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イギリスの国際石油会社・ブリティッシュ・ペトロリアム (BP )は、2年半前の原油流出事故で11名の労働者が死亡した刑事告発で有罪が確定した。米国政府との和解として45億ドルの賠償金支払いが決定したと、15日のCBSニュースは伝えた。

2010年4月20日、BP はメキシコ湾での海底原油掘削作業中、爆発事故を起こし多くの被害者を出した。その後、環境及び生態系に深刻な影響を及ぼす問題として注目されたことは記憶に新しい。隣接沿岸海域への莫大な原油漏れが確認され、多くの湾岸州で多大な被害を蒙った。毎日約80万リットルの原油が海底から流出したため、清掃作業は困難を極め、歴史上記録的な環境災害であった。当時、正確な原因は不明であるとする一方で、ヒューストンやテキサスに本拠がある世界最大の石油掘削機械販売会社・ハリバートン(Halliburton)社が、BP にリースした器材の一部に欠陥があったことが原因であると報じられた。

ハリバートン社は、2001 年2月、ハワイのオアフ島沖でアメリカの潜水艦グリーンビルに下方から衝突され、沈没した実習船愛媛丸の回復作業に関与した会社である。2001年に発足したブッシュ政権下で、副大統領だったデイック・チェイニーは、この会社の株主であり、1995年から2000年までは最高経営責任者(CEO)であった。9.11後は、原油に関係が深いと言われるイラク戦争で影響力が強い人物として知られている。

米国は、1890年から今日まで石油やガス・パイプラインの事故は記録的で1950年代から増え続け、1980年代および1990年代は頻繫に発生している。パイプラインの爆発、または何らかの機能不全による燃料の流出はその規模を問わず、毎年、最低約10回は発生し、2012年は最もひどく30回以上発生している。また、1989年3月、プリンス・ウィリアム湾で座礁したエクソン・バルディーズ(Exxon Valdez)と呼ばれるオイル・タンカーは積んでいた原油が流出し、莫大な環境被害と経済的打撃を与えた事件は有名である。事故が起きる度に、エネルギー政策の問題が問われ、原油に代わる「環境にやさしいエネルギー」の開発に向けた税金の有効活用が提起される。

国立公文書出版社(NAPC)の資料によると、第二次世界大戦後、増え続ける人口及び急速な世界経済の成長により、原油が主な地球的規模でのエネルギー 資源になっている。世界の人口の5%にあたるアメリカは、世界のエネルギーの25%を消費している。アメリカのエネルギー資源は、原油約44%、天然ガス21%、石炭23%、原子力7%、水力発電4%の割合であり、最も依存しているのは原油である。車社会であるアメリカの運搬資源は、驚くことに70%から100%も原油に依存している。NAPCによると、1970年代にアメリカは、原油危機に取り組むため、アラスカにパイプラインを建設するなどの国産原油増産の計画を進め、各地で実験的な掘削を行った。また、ソーラー・エネルギーなどの原油に代わる再生エネルギー資源の研究開発を進めるため、多額の政府資金を投入した。また、自動車の燃料効率をあげるための基準も設定し、戦略的原油保留も行った。この結果、1980年代には原油の生産が消費を上回る過剰状態になり、原油資源を保存する努力が緩慢になった。自動車燃料の効率を高めるための政府の基準も低下したため、再度、燃料効率の悪い大きな車が市場に出回るようになった。

1980年代、効率的なエネルギー政策に失敗したアメリカは、1990年代に再び輸入原油に依存する状況になった。このような状況が続くと、アメリカの市場に出回る原油は、2020年までには60%以上に達し、そのうちの約50%は中東からの輸入原油になるとの見方もある。今日、世界の産業エネルギー資源の85%は原油であり、2015年までには原油の需要は更に2倍に拡大すると予測されている。また、近年、ガソリンの値段が上昇している背景には、2004年にOPECのメンバー国であるサウジアラビアが、1日100万バレルの原油生産を削減すると発表したことも背景にあると思う。原油資源は中東の主な国に集中しているため、今後も世界の原油供給は、アメリカの中東に対する外交政策如何によるものであり、OPECの決断は重大であるとする見方が多い。

アメリカ生物科学研究所は、「アメリカは2050年までに必要なエネルギーのほぼ50%を再生可能なエネルギー資源で補うことが可能」と予測している。2050年までには建築技術が更に高度化し、建物の内部を流通する温熱や寒熱エネルギーを蓄えるシステムも更に進化する可能性がある点や、地理的な違いによる差はあるが、アメリカではソーラー・エネルギー・システムが伸びる可能性があることを示唆している。頻繫に発生するパイプラインの事故や原油漏れ事故による環境破壊と人体への影響を思うと、原油掘削に頼らない、環境にやさしい再生エネルギー資源の研究開発は急務である。

今年の選挙キャンペーンでオバマ、ロムニー両氏はいずれも外国からの石油依存を止めて国内生産を強調し、石油とガスの掘削、天然ガス資源の開発を支持した。これに加え、オバマ氏は、気候変動の懸念から、温室効果ガスの排出量削減を目標にし、風力発電や太陽光発電による再性エネルギーの開発も目指している。ハリケーン・サンディのショックで、ニューヨーク市長ブルンバーグ氏が指摘した天候変動に伴うエネルギー政策を、第二期目のオバマ政権が今後どのように対応するか注目される。

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