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3つ目の「社会保障の違い」に関して、最初に質問を受けたオバマ氏は、社会保障やメディケアの背後にある価値観について話し、メディケアの重要性を語った。オバマ氏が大統領に就任する3日前に亡くなった祖母は、高卒だったが秘書から地元の銀行の副大統領に昇進し、一人で生活するほど自立した女性であったと語った。その理由は、基本的に、保証されている社会保障とメデイケアがあったからであり、祖母のような数百万の人々が依存していると述べた。また、長期的な赤字に対処することが可能であれば、メデイケアのコストを減少できると述べ、保険会社や医療提供者に過剰な支払をすることもなく、メデイケア・プログラムから7160億ドルを預金でき、そのお金で、実際、予防治療にかかる処方薬のコストを減少させることが可能になったと述べた。

一方、ロムニー氏は、退職者には現行の社会保障とメデイケアは何ら変更はないが、今の若い世代の社会保障については、論議する必要があると述べ、また詳しい説明はしなかった。しかし、話題をメディケアに移し、オバマは医療保険改正法の予算調整のため、また、現在の退職者のために、メディケア・プログラムから7,160億ドルを削減していると述べ、そのため、15%の病院や老人ホーム、及び50%の医者はメディケアの患者を受け入れない。従って、自分の政策は、この7,160億ドルをメディケアに戻すことだと語った。また、メディケアを向上させる必要があれば、処方プログラムを含む事ができると提案し、メディケアと社会保障は間違いなく継続する述べた。

これに対し、オバマ氏は、ロムニー氏は将来影響を受ける人達のために明確にする必要があると指摘し、彼のプランは「プリミアム・サポート」と呼ぶクーポン・システムであると述べ、このシステムを支持しない理由を説明。オバマ氏によると、クーポン・システムの提案者はポール・ライアンであり、患者は民間の医療保険会社から医療保険を購入することになり、平均的な老齢者に必要な医療費は年間約6000ドルと推定されているが、クーポン・システムはインフレーションに対応しないので問題であると述べた。また、すべての医療経済学者は「クーポン・システムでは従来のメディケア・システムが崩壊し、重病の老齢者が置き去りになる可能性がある」と警告していることを伝えた。更に、メディケアにはトラスト・ファンドがあるため、皮肉なことにオバマケアを撤廃すれば、メディケア患者は年間6000ドルのクーポン・システムで補えない処方薬にたいして、更に600ドルを個人負担することになり、基本的な診断にも診療所訪問コストも負担することになると説明。

社会保障からメディケアに話題が転じ、この反論を受けて、ロムニー氏は、現在の退職者と近い将来の退職者に対するメディケア・プログラムには変更がないことを支持していると述べた。しかし、次世代には、現存のメディケア・プログラム、又は民間の医療保険の選択肢を与えると述べたが、その具体案は提示しなかった。また、低所得者のためにはメディケアを保持しなくてはならないし、高いメリットが必要であり、高所得者には、メリットを抑える必要がある、それが自分のプランであると述べた。更に、クーポン・システムの考案者はポール・ライアンではなく、ビル・クリントン氏の参謀長の発想であると指摘し、国民が低コストでより質の高い医療を受けるためのメディケアの世界にも競争が可能かどうかを試す発想から生まれ、長期的に存在している構想だとし、「競争を信じる」と語った。

これを受けてオバマ氏は、疲れた表情で「素早く反応できない」と前置きし、殆どの研究によると、メディケアの方が、利益を重視する民間の医療保険会社より管理費が安いので、老齢者や一般大衆はメディケアに満足している。従って、メディケアをクーポン・システムに変えると、従来のメディケアは弱体化し、老齢者は行き詰ると反論した。最後に、「我々はメディケアだけでなく、医療保険の費用を減少する必要がある」と述べた。

この後、ディベートは4つ目の質問である、「現在の経済状況における連邦政府の規制に関する考え方の違い」に移行した。先に応答したロムニー氏は「規制は不可欠だ」と意外な一言から切り出し、「規制がなければ自由市場は成り立たない。ビジネスマンとして規制は必要である」と述べた。また、我々は自分の車庫で銀行を開設し、貸付などできない。経済が成り立つのは規制があるからであり、自由経済にも規制があると述べた。しかし、規制には経済に悪影響を与える過剰なものもあれば時代遅れのものもある。例えば、ドッド・フランク法は多数の規定があるため、経済成長の害になる。この規制のため、ニューヨークの銀行は不平を漏らしていて、多くの小さな銀行は閉鎖したと主張。 更にレーラー氏に「ドッド・フランク法を撤廃するのか」と聞かれ、全てを撤廃せず、部分的に利用し、世界に通用する法に改正すると述べた。また、透明性および研究機関のためのレバレッジ制限を保持する必要があると主張した。

