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昨日12日に開催された一般教書演説は東部時間9 時にミッシエル.オバマ氏や最高裁のメンバーなど主要人物らが入室した10分後にオバマ氏が登場した。通路側で待っていた多くの議員らと握手や抱擁を交わし、15分後に始まったスピーチは正確に1時間後に終了した。 オバマ氏は、主に中流家庭の向上を力説し、スピーチの概要は (1)雇用拡大と赤字削減のための包括的な税制改革の必要性(2)気候変動を考慮したエネルギー政策の必然性(3)技術訓練教育を重視した早期教育 (4)既に超党派の議員グループが起草した包括的移民改正法の制定(5)対テロ戦争による外交政策とサイバー防衛(6) 銃の暴力で犠牲となった多くの関係者を前に銃規制の必要性をアピールしたことである。

オバマ氏は、スピーチの冒頭で、「憲法は、我々を権力のライバルにする為ではなく、進歩を分かち合うパートナーにする為にある。自分の任務は、この一般教書演説で進歩があったことを報告するためである」と41年前にジョン. F. ケネディが語った台詞を引用した。そして、長かった戦争も終焉を目前にして、軍服姿の男女が帰国する。長く続いた不況後、我々の企業は600万の新たな雇用を生み出した。我々は5年前よりもっと多くのアメリカ車を購入している。我々の市場は回復している。我々の株は跳ね返りを見せている。消費者、患者、家の所有者は以前より強力な保護を受けるようになり、進歩の報告があると語った。しかし、勤勉な数百万の労働者はまだ報われておらず、常勤の仕事を見つけられない人たちが大勢いる。 企業の利益は数十年高騰し続ける一方で、労働者の賃金や収入はかろうじて生計が成り立つ程度であるとし、国籍や人種に関係なく、また同性愛者であろうとなかろうと、勤勉で責任感のある人が報われる基本的な体制の構築はまだ完了していないと述べた。

予算に関して、オバマ氏は、基本的な決定から始める必要性と支出削減と歳入のバランスのとれたアプローチを強調し、軍事費削減の代わりに教育、技術訓練、メディアケア、社会保障の恩恵を大きく削減する考えは最悪であるとして、これに反対する意向を示した。過去数年間、両党は2.5兆ドル以上の赤字削減をする為ともに戦ってきた。その結果、赤字削減4兆ドルのゴールに向かっているとし、経済学者らは「財政を安定させる必要があると言っている」と語った。2011年に議会が通過させた法案は、両党が赤字削減計画に同意できない場合、1兆ドルの予算削減は自動的に有効になるとし、このような突然の厳しい削減はたやすく軍事力を危険に晒す結果になる。教育、エネルギー、医療などの研究を優先すべき事態は壊滅的になり、経済回復は遅れ、雇用にも多大な影響が出る。従って、民主党、共和党、ビジネスのリーダー、経営学者は「自動的な支出削減は悪いアイデアだと言っている」と述べた。しかし、高齢者人口の増加に伴い、医療保険費が高騰する問題を解決するためには適度な改革が必要であるが、退職年金である社会保障は将来の世代にも必要であることを訴えた。

更に、オバマケアは医療コストの上昇を緩和するのに役立っているとし、処方薬品会社に対する補助金の減少、最も裕福な年配者への負担増、コストを減少するため、政府が実施しているメディアケアの支払い方法の変更などを提案し、「なぜ一握りの富裕層を保護するため、教育、メディアケアを削減する必要があるのか」と語り、今こそ、雇用拡大と赤字削減のための包括的な税制改革が必要であると訴えた。また、国内で雇用を拡大する企業や製造業者に減税するための税改革も必要であるとし、これは両党が一体となって実施可能であると述べた。

赤字削減の議題に関しては、国内でどのように魅力のある仕事を創出するか、そのような仕事に必要な技術をどのように労働者に訓練するか、勤勉な労働者がまともな生活を維持するための確認方法は何か、との3つの疑問を提示した。また、100万の新たな雇用を創造する「アメリカ人の雇用法案」を通過させることを促し、大きな政府は不必要であり、広範な経済成長にとって優先すべき事とそのために投資するスマートな政府が必要だと強調。キャタピラー、フォード、インテル、アップルなど10年間海外に移転していた企業が過去3年間で50万の雇用を米国で創出したことを語り、新たな雇用と製造業者がアメリカに戻ってくることが優先課題であると語った。

エネルギー政策に関して、オバマ氏は、宇宙競争の時代以来、例にない研究開発とアメリカのエネルギー資源の投資増加の必要性を強調した。また、クリーン.エネルギー政策は第一期目に失敗しているとの批判を意識してか、過去4年間で、太陽熱と風力エネルギーを2倍生産し、過去よりも多く天然ガスを生産したと語った。一方、過去15年間で国内での石油生産が増えていること、地球を脅かしている二酸化炭素の排出量は実際には減少しているが、子供達のために気候変動への対策にもっと挑戦しなくてはならないと述べた。

また、近年12年間は暑い年が続いていることが記録されていると語り、熱波、干ばつ、山火事、洪水は更に頻繁に発生し、激しくなっていると述べた。ハリケーン.サンディのような荒れ狂う嵐や壊滅的な干ばつが単なる奇異な偶然だと考えるか、または圧倒的な科学の判断を信じて、手遅れになる前に行動を起こすかどうかは我々次第だと指摘。強い経済成長をもたらしながら、この問題を意義ある進歩につなげることが可能だと訴えた。オバマ氏は、議会がこれを超党派による市場ベースの気候変動に取り組むことを要請した。しかし、議会が急遽行動しない場合、再生エネルギーの研究と技術開発を促進する必要があると述べた。例えば、ガソリンを使用しない車の生産を増やす。現在の石油とガスの歳入を利用し、そのような研究に融資する。今後20年間の目標として、個人と企業の双方がエネルギー資源の無駄を50%減少する。効率性の高いビルを建設することで雇用も拡大し、エネルギー費用を抑える最高のアイデアのある州には連邦政府が援助することを提案した。

