氏への批判と意図的な誤情報伝達が目立ったため、早速、「有権者に対し不正直である」と多くのマスコミが糾弾している。ライアン氏は、オバマ氏の医療改革法は「2000ページにもおよぶ複雑な法案で、自由なアメリカ社会には受け入れ難いものであるため撤廃する」ことを公約した。また、会場に参加した家族を紹介したライアン氏は、メディケアは、自分の子供の次世代にも重要であるため保持するが、「別な方法で維持する」と述べただけでその具体的な説明は避けた。ライアン氏のメディケア政策は、コスト削減政策の一環として、年間定額のクーパン制で、結果的に個人負担が増大する制度であることは、すでに一般的に知られている。

メディアの注意力、反応の鋭さ、迅速性は顕著である。特に、誤情報を伝える政治家にはすぐメスが入る。特に、ライアン氏のスピーチにスポットを当てた、30日の『ワシントン・ポスト』はライアン氏が述べた複数の誤情報に対するファクト・チェック〔事実検証〕を公表した。それによると、まず、ライアン氏は自分の故郷であるウイスコンシン州のジョンズビルにあったジェネラル・モーター(GM)の工場が閉鎖されたのは、オバマ大統領の責任であるような発言をした。ライアン氏は、「その工場で、もし、政府が支持すれば100年は存続すると思うと、オバマは2008年に述べたが、その工場はその後1年も存続せず、現在閉鎖されている」と視聴者を前に語った。

しかし、同紙は「オバマ氏のそのような発言は、2008年の2月であるが、ライアン氏の表現の仕方は、2009年すでにオバマ氏が大統領に就任してからGMの工場が閉鎖したような印象を視聴者に与えたと指摘。事実は、2008年6月にGMが閉鎖を発表した後、ライアン氏が工場を保持するよう緊急要請した、というのが事実であると述べている。GMの工場は、大統領就任前の2008年の12月までにはほとんど閉鎖されていて、100名の労働者は、2009年4月までの契約でイスズ・モーターと契約が完了していた。実際は、完全な廃業ではなく、景気回復を待つ一時閉鎖であったと伝えている。

ライアン氏の40分間のスピーチの最中、涙を流しながら聞いていたウイスコンシン州の知事、スコット・ウオーカー氏をカメラは捕らえた。大会終了後、NBC系列のニュース番組のスタジオと中継を介してインタビューを受けたウオーカー氏は、ライアン氏のこの箇所の話題を持ち出し、同州でのGMの閉鎖は、オバマ氏の責任であるような発言をしたため、スタジオに控えていた複数のニュース・キャスターの一人に、「GMの閉鎖は大統領とは一切関係ない、そんな根拠のないことを言うのはやめなさい」と叱責される一幕もあった。

次ぎに指摘されたライアン氏の発言は、「オバマの景気刺激策は、納税者には何ら得るものはなかった。政府の借金は無駄に使われた。また、刺激政策は、最悪の政治的な愛顧、企業福祉、縁故主義に利用されるケースであり、この国で働く貴方のような男性と女性は除外されている」と述べた。

しかし、これはひどい誇張である。15機関の研究グループが調査した12グループの研究結果は、肯定的な効果があったとことを評価している。しかも、ライアン氏自身も、ウイスコンシン州に景気刺激策の資金を提供するよう要請し、資金要請の目的をソーラーパネル設備に特定した際、要求額に近い5.35億ドルを受け取ったその工場は失敗に終わった事実をライアン氏は語っていないと同紙は反論している。更に、2009年に制定した景気刺激策の融資を受けた複数の州は、道路整備のため、一時的に多くの建設業者が職を得、各地で道路整備を可能にした。

また、メディケアに関しても、「オバマ大統領は、我々が望みもしないオバマケアの受益者に支払うため、メディケアから7160億の予算を取り上げたため、両親や祖父母に対する我々の義務を犠牲にしている」とのライアン氏の発言に対し、同紙は、「下院予算委員長であるライアン氏は、おそらく言葉の遊びをやっていることは自分で気が付いているはずである」と述べ、「連邦政府の予算案は複雑であるため、一般の国民を惑わし易い」と批判的に報じた。また、「メディケアの推定預金額からは、不意に発生する全国民の医療改正法の費用に回されるが、全ての政府の資金は代替可能である」とする部分での真実を伝えていない、と同紙は指摘した。

現在、全国放送のCNNを始め、ニューヨーク・タイムスなど複数の大手メディアと連動して多くのマスコムはこの大会は概して、「言葉の巧みさ」が目立ち、ライアン氏は「不正直」な印象を与えたことを興奮した様子で伝えている。

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