これに対する反論を求められたオバマ氏は、莫大な経済崩壊は、無責任な銀行のビジネス慣行が原因であることを最初に述べ、支払能力のない人にも住宅ローンを組ませた事実を語った。また、ロムニー氏はドッド・フランク法を撤廃すると言っているが、「我々が抱えている問題は、あまりにも多くの監視とウオール・ストリートの過剰な規制があることだ」と思う人がいるのかを聞きたいと反論。ロムニー氏は、この法は地域の小さな銀行を枯渇させているので撤廃すると答えた。

その後5つ目の「医療保険改正法(オバマケア)の違い」についての話題に移行。レーラー氏はオバマケアを撤廃したいロムニー氏の意見を先に求めた。撤廃の理由については、自分の経験から、ニューハンプシャーやウイスコンシン州で出会った人達の多くが、医療保険のコストが高くて余裕がないと言っているからだと述べ、連邦議会予算事務局は、「オバマケアは従来の医療保険より年間2500ドル高い」と言っていると語った。2つ目の撤廃の理由は、メディケアから7160億ドルを削減し、その分をオバマケアに補充するからだと再度強調。3つ目の理由は、選出されていない役員らが、どんな治療を受けることができるかを患者に話すことになる。「私はこんな構想は嫌いだ」と述べた。 更に4つ目の理由は、小規模ビジネスの調査によると、彼等の3/4は「オバマケアは雇用に効果がない」と言っている。23万人が失業している時に、アメリカ人に仕事を与えることより、オバマケアを保持する戦いに2年間も費やしたと痛烈な批判を浴びせた。

これに対し、オバマ氏は、医療費が高騰しているため、小さな事業主が従業員に医療保険を提供できないことを指摘し、保険がなく病気になった場合、家計が倒産することを心配する全米の一般の家庭について語った。特に、民間の医療保険は、既に病気を診断されている患者は加入できないことを例に挙げ、重病などで、その保険が対応しない場合、保険会社は任意の制限を課す懸念もあるとし、全米の中流家庭の安全性を図るためにも、コストを抑えることを目指している政府の医療保険が必要でもあることを伝えた。更に、オバマケアの規定では、個人の医療保険を政府がコントロールすることも、保険会社が任意的な制限を課すこともできない。また、個人が自分の医者を保持することは可能であり、子供は26歳まで両親の医療保険を利用できる。民間の医療保険を購入する人は、18%安いグループ・レイトのプログラムを利用できるなどのメリットを説明した。オバマケアは「雇用を枯渇させる」と言われているため、ロムニー氏は、マサチュセッツ州で同じような医療システムを制定した事を賞賛し、「それは雇用を崩壊させていない」と述べた。

「ロムニー氏はオバマケアを撤廃し、何らかの処置と交換すると述べているが、具体案を表示していない」とオバマ氏に指摘されたため、その点についてレーラー氏に質問されたロムにー氏は、「その説明は長くなる」と前置きし、病気と診断された人も加入可能であり、既に市場で利用されている様に、若い人達は両親の保険を利用できるシステム制定が自分のプランであると述べた。しかし、コスト・ダウンに関しては、ほぼすべての面で、政府より企業の方が効果的にできる思うと述べ、政府が引き継いだ医療保険システムでオバマケアのコストを下げるため、委員会の15人が個人の治療選択に関与する必要はないとし、民間市場と個人の責任を強調した。

これに対しオバマ氏は、オバマケアの条項は、政府の治療選択の関与を禁止している、と反論し、オバマケアは政府が引き継いだ医療保険システムではなく、民間医療保険の大幅な拡大であると述べた。又、ロムニー氏は撤廃した場合の置き換えとなる医療システムについて説明していないと指摘した。また、彼がマサチュセッツ州で同じような医療システムを制定した理由は、すでに病気を患っている人の問題に対処する良い方法が別になかったからだと述べた。