教育に関しては、米国の経済発展は、幼稚園時代から質の高いプログラム導入が必要であること、若い世代から開始する技術訓練の重要性を強調。また、様々な研究結果に触れ、幼児教育は早ければ早いほど学ぶ効率は高いとし、中流家庭さえ数百ドルの学費がなく、幼稚園に子供を入学させる余裕がないと語った。全米の子供達が質の高い幼稚園を利用できる状態にするため、州と一緒に取り組むことを提案した。また、高校教育の改善について、ドイツのように、高校卒業者がすでに技術を身につけている教育プログラムの開発を例にあげ、高卒者が科学、技術、工学、数学の分野で働くことができる米国の高校教育を向上させるよう新たな挑戦を提案した。しかし、高学歴ほど良い仕事 、高い収入を得て安定した中流家庭を築いているが、大学の学費は高い現実を指摘。中流家庭が経済向上するためには、ほとんどの若者は高校以上の高度教育を身につける必要があると述べ、議会が選定した大学に入学できる学生には連邦政府の援助金を支給するための「高度教育法案」を議会が制定することを要請した。

次に包括的移民改正法に関して、不法移民の数は過去40年間で最低レベルに達したとし、国境の安全整備をさらに強化することが真の改革であると語った。また、真の改革とは、不法移民に市民権獲得の責任ある道を開くことであり、バックグラウンド.チエックを通過し、不法入国の罰則に従い、税金を支払い、英語を学び、合法的入国を試みる人たちの背後に並んでその資格を得ることだと語った。更に、真の改革とは、待機期間を減少し、官僚を減らし、雇用創出に役立つ高度熟練者の起業家や技術者を引きつけるための合法移民制度を定着させることであると語った。そのためにすべきことは分かっているとし、両院で超党派のグループがすでに法案を起草している事実に触れ、その努力を称えた。また、今後数ヶ月以内にその包括的移民改正法案を提出するよう促した。

次にオバマ氏は、米国の対テロ戦争に焦点を置く外交政策について語り、アフガニスタンでの使命完了に誇りを持っていると述べた。また、今春からアフガン治安部隊が率先し、米軍部隊はサポートの役割に移行すること、来年までには勇敢な軍服姿の男女軍人34,000人が帰国すること、来年末までにはアフガニスタンでの戦争は終わると発表した。2014年以降は、アフガニスタンが再度混乱に陥らないよう、またアルカイダとそれに関連するテロリストに対処できるようアフガン軍を訓練し装備するための契約を交渉中であると報告。

また、新たなテロリストの台頭について、アラビア半島からアフリカに異なるアルカイダ組織が浮上し、これらのグループの脅威は高まっているが、軍隊を派遣または国を占領するようなことは必要なく、イエメン、リビア、ソマリアなどに安全保障を提供し、テロリストと戦う同盟国を援助する必要性に触れ、「脅威をもたらすテロリストに対し、米国は直接行動を取る」との立場を明らかにした。また、アルカイダの脅威に限らず、アメリカは世界で最も危険な核兵器の拡散を阻止するための努力を率先すると述べ、北朝鮮は、国際的義務を果たすことが安全と繁栄を達成する方法であると知るべきであると鼓舞し、世界の核兵器の脅威に対して断固たる姿勢で臨む方針を強調した。また、イランの核兵器取得を阻止するためには必要なことはするとの姿勢を示した。

更に、米国は急速に拡大しているサイバー攻撃の恐怖に直面していると語った。 ハッカーは他人のIDを盗んで個人の電子メールに潜入している。これらの頭脳犯罪者は金融機関、航空管制システムを妨害する能力を追求している。我々はこのような安全保障や経済的な脅威に直面して何も対処しなかったことを数年後に後悔するようなことはできないと語り、サイバー防衛の強化を力説した。

オバマ氏は最後に、コネチカット州ニュータウンでの殺戮後2ヶ月が経過したと述べ、銃の暴力を減少する方法を論議するのは初めてではないが、今回は何かが違っていると語った。また、アメリカ国民の多数派は圧倒的に憲法修正第二条を信じているが、バックグラウンド.チエックを通して、犯罪者が銃を入手しにくい方法など、常識的な銃規制を求めていると述べた。また、両党の上院議員らは銃が犯罪者に転売されないための厳しい法案に取り組んでいる。また警察官らは、街から大容量弾倉付銃を追放するための戦いに我々の援助を求めていると語った。また、全ての暴力、全ての無分別な行為を防止することは不可能であるが、我々が可能なことを実施することが変化に繋がるとして、議会の早急な行動を要請した。ニュータウンの代表者、コロラド州映画館での襲撃事件被害者の家族、被害者である元女性議員ガブリエル. ギフォーズ氏らはそのための投票を得る価値があると、これらのゲスト参加者らを激励した。

オバマ氏の1時間のスピーチは、総じて中流家庭の向上、全ての国民にあるべき平等の権利がテーマーであったような印象を受けた。従って、中流家庭の雇用機会の拡大に教育の重要性を訴え、更に、常勤労働者が貧困ラインから脱却できるよう連邦政府基準の最低賃金を9ドルに上げることを提案した。また、自然なスピーチの流れの中に、女性に対する差別と暴力、長時間待たなければ投票できないような現状についても語り、その変革の必要性を訴えた。 総体的には確信的で具体性があり評価の高いスピーチであった。もちろん、今日は早速、複数の共和党議員から批判が展開されている。

*スピーチの英文原稿は、Blogroll からアクセス可能です。

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