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ロムニー・ライアンのキャンペーンに対する不満は、ライアン氏の最も熱心な支持者の間で頂点に達しているようである。ライアン氏が副大統領候補に選ばれた当初、保守派は、確信的で具体的なライアンが、ロムニーの曖昧さをカバーするとの期待があったが、現実は全くの期待はずれであり、共和党の間で懸念が拡がっている。

9月23日の『ワシントン・ポスト』紙によると、共和党は、ロミニー氏がライアン氏のように、もっと確信に満ち、具体的になってくれることを期待していたが、フロリダ州タンパでの共和党全国大会(RNC)以降、ライアン氏は曖昧で慎重になり、事前に設定した論点以外の話はしなくなり、ロムニー氏と同類化しているという。ロムニー・ライアン組に当初期待していた人達は、現在のロムニーのキャンペーンは、「慎重な戦略を倍増」させ、ライアンの「トレイドマーク」であるメディケアの解体、税制改革、予算調整など、「国が抱えている肝心な問題の論議を避け、オバマ大統領が自分自身を敗北に追いやることを望んでいるようだ」と感じている。

RNCでライアンのスピーチを涙ながらに聞いていた、ウイスコンシン州の知事、スコット・ウオーカー氏は、ライアンは「彼が持つ能力が最大限に生かされていない、最近、ライアンには本来の情熱が見られない、共和党キャンペーンの誰かに抑圧されている可能性がある」とラジオ・ホストのチャーリー・サイクスに語った。これを受けて、ライアン氏は、21日のキャンペーンの最中、「絶対に自分の役割に満足している」と同紙記者に語っている。又、「自分たちの全国的なキャンペーンは、地方の人達や地元の記者団と話をしている。自分の役目に興奮しているし、気楽だ」と語ったという。

しかし、保守派は、ロムニー氏のキャンペーンに対して、予算案などオバマ氏との政策の違いをもっと明確にする必要があると批判している。ライアン氏は、「ロムニーは経済を建て直すため、どのように負債と赤字を減少させるかについては、既に具体的な政策を示している」と弁護しているが、ライアン氏の支持者は納得していないようだ。支持者は、ロムニー氏の予算調整、税制改革、政府縮小の政策は具体性に欠けると不満を抱いている。また、ロムニー氏のキャンペーンは、ライアン氏が副大統領候補に指名される前の戦略に戻ったとメディアは感じている。

支持者側から提起されているこのような批判の原因は数点あると思う。まず、最近の失業率が8.3%から8.1%に減少し、オバマ氏に対する経済評価が好転している。更に、クリントン氏も大統領の再選を予測するほど、民主党全国大会後の世論調査がオバマ氏に有勢であることへの焦りがあるのではないかと考える。また、曖昧さを戦略とするロムニー・ライアン両氏のキャンペーンの意図は、筆者が8月30日の「失望的な二日目の共和党全国大会」でも述べたとおり、RNCでのライアン氏のスピーチに、多数の誤情報があったことが頻繫にマス・メディアに指摘されたため、ウオーカー氏が指摘したように、あまり具体的に論議しない方が得策との意見が背後にあるのではないかと思う。その理由は、メディケアのスクラップ、社会保障の段階的民営化、金持ちに減税する一方で、低所得層に増税する結果となる予算案を具体的に語ると、支持者がパニックに陥るからである。

また、ロムニー氏はRNCのスピーチで、中流家庭を支持すると述べたが、彼の感覚は世間離れしていて、9月14日に「典型的な中流家庭は年間に200,000から250,000ドルを稼ぐ」と語った。しかし、2011年度国勢調査局の最新報告によると、中流家庭のインフレーション調整後の中間収入は約50,000ドル程度であり、2010年に比較すると約800ドル減少している。このように一般的に知られている事さえ、誤認識を躊躇することなく語るロムニー氏の具体的な予算案を聞かされる国民は、混乱と失望に直面することは目に見えている。故に、曖昧さが最善の策と結論を出したのではないかと思う。いずれにしても、ロムニー氏の弱点をカバーするはずだったライアン氏の際立つた具体性のある論調は、なりを潜めているというのが現状である。

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