6つ目の「連邦政府の役目に関する違い」に関し、先に発言したオバマ氏は、連邦政府の最初の役目は安全性であり、それが最も基本的な機能であると述べ、就任以来、最高司令官として、毎日取り組んできたと語った。また、連邦政府はあらゆる機会をオープンにし、国民が成功できる基礎づくりを支援する能力があると述べた。その例として、国民が成功するための技術教育をあげ、数学や科学の教育者をもっと雇用する必要があるが、困窮している州はそれができないと語った。しかし、現実は、過去数年間で多くの教師が解雇されている状態であり、ロムニー氏はこれ以上教師は不要だと考えているが、技術を持つ労働者が増える方が雇用創出に繋がると述べた。

これに対し、ロムニー氏は、良い学校は支持するとし、マサチュセッツ州の学校は50州でも一位にランクされている。良い学校は良い教師が鍵だと述べた。しかし、すべての地区、すべての州が決定しなくてはならない問題であるとし、連邦政府の教育の関与を否定した。また、政府の役割は憲法と独立宣言の精神である生命と自由を保護することであり、政府は人々の生活と自由を保護する責任があるが、それは軍事を意味すると述べた。従って、強いアメリカの軍事力を維持するためには軍事費の削減を支持しないと主張。更に、この国の宗教の自由と寛容の維持を信じると述べた。

レーラー氏の最後の質問である「連邦政府は公立教育の質を向上させる責任があるか?」に答えた、ロムニー氏は教育の第一義的な責任は、 州及び地方レベルにあるが、連邦政府も非常に重要な役割を果たすことができると述べた。しかし、「個人的見解としては、連邦資金を州や地区の学校に提供するより、子供や両親は自分の選択で学校に行けるようになってほしい」と語った。これは、現在、経済的に恵まれない家庭の子供を援助する連邦政府プログラムである「タイトルI」を否定することを暗示している。

同じ質問に対し、オバマ氏は、現在両党で改革に努力しているが、連邦政府は教育支持のための資金援助を著しく削減していると述べた。ライアン議員の予算案はロムニー氏が話している理念を反映して、教育の予算を20%削減していると指摘。更に大統領として、数百万の学生に低金利の学生ローンを提供するため、政府がリスクのない学生ローン・プログラムの仲介として、銀行や金融機関に600億ドルを融資したと語った。

又、オバマ氏は、ロムニー氏は「教育には関心がある」と信じるが、大学の費用は両親からお金を借りるべきだと学生に言っているので、自分やミッシエルのような家庭の子供達、デンバー大学に通っている子供達はおそらく選択の余地がないと語り、教育は経済成長の要であり、それを促す連邦政府の責任を強調した。

これに反論したロムニー氏は、教育費は削減しない、削減する計画もない、今後も大学に通う学生の教育援助資金は続けると述べた。また、グリーン・エネルギーを肯定しながらも、900億ドルを投資したが、その資金があれば、200万人の教師を雇用できたはずであると批判した。また、グリーン・エネルギー・ビジネスの半分は倒産したと思うと語り、彼等の多くは、たまたまオバマ氏のキャンペーンの貢献者だと述べた。また、政府の役割は民間部門の有効性を強化することだと語った。

最後に、レーラー氏は、「党派間で全てが行き詰まっているため、連邦政府の立法機能の多くが麻痺状態になっているが、その現状の対処方法について残り3分間で、素早く論議すること」を求めた。ロムニー氏は、党派を超えて連帯的な仕事ができるリーダシップの重要性を強調し、オバマ氏は、民主党、共和党議員が中流家庭を強化し、機会を与える努力をする限り、彼等のアイデアを採用すると述べ、中流家庭と小規模事業主の減税を強調した。

結論として、デンバー大学で開催された初日の両氏のディベートは、総体的に視聴者に、ある種の錯覚を与えた。最後の閉会の挨拶も含めて、ロムニー氏の演説は、まるでオバマ氏が通常話しているような内容に類似した要素が多分に含まれていた。一方、時折感じたオバマ氏の躊躇は、ロムニー氏に似ていて、二人の特徴が入れ替わったような印象を与えた。これは筆者だけの感想ではなく、多くのメディア関係者が同じような事を述べている。オバマ氏は相当疲れていたようであるが、卓越したスピーカーとして知られる大統領を圧倒し、準備万端で登場したロムニー氏が軍配をあげたその教訓は、事前の準備が重要であることを物語っている。いずれにしても、お互いに、認識のずれ、解釈の違いが目立った。ディベート終了後、CNNの女性ニュース・キャスターが、スタジオに集まっていた数十名の無党派の有権者に意見を聞いたところ、1名を除いて、どちらに投票するかを決定するにはまだ情報が必要だと述べた。今後2回のディベートでオバマ氏がどのような戦略に出るかが注目される。

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