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銃権利過激派の台頭

銃規制の波動が拡大している一方で、その反動も激しくなっている。武器保持者には、2つのタイプに大別できる。ひとつは武器保持の権利を主張しながらも、 常識的な範囲で銃規制の必要性を認めるタイプと、全ての銃規制を拒否するタイプである。

コネチカット州ニュータウンでの小学校襲撃事件後の12月19日から22日までにギャロップが調査した結果によると、自宅に銃を保持している率は1968年の50%から2012年には43%に減少していることが判明している。1960年から2012年までの年間の平均保持率は43%であり、ほとんど過半数の人口層が拳銃を保持していない。

また、銃展示場で銃販売者も含め、購入者の身元確認を義務づける銃規制を支持する率は1999年2月の83%から2012年の12月には92%にまで上昇している。更に、10弾薬以上の高容量弾薬クリップ付き銃の販売と保持を禁止する銃規制を支持する率は62%で、反対する率はわずか35%である。

此の世論調査は、一般的国民は、銃に対する常識的な観念があることを示唆している。銃保持の権利を主張していても、精神異常者、犯罪者などの手に銃が渡らないよう何らかの銃規制は必要だと考えている国民が大半である。つまり、法を守る国民は銃を保持する権利はあるが、危険な人物への銃入手を阻止する合理的な銃規制を支持している。

近年、自宅に銃を保持している率はわずか全体の43%である事実に比較して、なぜ、ほぼ米国の人口3億に近い2.8億というおびただしい数の銃が米国に氾濫しているのか?屋内射撃が米国のひとつの文化になっていることも一因である。現在,全米で推定17,000前後の屋内射撃場が運営されている。一人の銃マニアが保持する量は少なくとも、最低5挺前後から最高50挺前後であることは既に知られている。ニュータウンの小学校で20人の子供と職員6名を殺害した襲撃犯人アダム,ランザに殺害された母親もその一人であるが、5挺の銃を所持していた彼女は 法的に購入し、自衛保護のため、定期的に射撃場に通うだけの銃愛好者だった。精神病歴のあったアダムは、合法的に銃を購入できなかったため、母親の銃を持ち出し犯行に利用した。

銃愛好者が健全な家庭であれば問題はないのかもしれないが、少なくとも精神病者を抱える家庭に対して、 高容量弾薬銃やアサルト銃に関する具体的な規定が存在していたなら、ニュータウンの悲劇を最小限に抑えるか、または防ぐことが可能であったかも知れない。問題は、銃規制の波が押し寄せている現在、購入者の身元確認を含む全ての銃規制に猛反対している銃権利過激派が再び台頭していることである。彼らは大抵、極右派で人命の保護より憲法改正法第二条の保護と、武器所有の権利を猛烈に叫んでいる。

英国出身のCNNニュース.キャスター、ピアーズ.モーガンは厳しい銃規制を提唱した一人である。ニュータウンでの悲劇後、ますますその立場は強くなり、強固な銃規制を提唱したため、 英国への追放請願を始めた銃権利支持者がいる。テキサス州オースティンのラジオ番組の司会者アレックス.ジョンズもその一人である。ジョンズは、政治的経済的に政府が国民の権力、資力、および自由を奪うとする「右翼陰謀説者」として知られている。南部貧困法律センター (SPLC)によると、ジョンズは同州のオースティンのスタジオで、地球上の人類の奴隷化の勢力、人間の遺伝形質の改良を促進する社会哲学、警察の軍事化、富裕層の秘密結社と,世界をコントロールする極悪な陰謀に関与する国連などの陰謀説に没頭している人物である。

また、ジョンズは自由至上主義思想者として知られるリバタリアンでもある。もう一人の顕著なリバタリアンはケンタッキー出身のテーィパーティ共和党上院議員ランド.ポールである。両人とも猛烈な銃規制反対論者で極端な誇大妄想者である。ポールは、通常兵器の国際取引を規制する国連の武器貿易条約に反対し、武器貿易条約が「裁可されると、政府が市民の銃器を押収する権利を獲得し、全ての銃は国際レベルでの登録が強制され、大幅な銃押収が行われる」と主張している。銃50挺を保持していると述べているジョンズも「政府が国民の銃を取り上げる」と陰謀説を唱えている。SPLCによるとジョンズは、「反政府パトリオット.ムーブメント(愛国者運動) 」の恐怖を利用する陰謀説を唱えている。

この運動は、銃器に深い関係がある。SPLCは昨年、約1,270の反政府パトリオット. グループが前年活動していたことを確認した。その中の約330は民兵のグループで、残りは、コモン. ロー裁判所(普通法裁判所)、出版社、関係省庁や市民団体などである。憲法改正法第二条は「規律ある民兵は、自由な国家の安全保障に必要であり、武器を保持し 携帯する人々の権利を侵害してはならない」とする前半と後半の二つの構文から成り立っている。この解釈については法律家や学者の間で、銃を保持し携帯する権利は、民兵にあるのか、民兵に属さない個人にもあるのか、様々な解釈がなされていたため、2008年、米国最高裁は「個人に武器を保持し携帯する権利がある」と判定した。これは銃規制の動きが激しくなればなるほど憲法改正法第二条を執拗なまでに唱え、如何なる規制も拒否する過激派が台頭する要因になっている。しかし、これは限られた少数派である。世論調査が示すとおり、一般的な常識人は、憲法が承認された1791年には、アサルト銃などのような危険な銃は存在しなかったため、思慮分別のある銃規制は必要であると考えているようである。

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