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消費者のウオッチ・ドッグとして知られる消費者報告(CR)は10日前、米と米製品に、比較的高量の発癌性物質である砒素が含まれていることを報告した。CRから試験の要請を受けた米国食品医薬品局(FDA)は、CRの発見が正しいことを表明したため、米国政府も食品に含まれる砒素の基準に関する法案を制定することを検討し始めた。複数の民主党議員らは、CRの調査を受けて、米と米製品の砒素含有限度を定める法案を紹介した。

9月24日の『フード・セイフティ・ニュース(FSN)』によると、現在、砒素に関する連邦政府の安全性基準は飲料水だけであり、現時点では高い砒素が混入されている可能性の高い米や米製品には、その消費量と安全性の基準に関する具体的な指標がないため、国民は戸惑うだけある。筆者は、CRが公表したオリジナル文献『食品に砒素:我々の発見はこの毒素に関する連邦基準の必要性を示唆〕』を読んで更にショックを受けた。

米国は主に農業で化学肥料を大量に消費する国でもあるが、文献によると、その化学肥料に含まれる砒素が、特に米に付着しやすいという。しかも、砒素又は無機砒素が混入している食品は、米と米製品だけではなく、野菜、果物、水、オレンジ・ジュース、りんご・ジュース、グレープ・ジュースにも混入していることが懸念されている。米国の環境保護庁(EPA)は、水を除いて、これら2種の砒素に汚染された食品の安全基準は現実的には存在しないと仮定している。

また200以上の米製品を分析したCRは、米の種類によっても砒素濃度に差があり、精製した白米より、長粒の玄米がより砒素濃度が高いと報告している。生産地も重要であり、2010年の米生産農地面積から言えば、カリフォルニア州が15%、アーカンソー州が49%、残り36%はルイジアアナ、ミシシッピー、ミズリー、テキサスの4州である。国内消費量の76%を占めるアーカンソー、ルイジアナ、ミズリー、テキサス州で生産される白米の試験サンプルは他の地域で生産される白米の試験サンプルより砒素濃度が高いと報告。更に、人種別の試験では、特にメキシンカン、ヒスパニック、アジア系で米を食べる人口層に砒素濃度が高く、リスクがあると述べている。しかし、砒素の発生源に関係なく、土壌に砒素が多く含まれている場合、米の収穫量は著しく減少するという。また、気候や地質も大事な要因である。

米の砒素混入の長期的研究は比較的最近になって開始されたが、子供の環境健康と疾病予防研究センターは、1日にカップ半分を多少超える程度のご飯を食べた人の尿に、連邦政府基準1リットルの飲料水に含まれる10 ppb(パーツ・パー・ビリオン)に匹敵する砒素が発見された試験結果を発表している。

またCRは、自然より人間が人間の健康を害していることを指摘している。米国は世界最大の砒素使用国であり、1910年から160万トンの砒素を農業および工業目的に使用している。使用量が50%減少したのは1960年代の中頃からであると述べている。更に、ヒ酸鉛が混入された殺虫剤は1980年に禁止されたが、農地の土壌に今日も残留している。また動物の病気を防ぎ、成長促進のため使用する家畜飼料中に含まれる他の砒素化合物は現在でも許可されている。更に、家禽廃棄物から作られた肥料は無機砒素が含有しているため作物を汚染する可能性があると述べている。

従って、米又は米製品のみが砒素を含有しているわけではない。EPAの推定によると、最も汚染の可能性があるのは野菜で24%、果物とフルーツ・ジュースに18%、米類の17%が無機砒素に汚染されている。欧州食品安全機関による更に完全な研究結果によると、穀物製品は50%以上が無機砒素を混入している。CRによると、米は他の植物より汚染された水、又は土壌から砒素を吸収する効率が高いそうである。

このような状況から乳幼児の健康が懸念されている。4ヶ月から12ヶ月の乳幼児が食べる穀物製品〔コーンフレークの類〕をブランド別に試験したCRは、Gerber SmartNourish Organic Brown Rice cerealが最も砒素度が高く合計329ppb、Earth’s Best Organic Whole Grain Rice cereal は合計149から274ppbの砒素が検出され、1食あたり1.7から2.7マイクログラムの無機砒素が確認されている。また、ライス・ドリンクは1食当たり4.5マイクログラムまでの無機砒素が検出された。幼児はこのような穀物製品を一日2~3食は摂取するため,癌になる危険性は許容範囲の2倍であることが報告されている。また、子供や妊産婦に対する健康被害が警告されている。

CRの研究に参加した3,633人の尿検査の結果によると、1品の米製品を食べた人は、食べなかった人に比べて尿に検出された砒素の割合は44%高く、2品目以上の米製品を食べた人は、米製品を一切食べなかった人の尿検査に比較して砒素濃度は70%高いことが判明した。従って、米製品と砒素の相関関係は強固であることを確認したと報告している。また、りんごまたはグレープ・ジュースを飲んだ人の尿に含まれる砒素の割合は、飲まなかった人に比較して、平均的にほぼ20%高いことも報告されている。CRはFDAにりんご・ジュースやグレープ・ジュースの砒素濃度限度を3ppbに設定することを緊急要請した。

更にCRは、政府に対し、米、米製品、野菜、果物、ジュースなどに混入する安全性の基準を制定することや、製造会社も砒素濃度を減少させる努力を要請している。EPAは砒素を含む農薬の使用を段階的に廃止することや、砒素を含む肥料の使用禁止の必要性を強調し、加えて、動物に給餌する砒素含有薬の禁止も要請している。

FSNによると、複数の民主党議員らは、CRの調査を受けて、米と米製品の砒素含有限度を定める法案を紹介した。砒素の危険性について警告を発したのは今回が初めてであり、食品供給の安全性を更に明確にする必要に迫られている。The Reducing food-based Inorganic and organic Compounds Exposure Act、又は RICE法(無機および有機化合物汚染食品を減少する法)は最初のステップであり、ボトル水の安全基準以外は、何も定めていないFDAに対して、米と米製品に含有する砒素の許容限度を定めることを要求している。FDAは、早速、試験サンプル収集を開始し、年末までに約1,200のサンプルの分析を終える予定である。

結論として、チリやアルゼンチンで砒素に汚染された公共水が肺や膀胱癌、更に他の病気を引き起こす原因になることを研究したカリフォルニア大学バークレー校の疫学の教授アラン・スミス氏も、今後の研究を数年待つようなことはせず、早期対策の必要性を強調している。水の安全基準に関しては、年に1回の安全検査結果を報告する地方自冶体もあり、ボトル水の他に、フィルターなど各種の濾過技術器機を利用することが一般的になっている。しかし、農作物の砒素濃度は意外に高いことが判明した今日、個人レベルでも早急な対策を立てる必要がある。CRは、米および米製品の消費量を減少させることを勧めている。また、1カップの米に対し、6カップの水の配合分で米を炊き、余分な水分は米が炊けた後に排水する方法を提案している。水を多量に使用することで、約30%無機砒素を減少させると言う。また、6ヶ月未満の幼児には果物のジュースは飲ませないこと、6歳までの子供には1日4~6オンス〔米国基準:1オンスは29.57ml〕まで、6歳以上の子供には8~12オンスまでに限定することも提案している。個々の食品に関して明確な安全基準が提示されるまでは、消費者が食生活の健康管理に慎重にならざるを得ない状況である。

 

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