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今年1月、 日本、カナダ、オーストラリア、多くの西欧諸国を含む16カ国の民主主義国を対象に国立医学研究評議会が実施した複数の疾病、傷害、および寿命に関する総体的な調査によると、米国は、健康保険にも加入し、高度教育を受け、高収入で、健康的に見えても、生誕から75歳までの人口層に病気、負傷などで、他の高所得先進国より健康問題が多く、寿命率は最も短いことが判明した。

この研究に携わったバージニア.カモンウェルス.大学のスティーブン.ウルフ教授は、16カ国の先進国を対象に、早期死亡と健康状態の調査結果を発表した。その報告によると、米国はこれらの先進国に比較して、乳幼児の死亡率と出生時の低体重、傷害と殺人、思春期の妊娠と性感染症、HIVとエイズの罹患率、薬物過剰摂取、肥満と糖尿病、心臓病、慢性肺疾患、身体障害などの分析結果が最低のランクであることが判明した。

これらの健康状態の多くは、不均斉に子供や青年に影響を与えている。他の高所得国の中で、米国は数十年間、乳児の死亡率が最も高く、早産や5歳後に死亡する子供の割合が高い。また青年は、交通事故や殺人による死亡率がより高く、思春期の妊娠率は最大であり、性感染症にかかる可能性も他の国より高い。更に米国の男性間の平均寿命をみると、ほぼ2/3は50歳前に死亡している。

これらの根本的な原因は、米国はどの国よりも医療費にお金をかける国民であるが、医療システムにも問題があるものの、健康状態を不利にしている国民の生活態度にも責任があると述べている。例えば、高いカロリー摂取から、致命的な傷害のリスクを高める活動にいたるまで、一定の不健康な行動をする傾向が高いからである。また、比較的に貧困率と所得格差が高く、教育でも他の国に遅れをとっている。

しかし、 深刻な健康問題に不利な条件を抱えているのは、医療保険に加入できない少数派の民族に集中している。このような分析が比較的高所得で健康保険にも加入し、非喫煙者であり、または肥満ではないアメリカ人と非ヒスパニック系の白人に限定されていても、他16カ国の先進国よりもランクが低い。ただし、この研究で報告されていない分野では、米国人の75歳以上は長生きする傾向があり、米国人は、脳卒中、癌、血圧、コレステロール値を良好に管理し、喫煙による死亡率は低いということである。

この研究結果について、公共放送サービス(PBS)は、米国は寿命と健康に関しては悪化し続け、社会的な改革政策に関係なく、長年、他の高所得先進国に遅れを取っている。特に健康上の問題は年齢、人種に関係なく広範にわたっている。16カ国のうち、 平均寿命と全体的な医療保険制度の分野では最後のランクになっている。これらの先進国と比較すると、医療保険に加入または、プライマリー.ケア(PC)にアクセスしていない人口が最も高い。また個人のカロリー摂取量も高く、薬物乱用率も高い傾向にある。更に、所得格差と肉体的活動の低下など社会的及び物理的環境が原因であるとコメントしている。

PC:最初の時点で病状と治療を判断し、適切な病院を照会してくれる主治医に関与するシステム。

また、経済協力開発機構(OECD)のマティス. ルンプ氏は、PCのアクセスの欠如が米国の寿命率に直接影響していると指摘している。OECDの研究によると、複雑な癌のような手術になると米国は良く対処していることが判明しているが、誰にでもPCがアクセスできない場合、防ぐことが可能な病気でも悪化し、入院した時は手遅れの状態になっていることが多いため、これが寿命にも関係があると説明。このような報告に反応した米国保険社会福祉省は、健康上の問題を改善することが最優先課題の一つであり、もっと多くのアメリカ人が必要な健康医療を受けられるように医療保険法を導入するため懸命に取り組んできたとコメントしている。

しかし、ウルフ氏は,最近の医療保険法のシステムを改革するための論争は潜在的に浅く、一つのカテゴリーだけでは対処できない問題であるため、社会的、経済的条件、教育改革、社会および物理的環境、国民医療制度の改革に注目する必要があると指摘している。また、アメリカ国民は、 米国が他のどの国より健康管理に多額のお金を使っていることを理解していると述べ、健康保険もあり、高い教育を受け、所得水準の高い人でも他の部分で、世界の他の先進国に遅れていることを明らかにしていると述べている。事実、米国人は回避可能であるとわかっている病気に苦しみ、そして早死する結果になる。選択肢はこのような事実を受け入れるか、または健康と社会経済政策の改革のいずれかであり、解決策の第一歩は意識であり、医療と教育に支出削減をし続ければ、米国はこれら先進国に遅れをとるのは必然であると指摘している。

日本は平均寿命が世界一高い国であり、総体的な平均寿命は約83歳である。男性は約79歳、女性は87歳である。米国の平均寿命は世界のランクの中で40位であり、総体平均は約78歳、男性の場合75歳、女性は約80歳である。寿命と経済の関連性による研究は特に新しい分野ではないが、20年前までは頻繁に発展途上国の研究が盛んに行われ、栄養、健康、医療管理が不足している貧困国ほど寿命が短いことが報告されていた。今回の報告は、米国がどの先進国よりも医療費を多く費やしている割には、PCにアクセスする率が低く、それが病気を悪化させるため早死の原因になっているという矛盾した側面も指摘している。健康管理は個人の責任でもある反面、 政治的および複雑な社会構造にも起因していると思われる。

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