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30年前に比較して、有色人種、特にヒスパニックの人口層が伸び、教育達成率も向上し、総体的に米国民の学歴レベルが向上している。しかし、高校および高度教育の学位取得率は依然としてヒスパニックが最も低い。その根本的な原因は一体何だろうか?

米国社会で相変わらず変わらないのは子供達が読む本の人種的背景である。米国の子供達が愛読する本の大部分は、登場人物が白人であるという。12月4のニューヨーク. タイムスによると、ウィスコンシン大学マディソン校の協同児童図書センターは毎年出版される子供向け出版物の著者や内容に関する統計をまとめているが、2011年に出版された3,400冊のうち、著者または登場人物がヒスパニックである本はわずか3%であり、10年前と全く変化がない事を指摘している。家庭では英語以外の母国語を話す生徒達と接しているシカゴの小学校教師サンディ・カリロは2年から4年生用に出版された250冊を検査したところ、ヒスパニックが主人公として描かれている本はわずか2冊だったという。

教育者が提案している初等教育の本の中には、著者も登場人物も黒人である本は幾つかあるが、著者や登場人物がヒスパニックの本は少ない。稀に例外もあるが、物語の中に登場する黒人、アジア系アメリカ人、ヒスパニックは助役で、本の物語が描写している主人公は圧倒的に白人であるという。大多数のヒスパニックの生徒を教える教育専門家や教師らは、生徒たちが慣れたイメージが本の中味に不足していることを指摘し、それが学ぶ意欲や動機、物語の要素を理解する上で障害になると分析している。

更に、黒人、アジア系およびインド系アメリカ人の子供達は書店や図書館で、自分と似たような性質の本を見つけるのに神経を集中しなくてはならないと指摘。自宅でスペイン語を話し、英語の本に接する環境が少ないヒスパニックの子供達は、学校ではかなりの挑戦に直面する。カリフォルニア大学の小児科医や社会学者らの新たな研究では、ヒスパニックの子供たちは白人の同級生に比較して、学校に通い始めた時点で、口頭言語能力および読書能力が平均7ヶ月遅れているらしい。また、歴史的にヒスパニックの子供達は、白人の同級生より学業が遅れている。全国教育進度査定(NAEP)の2011年のデーターは、米国教育省が設定した4年生の読書試験で、堪能と判定された白人生徒の44%に比較して、ヒスパニックはわずか18%であったと同紙は述べている。

彼等が話す言葉は、本で遭遇するものとは全く異なるからだとハーバード大学教授のキャサリン・スノー氏は述べている。従って、簡単な標準英語を話す子供のために出版された本でも、家庭で英語の本に接しない環境の子供達には理解できないのかもしれないとスノー氏は述べている。このような懸念を解消するため、南部貧困法律センターや多民族教育に関心を持つ他の教育機関は、多様な本の開発を推進している。

このような問題は新しいことではない。教育者連盟の資料によると、NAEPは1990年、アメリカ全土で20%の小学生の学習に問題があることを伝えている。少なくとも、20%の小学生は人に頼らず、学年に必要なレベルの読書が楽しいと思えるほど、流暢に読みこなすことができない。このような生徒の60~70%はアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、生まれた環境が英語を母国語としない生徒であると述べている。また、貧困家庭のアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック、及び英語能力にハンディのある生徒の読書能力の低さは中流家庭の白人の学生に比較した場合、大きな差があると報告している。しかし、全国で読み書き能力の乏しい生徒の3分の1は両親や家族に大卒者がいるという報告もある。また、読書能力が全国教育進度査定基準より低い学生の49%は両親が大卒であると報告されている。家庭環境が直接学業に反映するとは必ずしも言えないようだ。

総じて、教育専門家は、訓練された教師陣の配置や効率的な指導要領の強化を含めた教育体制の改善があれば教育環境に恵まれない子供たちでも、恵まれている生徒と同じように読書能力は向上すると述べている。アメリカの教育改革は1980年代から様々な実験が試みられ、生徒の学業に著しい進歩が見られるようになっている。1990年代初期には企業の指導者が公立学校の教育改革を補助するため非営利組織を設立し、政府も、教育はアメリカの経済発展と個人の成功の根本的要素であると強調してきた。これは近年、黒人やヒスパニックが白人との高校卒業率の差を減少させている一因かも知れない。しかし、米国の社会は、子供の本ばかりでなく、一般のテレビ番組も圧倒的に主人公を演じるのは白人である。学業がトップ傾向のアジア系アメリカ人にはあてはまらないが、ニューヨーク.タイムスの記事は、根強い人種による学歴差の原因は、ステレオタイプの白人優位の社会的背景も一端であることを暗示している。

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