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ドリーム法案は2001年4月に上院議員に紹介され、共和党、民主党が一体となって草案した法案である。現在は、包括的移民改正法案のマイナーな一部になっているとする説もあれば、それぞれ独立した法案として取り扱う説もある。しかし、複雑で多様な法案に基く包括的移民改正法案について語るとき、ドリーム法案についてもその制定の是非が論議される。現実的には、11年以上経過した現在でも議会を通過していないため、その制定の困難さを示唆している。

2001年の紹介後今日に至るまで、最初の草案は度重なる試行錯誤を繰り返し、様々な修正や変更が行われた。2007年には、移民関連の法案を基本として包括的移民改正法案が提案される。数ヶ月後にはドリーム法案が再度紹介されるが、これは防衛法案の修正案にほぼ近いものであった。その後もさらに変更があり、2009年には、移民の資格を提示した法案を盛り込んで再度紹介された。2010年、議会は引き続きドリーム法案を考慮し、大幅な修正案が加えられた。

ドリーム法案を議会で通過させるためには、通常クローチュアーと呼ぶ討論終結の上院議員60票が必要である。頻繁に修正や変更を重ね、紹介される度に入隊条件も厳しくなり、現在もこの法の制定には至っていない。2011年には、上院議員多数派のリーダーであるハリー・リード氏が再度紹介して今日に至っている。このドリーム法案も含めて、包括的な移民改革法を早急に通過させたいのがオバマ氏の意向である。

ドリーム法案に関して、6月15日にオバマ氏は不法移民の強制送還を停止する大統領令を発表した。その主旨は、 不法移民に一時的滞在と労働許可を与えることである。大統領令の強制送還停止の適合者に関する規定は 『米国国土安全保障省』が定義していて、道徳的なものが根底にある。その基準は(1)法案が制定される少なくとも5年前には既に米国に住み、高校を卒業していること。(2)不法移民の親に連れられて入国した時点で16歳以下であること。(3)最低2年間米軍で奉仕し、名誉除隊した者、又は4年大学に在籍し、既に2年間は学んでいる者。(4)犯罪歴がないこと。(5) 30歳以下であること、となっている。

この条件に適合する人たちは、大統領令からちょうど2ヶ月後に米国移民帰化局が開始した申請書を提出できるようになった。しかし、基本的に、上記に適合しない不法移民は米軍への入隊は不可能である。ドリーム法案は複雑であり、イリノイ、カリフォルニア、カンザス、ウイスコンシン、ワシントン、ニューヨーク、ニューメキシコ、ネブラスカ、メリーランド、テキサス、ユタ州は、独自のドリーム法案を掲げている。しかし、住民投票で認可している州はメリーランドだけである。

オバマ政権は、『ホワイトハウス』のHPにドリーム法案の メリットについて宣伝し、まず入隊の動機が拡大すると述べている。更に、高度教育を目指す人口層が拡大するため、世界経済が競合的になると予測している。今後10年間で、赤字は14億ドル減少し、連邦政府の歳入は23億ドル増大すると推定している。またドリーム法案は、国境の安全性も強化すると主張。米国国土安全保障省が 真面目な青年と犯罪者とを明確に区別し、後者の取り締まりを強化できるからである。ドリーム法案の第一歩となる強制送還停止命令の申請手続きは恩赦である、との指摘に対して、2年後更に様々な条件が規定され厳密なチェックが行われると反論している。

ドリーム法案と直接的な関連性は薄いが、軍人を保護する政策に米国国防省のG.I 法がある。上記の様な厳しい基準を通過して正式に軍入隊を果たし、長年奉仕する軍人には学費や失業保険などが支払われる。この法は、1944年にフランクリン・ルーズベルト大統領が制定したものである。現在の制度は過去のG.I 法の一部を更に拡大し、9.11  後のG.I 法として、2008年に新たに制定した包括的な教育支援プログラムである。これに基き、2009年から、軍人が一旦受けた教育費援助は、妻や18歳以上の子供にも譲渡できるシステムに改善された。教育費援助は基本的に現金支給であり、9.11後、すでに6年間軍隊で奉仕し、更に4年間奉仕するという約束が条件になる。このような条件に適合する軍人は、入学する短大および大学の36ヶ月間分の学費を受理できる。

正式に入隊した軍人は連邦政府に属するため、G.I 法の受益があることに加えて、給与および食費や住宅費などの基本手当が支払われる。当然、勤務年数や地位、独身、妻帯者などの条件の違いにより支給額は異なるが、基本的に軍人はかなり優遇されている。このようなメリットがなければ、軍人のリクルートは難しいからである。従って、最初の段階として、不法移民の親に連れられて入国し、米国で育った勤勉な青年達に、段階的にチャンスを与えるドリーム法案は、長期的には、このような軍人優遇制度にもアクセスできる可能性がある。9・11後のドリーム法案を推進したオバマ氏の狙いは、究極的には安定した軍人の確保と強化を意図している側面もある。今後、財政問題が終結すれば、両党でドリーム法案や包括的移民改正法案の論議が展開されるはずである。

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