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銃には銃で対抗せよ?

コネチカット州、ニュータウンでの小学生大量殺戮から1週間目を迎えた今日、銃規制の動きが活発化している現状に反して、銃保護の権利を主張する側の反動も凄まじい。基本的には、銃規制なしに犯罪に対抗する措置の提案がめだっていて、要するに銃には銃で対抗せよと言っている。

武器製造業者は、すでに子供用の防弾バックパックを製造している。これは、背負った時、背中の外側になる部分は、一般のバックパックと変わらない可愛いデザインのもので、中にはデズニーランドの絵が描かれていたりする。しかし、その反対側の背中に直接触れる部分は全面が防弾層になっていて、総体的に素材は軽いものであるという。校内で銃乱射が発生したとき、身を屈めてこのバックパックを盾にして身を守ることが説明されている。(下図参照:Mother Jones 提供)

このような防弾バックパックは、以前から企画開発されていたものであるが、18日のマザー·ジョンズによると、先週からこの製品がブームであるという。人体防護製品を製造するこの会社は、売り上げが先週から1週間で、通常1ヶ月の3倍になったと述べている。「少なくとも何らかの保護になる」とは言っているが、重量的には、子供に負担にならない軽い素材であるため、強力な銃弾に耐えることは保証していない。値段は200~300ドル程度であるようだ。

backpack

しかし、バックパックより過激な発想が浮上している。学校の教師も武装するか、または、武器の訓練を受けた警備員を配置することを提案している州もある。20日のUSニュースによると、サンディ·フック小学校の襲撃事件後、オクラホマ、オレゴン、ミズリー、モンタナ、サウスダコタ州で教師も武装させることを提案し、その為の新たな法律制定を主張している議員がいるという。テキサス州では認可している学校は 隠せるタイプの銃の校内保持を教師に許可している。

更に、銃の大御所である全米ライフル協会(NRA)も、当然ながら同じような立場を主張している。本日21日、 ワシントンで開催された記者会見に出席した全米ライフル協会の最高経営責任者ウエイン·ラピエールは、全米の学校に警察官を配置すべきであると主張している。同日の『ワシントン·ポスト』によると、この会見には 大勢の銃規制の抗議活動家らが押し寄せ、ラピエールのスピーチを遮る怒号が数回あったと伝えている。その中には、「NRAが我々の子供たちを殺している」と書いたプラカードを掲げた抗議者もいたようだ。

NRAは「銃は人を殺さない、人が人を殺す」という哲学を掲げているが、ラピエールも本日のスピーチで、「銃を持つ悪い人間を阻止できるのは銃を持つ良い人間である」と述べ、全米の学校に武器を持つ警察官を配置するため必要な措置を考慮するよう議会に要請した。ラピエールは「全ての学校で銃のフリーゾーンを設けることは、最大の騒乱にたいして最小のリスクを伴うだけで、 気が狂った殺人者に、学校は最も安全な場所であると教えることになる」と主張した。また、ニュータウンでのケースは「武器を保持した警察官が校内にいたら子供達の命は救われていたかもしれない」と述べた。NRAのリーダーは、G·W·ブッシュ政権下で、麻薬取締局長アサ·ハッチンソンが紹介した全米学校保安緊急応対プログラムについても語った。これは、防衛的着想を基盤にした 熟練専門家が開発する技術的情報、教師の訓練、アクセス制御などを含む多様なプログラムである。

ラピエールのコメントは、 各方面から鋭い批判を受けている。銃規制の中心人物であるニューヨーク市長、マイケル·ブルンバーグ氏は、「彼の記者会見は、危機に直面している国にたいする恥の逃避」だと批判し、「自分たちが作った 原因の問題解決を提供せず、更に危険で暴力的な武装ばかりのアメリカを想定した偏執的で陰鬱なビジョンを奨励していると指摘。

ワシントン·ポストによると、2011年、アリゾナ州ツーサンで 頭を撃たれ、奇跡的に一命を取り留めた女性議員ガブリオ·ゲッフォード氏の夫で、元宇宙飛行士のマーク·ケリー氏は、NRAはサンディ·フック小学校に哀悼のメッセージを発表することさえ遅れ、更に、この発言は非常に失望的なものであるとフェイスブックに記載している。民主党上院議員フランク·ローテンバーグは、小学校での銃による悲劇後に、更に武器と武装を普及させる意図を全面に打ち出したNRAリーダの発言は信じられないと述べている。

政府の素早い銃規制の動きを阻止するNRAリーダの対応は、米国から銃による暴力と犯罪を減少させるための提案はなく、このような犯罪は減少しないことを想定した上での発想であることは、誰の目にも判然としている。米国に氾濫する銃により、多大な利益を得ている彼らにとって銃規制が促進すれば、ビジネスに多大な影響があることは必然である。教師の武装を奨励する議員およびNRAリーダの発言は、 銃には銃で対抗することを示唆していて脅威的である。サンディ·フック小学校の悲劇は、単なる銃規制派と銃保持の権利を主張する側との対立ではなく、社会に根ざしている本質的な部分で国を二分することが益々顕著になっている。

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