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置かれた環境に負けず、自己向上を目指す不法移民の学生をボランティアで助ける教育者がいる。10月末、ホットな話題になったその拠点はジョージャ州、アセンズにあるアンダーグランドの小さな教室。学生は、この教室をフリードム・ユニバーステイ(自由大学)と呼ぶ。

米国南部地域は歴史的に保守性の強い州が密集しているが、ジョージア州は、不法移民〔又は不法滞在者〕に対して、平等な教育の機会を閉ざしている3つの州のひとつである。特にジョージア州は、有名な大学への入学を許可していない。そのため、良い大学に通いたい不法移民の学生は、米国市民に比較して2倍またはそれ以上の学費を支払わなくてはならない。しかし、高い学費を支払う余裕のある不法移民は殆どいないため、途中で諦めるか、あるいは最初から入学できない状態である。

そんな学生に学ぶ機会を与えているのが、ジョージア大学の歴史の教授パム・ボウカル氏。彼女のアンダーグランドの小さな教室には、教育に飢えた35名の不法移民の学生が集まる。緊急の教室を設置し、形だけの小さな学校を設立したのは同州の複数の教育者で、毎週日曜日に教えているボウカル氏はそのうちの一人である。公民権時代の頃、南部の奥深い地域で平等のために戦った黒人のために、密かに教育の場所を与えた史跡の場所である。平等の教育の機会を与えられない彼等は、かっての黒人たちの苦しみを現在の自分たちの境遇と重ね合わせて見る。だから学生らは、この学校をフリードム・ユニバースティ(Freedom University、自由大学)と呼ぶようになった。ボウカル氏やジョージア州の他複数の教育者は、学生が学ぶための場所を提供し無料で教えている。もちろん、このような学生には公的資格は与えられない。

ジョージア州議会は、同州の5つのトップ・ランクの大学に不法移民が入学することを禁止する法案を通過した。その直後に台頭したのがアンダーグランド教育である。この法案には、他の公立大学も含めて、住民よりはるかに高い学費の支払を義務づける条項が追加された。不法移民の学生らは多くの大学のキャンパスや州議事堂の前で抗議活動を開始した。しかし、彼らは抗議活動以上のものを望み、コースを提供してくれるよう教育者に助けを求めた。

4歳の頃から米国に住んでいる21歳のマーティン・ロペスは、10代の頃、自分は不法移民であると知っていたと語った。高校を卒業し、短大で幾つかコースを取ったが、入学後、市民権がないとして2000ドル追加の学費を要求された為、続けることが出来なかったとNPRの記者に語っている。マーティンもオバマ氏が6月15日に一定の条件付きで、一時的滞在と労働許可を与えた大統領令の恩恵を受けた推定80万人の不法移民の一人である。彼は、大卒の資格を取りたいが、現在、強制送還を免れるための申し込みをしている状態である。

自由大学のボランティア教授の一人であるロージア・ガルシア氏は、オバマ氏の大統領令は教育について触れていないと注意を促している。「強制送還停止措置は、夢を持ち続けている不法移民が直面している問題の解決にはなっていない」と、不法移民の入学を禁止する法案を制定した同州の現状を指摘している。この教授も、大統領令の一時的措置は、市民権獲得を保証しているわけではないと、根本的な解決策にはなっていないことを突いている。しかし、この大統領令に最初から反対した人達は、「市民権獲得のドア」を開いたようなものだと批判し、そうなることを懸念している。

アンダーグランドの教室に通うマーティンや他の学生は、学位や資格は得られないことは理解している。しかし、いつか、自由大学が彼等のために本当のコースを提供してくれる望みを抱いている。昨年、このような教室で学んだ学生のうち6人は私立大学の奨学金を受けた。不法移民の夢に対する葛藤は当分続くのかも知れないが、その夢を捨てず、学び続けることが道を開く結果に結びつくかもしれない。

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