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23日、ビル・クリントン氏は、オバマ氏が無党派州で勝利していることを理由に、11月の大統領選に勝利すると思うと述べたが、その詳細については語っていない。確かに、最近のニューヨーク・タイムス、CBSニュース、他多数の調査会社の世論調査は、オバマ氏が3つの最も重要な無党派州でロムニー氏をはるかにリードしていることを示唆している。26日の『Talking Points Memo(TPM)』の報告によると、オバマ氏はオハイヨ州で10ポイント、フロリダ州で9ポイント、ペンシルベニア州で12ポイントもロムニー氏をリードしている。この3州では、それぞれ51%の有権者は国の経済をオバマ氏に任せたいと願っていて、各3州の約60%がロムニー氏よりオバマ氏の方が、彼等の問題を理解し、真剣であると評価している。

現在、オバマ氏の勝利を予測する風潮があるが、支持率を直接、選挙結果の予測に結びつけることは、若干危険である。その厄介な問題は有権者ID法である。複数のメディアは、有権者ID法が、今回の選挙に何らかの影響を及ぼすことを懸念している。有権者ID法の最も厳しい条件は、写真付きIDであるが、現在、写真付きIDを義務づけている州は全米に9州、写真付きIDを要請している州が7州存在する。しかし、ウィスコンシン、ペンシルベニア、および他の複数の州で、ID法をめぐって訴訟中である。更に今後多くの郡や州で、ID法に関する訴訟が増大する可能性があるが、解決する時期は選挙後になる可能性が高い。

このID法で問題になるのは、投票を棄権する有権者が増える可能性があることである。26日の『ロイター』によると、2ヶ月間で20,000人を対象に世論調査を実施したところ、圧倒的にほとんどが投票可能なIDを所持している。しかし、18歳から24歳までのアメリカ人の8%、およびヒスパニック系アメリカ人の5%、高卒以下の学歴者の5%、短大卒以上の学歴保持者の1%、また、2%の白人および3%の黒人は適切なIDを保持していない。更に、所得の低いアメリカ人ほど有効なIDを保持していないという。例えば、年収25,000ドル以下の有権者の4%が投票可能なIDを所持していないが、50,000ドル以上でIDを保持していない率はわずか2%である。

このような現状から、オバマ氏に投票する可能性が高い若い世代、第二次世界大戦の退役軍人、少数派、低所得者がこの有権者ID法に影響を受け、IDがないため投票を棄権する可能性があることを指摘。ほんとどの場合、選挙投票率は60%として認識されているが、投票資格のある有権者がID法により、益々、積極的な投票の動機を失う原因になることが懸念されている。世論調査の結果、IDを保持していない人は、選挙前にID法に変更がない限り、投票しない可能性が高いとのことである。

26日の『AP』通信は、有権者ID法が及ぼす影響について、11月6日の投票日に投票結果が拮抗した場合、勝者を把握するのに数日かかるかもしれないと述べている。その理由は、ID法を制定した主な州で、仮投票をしなければならない人数が増える可能性があるからである。投票場にIDを持参しなかった有権者も、とりあえず仮投票できるが、指定された期日内にIDを持参しない場合、その仮投票は無効になる。選挙日後、仮投票の有効又は無効となった人数を数える必要がでてくるため、数日または数週間かかることも予測され、混乱をきたす原因になる。

2008年の大統領選までにはすでに、特に南部の複数の州は有権者ID法を制定していたが、写真付きIDを義務づけていたのは、ミズリー州とジョージア州だけであった。AP通信の記録によると、2008年に仮投票した有権者数は約200万人で、そのうち69%の仮投票者が有効になっている。今年は、裁判で紛争中のウィスコンシンとペンシルベニアを含めて、バージニア、フロリダのような競争力のある4州で、仮投票が増える可能性がある。また、カンザス州、ミシシッピ-州、サウス・カロライナ州とテネシー州の有権者ID法は、州または地方選挙に影響を及ぼす可能性もあるようだ。

11月6日〔火曜日〕に仮投票した有権者がIDを持参する期日も、州によって規定が異なっている。ウィスコンシンとバージニアは金曜日まで、ペンシルベニアは6日間を与えている。オバマ・ロムニー両氏にとってもっとも重要なオハイヨ州は、仮投票後10日以内に郡の選挙委員会にIDを持参する必要がある。このような規定を含むID法は、選挙プロセスを遅らせ、混乱させる可能性は多大である。

現在オバマ氏の支持率がリードしていても、実際の選挙で圧倒的な勝利をしない限り、拮抗した州では再度投票を数え直す可能性も出てくる。このリカンウト・プロセスは問題を複雑にすることは、数週間勝利の結果が判明しなかった2000年大統領選のフロリダ州の事例が証明している。また、有権者ID法に影響された仮投票がどのくらいの規模になるのか、またどのくらい仮投票が無効になるのか、このカウント・プロセスにミスが発生しないかどうかなど、オバマ氏の好支持率とは裏腹に、様々な点でID法には重大な不安要素が潜んでいる。

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