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ジョージ・W・ブッシュ政権下の総体減税が12月31日に期限切れになると、2011年の予算調整法案に基いて90%の国民、あるいは全労働者の税率が2%程度自動的に上がることになる。そうなった場合、景気後退が予測されている。この事態をfiscal cliff「財政の崖」と呼び、この危機を防ぐため、民主党と共和党はお互いの前向きな意見交換の中で最も無難な解決策を見出さなくてはならない。しかし、お互いに妥協の構えは示しながらも、双方に絶対妥協できない部分があって、現在交渉は難航している。

オバマ氏は昨日、「自分のように年間収入250,000ドル以上の世帯には、ブッシュ減税を延長する余裕はない」と述べ、「バランスの取れない予算案は拒否する」と言明した。一方、共和党下院議長のジョン・ベイナー氏は、収益をあげる意志はあるが、年収250,000以上の世帯に増税する代わりに、他の「税金の抜け穴(Tax loophole)」を閉じることや、福祉プログラムの修正を主張している。税金の抜け穴とは、税金申告者の税金負債を減少するか、又は除去する税法の搾取を意味する。ベイナー氏が言及している福祉プログラムの修正については、メディケア、オバマケア、教育費など大幅な削減が懸念されるが、ベイナー氏はその提案について具体的なことは一切話していない。

オバマ氏は今日13日、労働者グループのリーダー達と会談した。彼等は、中流家庭の減税と富裕層にもう少し税金を払ってもらうことを強調しているオバマ氏の立場を支持し、共和党議員に圧力をかけるため、公的キャンペーン計画を概説している。オバマ氏は明日、多数の企業の最高経営責任者(CEO )と会談する予定である。これは初めてのことではないが、直接、企業のCEOと会談し、彼等の意見を聞く方向に展開したことは、議会内交渉だけでは解決しないことを示唆している。

ワシントン・ポストとピュー・リサーチ・センターの世論調査によると、38%から51%の米国民は、期限までに交渉は成立しないと予測していて、交渉不成立の結果に対する不安が広がっている。また、60%の国民は、総体的に米国経済に及ぼす否定的な影響を懸念し、年収10万ドル以上の所得者の74%は個人財務上の打撃を予想しているようである。交渉が成立しない場合、「10人中9人のアメリカ人の所得税は急高騰する」ことになる。

基本的には、オバマ氏の財政政策は、兆ドル単位の赤字を減少させるため何らかの歳入が必要であるとし、レーガン政権時代を含めると20年以上繰りかえしてきた「富裕層減税をこれ以上続ける余裕がない」と本人が述べている通りである。米国の負債限度額を更に増大させるか否かの議論もある。負債が増え続け、歳入が見込めない場合、レーガン時代に遭遇したような負債と赤字の双子の財政危機による経済崩壊は免れない。

赤字増大にも限度があるはずであるが、赤字の安全基準とは一体何か?また、米国の現在の財政赤字は安全なのか? その答えは、国が成長率に等しい赤字〔対GDP 比〕であれば、債務水準 は一定に維持されるという。今年の米国のGDPは16兆ドル弱になり、その歴史的成長率は3.25%である。もし、インフレーションを考慮すれば、安全な赤字は5200億ドルから6000億ドルの範囲であるが、昨年の米国の赤字は1.1兆ドルで大きすぎるという。

赤字を削減させるためには歳入が必要であることは、双方が同意しているようである。しかし、「仕事創出者に増税できない」とする共和党の一点張りの姿勢に変化はない。多くの国民が「財政の崖」に落ちる不安を抱き始めた今、オバマ氏の経済政策を支持した有権者に対する大統領の責任は重大である。明日、重要な鍵を握っているかもしれないCEOとオバマ氏の対談が肯定的な解決に繋がるかどうか注目される。

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