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明日木曜日22日は、米国の年間行事でクリスマスと同じように重要な感謝祭の日である。次の日の金曜日は、クリスマス・ショッピングの最初の本格的なバーゲン日である。この日は、大きなストアやデパートに買い物客が殺到するためブラック・フライデイと呼ばれるようになった。最も繁盛期のこの日をターゲットにしたブラック・フライデイ抗議を計画しているのが米国最大手のストア、ウォルマートの従業員である。全国4000箇所の従業員は先週金曜日、全国労働関係委員会(NRLB)に全国チェーン・ストアのウォルマート前で抗議を行う旨の要請を行った。昨日は、カリフォルニア、ピコ・リヴェラのウォルマート前で従業員や支持者による抗議活動が行われた。

ウォルマートは規模の面で世界的に有名であるだけでなく、過剰労働、低賃金、女性労働者への差別などの問題で、訴訟が頻繫に発生していることで知られている。ウォルマートに対するウオッチドッグも存在するくらいである。ウォルマートは公式には労働組合を認めていない。21日の『ABCニュース』によると、同社は、米国食品·商業労組(UFCW)の労働組合が同社のストアで不法のピケを組織していると苦情を伝えている。UFCWと連係して、全国約1000箇所のウォルマートの前でブラック・フライデイ抗議活動を計画しているグループは、パートタイムを含む従業員である。彼等は、長時間働いている割には労働時間に見合った賃金が支払われていないと訴えている。要請を受けたNRLBは、UFCWの労働組合や、関係者とのインタビューなどを通して現在調査中であり、抗議活動が労働組合の結成を意図したものなのか、また、ピケの法的問題、全国の店舗でそれぞれ異なった事情があるなど、問題は複雑であると述べている。

ウォルマートの従業員に対する搾取または不公平な労働慣行は、日頃から論争的になっているが、度重なる訴訟に直面しても改善することはないようだ。ウォルマートは巨大になりすぎて、数箇所で何らかの紛争が起きても、安い製品を求める消費者は減少しないからである。しかし、従業員がブラック・フライデイに抗議活動を計画している州は、カリフォルニア、テキサス、フロリダ、ウイスコンシン、他、少なくとも10州はあり、経済的打撃が懸念されている。

中国最大の貿易相手のひとつは米国のウォルマートである。従って、ウォルマートは、アメリカのどのストアよりも中国からの輸入製品を最も多く販売している。また、ウォルマートのチェーン・ストアは中国にも多数進出している。2003年には西友を買収したため、日本でも馴染みが深い。食品、電化製品、日用雑貨、衣類など、ほぼ何でも揃っている。1992年に死亡した創業者サム・ウォルトンは、出来る限り製品を安く客に提供するという経営方針を掲げていた。あらゆる製品がどこよりも安いため、いつも買い物客で混んでいる。アメリカ全土には約4000店舗があり、従業員の数は160万人にのぼるといわれる。また、7日間にウォルマートで買い物をする客数は1億人、つまり、国の約3分の1の人口に達し、アメリカの90%以上の国民は少なくとも年に1回はウォルマートで買い物をすると言われている。

ウォルマートはまさに、グローバリズムを担う最大の多国籍企業であるが、乏しい労働条件、年金の問題、低賃金、人種や性別などの差別問題などに関する紛争が絶えない。ウォルマートの一貫した経営方針は、労働費を可能な限り抑えること、如何なることがあっても労働組合結成の動きを阻止することである。23日に各所で計画されているデモ抗議は、この経営方針に起因する労働慣行に不満を持つ従業員の鬱積した反動が原因であると思う。しかし、不良品回収が頻繫に発生する中国製品に抵抗を示さない顧客、低賃金や悪労働条件でも仕事を求める労働者も多く存在するという雇用状況も、ある意味で米国の現実的な側面かもしれない。ウォルマートは現代のグローバリズムの問題を象徴している。

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