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ロナルド.レーガン政権の二期目時代に超党派の提案による包括的な移民法が通過したことがある。当時はまだ不法移民の数も現在ほど多くなく、労働需要も高かったため、今日の両党の議員と異なり、レーガンは移民の議論に関しては「最も含みのある表現を恐れずに使った」と3日のワシントン.ポストは報告。当時レーガンは「不法入国した場合であっても、根をおろし、ここに住んでいる人たちに恩赦を与えるアイデアは正しいと思う」と語った。

そのレーガン政権下で、1986年に制定された「移民改革及び管理法」は複数の上院らが最近提案した法案にかなり似ている。その主な類似点は、不法移民に市民権の道を開く事、不法移民を雇用する事業主に罰を与える、 農業に従事する不法移民を合法化する、国境の警備を強化することである。市民権を得るための条件もほぼ同様であり、1986年当時、5年以上米国に在住している不法滞在者は罰金を支払う義務があること、課税の証明をすることなどである。その後、1990年の移民法は、米国で働く合法移民の家族だけに限定したものであった。

1986年、レーガン前大統領は、300から400万人の不法移民に市民権を与えるため、その移民法案に署名した。しかし、この移民改革法は完全な失敗に終っている。1986年以降の10年間は経済ブームにより、仕事を求めてメキシコから国境を超える不法移民の数は劇的に増加し続け、現在1,100万人に拡大。これは国境の警備が不完全であることを意味している。また、不法移民を雇用する事業主に対して処罰する「現実的な法施行の手段がなかった」ため、ほとんど処罰されていなかったという。また、1986年の移民法は、将来の移民の動向に対処するものではなかった。また、1990年の移民法は、合法移民の受け入れが大幅に制限され、労働市場の急激な変化に対処したものでも、家族との結合を望む全ての移民の希望を満たしたものでもなかった。

従って、最近の包括的な移民改正法案に反対するグループは、同じような移民改革法は成功しないと指摘している。しかし、1980年代と現在の状況は色々な点で異なっている。不法移民のモニター.システムは、技術的に高度化し合理的になっている。国境警備は、2001年の同時多発テロ以後一層強化されるようになっている。更に、2008年から2011年まで、オバマ政権は米史上初の集中的な強制送還を実施したため、最近になって、特にメキシコからの不法入国者が著しく減少している。オバマ政権第二期目の超党派による移民改正法案は、時代の趨勢から多くの議員らが法制定に乗り出している。

その最たる理由は、無視できなくなっている人口動態の顕著な変化である。民主党寄りのヒスパニック人口層が増えていることは、移民問題に消極的であった共和党にとって、将来問題に直面する可能性が高いからである。1984年の選挙でヒスパニックが投票した率はわずか3% であったが、過去10年間で選挙母体は10%に増えている。また、1984年当時、不法移民の影響力が多大であった州は、ニューヨーク、ニュージャージ、フロリダ、テキサス、イリノイ、カリフォルニアの6州のみであったが、1990年代、労働需要が高かった経済ブームにより、ほぼ全州で不法移民の問題が重要視されるようになっている。又、1986年とは異なり、超党派による上院議員グループの包括的移民改正法案は「個人情報の盗難を防止し、将来不正雇用を終らせる効果的な雇用確認システムを作り出す」ことが強調されている。

過去の移民法には多くの問題があり、米国は失敗を繰り返しているが、当時も現在も「合法移民に関する問題の論議が不足している」とワシントン.ポストは指摘している。また、合法移民を引きつけるほど、十分な支払いをする意思のある企業に実際どれほど労働力が不足しているのか、その労働市場の需要を測ることができるシステムを生み出すことが合法移民制定の成功の鍵であると専門家は述べているようだ。移民家族の要求と、事業主の労働需要を満たすため、「合法移民制度の急速な変化に対応したメカニズがない」ため、移民法改正に失敗し続けた場合、それを「回避する方法を発見するだろう」と過去の失敗が教訓になると見る専門家もいるようだ。

一方、多くの共和党議員、特に不法移民に反対する有権者の多い州の議員らは28日に8名の上院議員が発表した包括的移民改正法に反対している現状である。4日の『USA Today』によると、制定する前に多くの議員が移民問題についてもっと学ぶ必要があるため、まだ時期がきていないと指摘している。また、多くの不法移民に市民権を与えることが国境の安全性強化に繋がるかどうかを知る必要もあるが、1986年に300万の不法移民を合法化したときは、全く効果がなかったと指摘している。いずれにしても、現在、移民改正法の論議が盛んになってきているため、遅かれ早かれ過去の教訓は活かすべきである。

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