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オバマ再選の最大の勝利者は不法移民かもしれない。オバマ氏の第二期目は、包括的移民改正法案の論議が前向きに展開される気配が出てきた。オバマ氏は、早期にこの法を制定したい方針であるようだ。更に、最近、不法移民にとって複数の吉報が伝えられている。

オバマ大統領の再選をきっかけに、多くの穏健保守派の議員らは、GOP〔共和党〕に不法移民に恩赦を与える措置を考慮するよう促し始めた。選挙前までは不法移民に強硬な姿勢を貫いていた、下院議長ジョン・ベイナー氏は先週、「包括的な移民改革は長い間延滞していた」と述べ、本人自身を含め、大統領や他の議員達と「共通の基盤」を見出せる確信があると、積極的な構えを示した。オバマ氏第一期目の共和党議員は、総体的に移民法改正、不法移民問題などについて消極的であった。しかし、多くの保守派議員は、不法移民にはメキシコからのヒスパニック系が多いこと、このグループの人口層が増大していること、不法移民の存在は米国の現実的な問題であることなどを意識し始めたようだ。また、これらの問題の重要性に気付かなかったロムニー氏の敗北を見た共和党議員らは、包括的移民改正法案の取り組みに積極的になり始めた。

折りしも、マサチューセッツ州は、同州の知事デボール・パトリック氏が不法移民に公立の短大や大学への住民費用入学を許可したと公表した。不法移民の親に連れられて入国し米国で育った子供達は、国外追放を免れることが可能になったばかりではなく、就労許可に加え、自由な教育の機会も与えられることになった。10州以上で、すでにこのようなシステムを採用しているが、多くの州で、住民と外国人の学費には決定的な差がある。住民である場合、公立の短大や大学の学費は、外国からの留学生または、市民権のない学生よりはるかに安いが、同州では彼等に住民と同等の権利を与えた。パトリック氏は、不法移民の親に連れられて入国した子供達の立場に同情的であり、公平性を求めていている。基本的に、勤勉で忠誠心のある不法移民に機会を与えるオバマ氏の政策を支持している。これは、市民権獲得の道、またはドリーム法案は、文字どおり夢ではなくなる可能性を示唆している。

また、アリゾナやジョージア州などは独自の移民法を制定しているが、ジョージア州は18日、10,000人以上の不法移民が国外追放を免れるための申請書を受理した。18日のアトランタ・ジャーナルは、8月15日に申請書の受付が始まってから、全国的には既に約309,000人の不法移民が申請書を提出し、全国的に53,000以上の申請書が受理されたという。申し込み数はカリフォルニアがトップで約82,000、次ぎにテキサス州で約48,000、ニューヨークで約19,000である。申請者は、ほとんどメキシコからの不法移民であるとのことだ。

米国安全国土省の推定によると、2011年1月時点での不法滞在者は約1,200万人である。その内25%はカリフォルニア州、16%がテキサス州、6%がフロリダ州、3%がアリゾナ州である。今回申請書を受けつけたジョージア州は、不法移民の数は2010年の220,000から2011年には440,000になり、95%増大している。

もちろん、公立大学へのフリーパスなどの恩赦を快く思わない徹底した不法移民反対者は存在する。保守系『ワシントン・タイムス』紙の記者、ジェフリー・キュナー氏は現実的には大半のアメリカ人は不法移民に市民権を与える恩赦に反対していると述べている。その理由は、不法滞在という犯罪行為に報酬を与えるようなものであり、国境が名目だけの存在になり、アメリカの国家主権を根絶することになるという。充分長く滞在すれば、いつか恩赦が与えられるということが当たり前になってしまうと考えるアメリカ人が多いと述べている。キュナー氏は、多くのヒスパニックは大きな政府を支持しているとし、「ヒスパニックには特に低所得者、低熟練者に多く、公的住宅制度、無料の教育、メディケア、所得税控除とフード・スタンプに依存していると指摘している。「ヒスパニックが民主党に投票するのは、恩赦が第一の目的ではなく、福祉国家を支持しているからだ」と極端な反移民の意見を述べている。

一方、移民は低賃金で仕事を引き受け、税金もきちっと支払うため、移民は米国経済の柱であり、米国は移民の国であるとして、移民を支持し、特別な事情のある不法移民に同情的な人達は、上記のような意見を白人至上主義や人種偏見に基く外国人嫌い、又は外国人恐怖症だと批判する。キュナー氏が述べているように不法滞在者を犯罪人扱いする人達も存在することは確かである。しかし、不法滞在は刑事法に問われる犯罪ではなく、民法による移民法違反であり、「犯罪」とはニュアンスが異なる。もちろん、不法滞在が発覚した場合、強制送還の権限があるのは連邦政府のみである。

17日の『ニューヨーク・タイムス』は、白人文化主義や人種偏見はまだ存在するため、ドリーム法案の制定は時間がかかるかもしれないと述べている。又、共和党は、市民権の確保を明確にせず、労働者のための一時的な法的地位の確保を提案しているが、オバマ氏は基本的平等性のためには、それ以上の事を要求する必要性を明白にすべきであるとし、多様なグループの協力を得て、大体的な移民法の改革に取り組むことを奨励している。オバマ氏の再選は、アメリカは変わってきていること、共和党候補が移民の問題を真剣に考えなかったため、このままでは共和党は衰退していくことに気付かせ、「移民は結局それほど悪くない」と結論づける機会になったと述べている。一部の強烈な不法移民の反対者も存在する一方で、不本意に不法移民になった人達への理解はひろがっていることも確かなようだ。ベイナー氏が包括的移民改正法案の制定に積極的な姿勢を見せ、オバマ氏と「共通の基盤を見出せる」と語ったことは移民問題、特に不法移民に肯定的な前途を思わせる。

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