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共和党全国大会(RNC)および民主党全国大会(DNC)は有権者に全く異なった2つのビジョンをより明確に認識させる機会を与え、いずれも、大会の成功に向けた努力と熱意が感じられた。しかし、RNCに比較して、DNCの主要スピーカーは、より論理的で、オバマ氏を再選させる理由を有権者に理解させるための論争が際立っていた。

その最も顕著な点は、研究に基づくデーターを使用し、具体性があったことである。特に、2日目のビル・クリントン氏の50分間のスピーチは、米国近代政治の歴史的観点から、民主党の革新性や創造性、中流家庭の弱体化に至るまで具体的でずば抜けていた。例えば、1961年以降、共和党の大統領がホワイトハウスを保持した年数は28年間、民主党は24年間であり、この52年間の経済状況は6600万の民間部門の雇用を生み出した。このうち2400万は共和党の大統領が就任していた時であり、4200万は民主党の大統領の時であると詳細な数値を提示した。また、2011年10月までには、約50万の製造業の仕事が生み出され、1990年代以降初めて、オバマ政権下で製造部門の仕事が増大したとクリントン氏は述べた。複数のメディアは「RNC側には、クリントンほど卓越したスピーカーはいなかった」と評価した。

最終日に、オバマ氏のスピーチの前に登壇した、副大統領のジョー・バイデン氏も、最悪の経済危機に就任したオバマ氏は、過去29ヶ月で4百万の民間企業の雇用を生み出し、ジェネラル・モーター(GM)を救済したことを強調し、オバマ氏が経済的側面で無能な大統領であると批判し続けたロムニーとライアン両氏に対抗した。バイデン氏は「ロムニーは、自動車産業を救済することの意味を理解していない」と指摘。事実、ロムニー氏は、「GMを倒産させればいい」と述べたことがある。また、医療保険改革法を撤廃し、クーポン制に変えるロムニー・ライアン路線のメディケア政策は誠実ではない、負債減少の準備もないと批判し、福祉を単に「依存の文化」と考えている彼らとは根本的に違うと述べた。

また、RNCは総体的に、オバマはリーダーシップに欠けると批判し、ロムニー氏のリーダーシップを強調した点が顕著であった。一方、DNCは、協力精神と威厳を強調し、苦境時代の大統領として「オバマは最も優れた戦士で、信じられないほど確信に満ちた男性である」とバイデン氏はオバマ氏を称えた。クリントン氏も、彼自身が知事時代から、共和党の大統領と共に様々な問題を解決し、お互いに協力して政策に取り組んできたが、現在、共和党を支配している派閥勢力は、政府を敵とみなし、妥協は弱さであると考えていると述べた。また、オバマ大統領が再選されるべき主な理由の一つは、党派を超えた協力精神を重視しているからであると力説した。

ミッシェル・オバマのスピーチも、リーダーとしての威厳を強調し、夫の人格的側面を前面に打ち出し、視聴者の心を捉えた。アン・ロムニーも、夫は問題解決のために生きていると述べた。二人とも、影で夫を支える妻の立場から、愛情と信頼性を伝えた点では共通点があったが、アンは「成功したことを謝罪しない」と述べ、階級意識を前面に出した点は、経済的に苦しかった学生時代を語り、精神的な豊さを強調したミッシェルとは、人間としての側面から次元が違うことを感じた。

また、DNCの複数の主要スピーカーであった、ハリーリード氏や、クトントン氏、副大統領のバイデン氏は、上院少数党院内総務のミッチ・マコーネル氏がオバマ氏を一期で終わらせることが共和党の優先課題であることを表明したため、両党の分裂が生じ、党派を越えた協力精神が欠如していることを有権者に伝えた。クリントン氏は、オバマ大統領は、共和党議員と医療保険改正法、負債の減少、および雇用などの問題を共和党と一緒に取り組む努力をしたが、うまくいかなかったと述べた。たぶん、それは2年前、共和党上院議会のリーダー(マコーネル氏)と彼の仲間らの優先課題は、失業中のアメリカ人を仕事に戻すことではなく、オバマ大統領を締め出すことだからだと述べ、「上院議員、貴方の意向に反するのは申し訳ないが、我々は、オバマ大統領の再選を願っている」とマコーネル氏に語りかけるような口調を展開した。

更に、DNCの主要スピーカーに比較して、RNCでのリーダ達は、ロムニー氏を後援する理由や功績を称えることより、自分自身の業績をアピールすることに熱心な印象があった。『ワシントン・ポスト』のコラムニスト及び、ピューリッツァー受賞のジャーナリストであるユージン・ロビンソン氏は、ニュージャージー州の知事、クリス・クリスティやフロリダ州の上院議員、マルコ・ルビオなどは、偶然、2016年の共和党大統領候補者になる可能性があるため、ロムニーの支持表明より、自分自身のアピールに時間をかけたと述べている。一方、DNCのスピーカーは一貫して、オバマ氏を投票することの正当性と意義を強調し、ロムニー氏を投票することは、メディケア、社会保障などを含めて、有権者にとってマイナスになる理由を明確にした点で共通のテーマがあった。また、クリスティ氏のような「自己満足的な発言と自己宣伝」は一切なかったと述べた。

ロムニーとライアン両氏のスピーチは、「オバマが米国を弱体化させた」と主張する傾向が顕著であったが、それに対し、DNCの主要スピーカーは、「米国は低落していない」と反論した。このような様々な要因から、ユージン・ロビンソン氏は、「民主党全国大会の方が希望がある」と評価している。しかし、オバマ氏は、「スピーチの良し悪しが勝利の要因ではなく、それは貴方次第です」と述べ有権者の強力な支持を求めた。確かに、スピーチの成功が当選に結びつく保証はないが、無視できないプラス要因はある。大会終了後、複数の世論調査はオバマ氏の支持率が上がったと報告。CNNが9月7日から9日まで実施した世論調査によるとオバマ氏の支持率は52%、一方、ロミニー氏は46%で、拮抗状態が続いた大会以前の状況より、現在オバマ氏への支持率が好転している。

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