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数年前は、包括的移民改正法に関して、 不法移民に恩赦的な待遇を与えることに反対表明していた多くの共和党議員らは、最近180度の方向転換を見せている。移民問題は共和党の生存に関わることを認識する議員が続出してきたようだ。

CPACの恒例集会で、ストロー調査投票の一位を獲得したケンタッキー出身の上院共和党議員ランド.ポールは19日、米国ヒスパニック商工会議所でのスピーチで、「我々は1,200万人の不法移民を強制送還しないことを理解した上で会話しましょう。もし、貴方たちがアメリカに住み仕事をしたいのであれば、我々は、貴方たちのために 場所を見つけます。しかし、保守派にこれを促すための本当の解決は、我々の国境が安全であることを明確にする必要があります。移民改正法に取り組む人たちは、この事を理解する必要があります。しかし、すでにここに居る人たちに、理解と熱意で対処しなくてはなりません」と米国の不法滞在者の保護を暗示した発言をした。

2011年までは「恩赦は支持しない」と明言していたポールのこの突然の変化は、CPACの恒例集会後、共和党全国委員長のラインス.ブリーバスが、 共和党議員らは移民改正法について何ら提案をしなかったと失望を表明した後である。ポールの不法移民に対する肯定的な表明は、共和党の次期大統領候補として前途有望であるようなメディアの報道を意識したものと思われる。包括的移民改正法案は、すでに両院で超党派の8名が紹介しているため、現実的になりつつある印象を与えている。

不法移民に対して、強固な姿勢を最近変えたのはポールだけではない。19日のビジネス.インサイダーによると、コロラド州出身の米国下院共和党議員マイク.コフマンは不法移民に対する立場を逆転させた。コフマンは、「最も堅固な保守派の一人」であり、2年前、不法移民の両親から生まれた子供にさえ市民権を与えることに反対していた。しかし、数ヶ月前から、移民改正法の取り組みに積極的になり、コロラド州オーロラでの集会で不法移民に市民権への道を開くことを支持する表明を行った。

その理由として、市民権がない移民は雇用機会のチャンスが少ないこと、管理職を含め、重要な責任を伴う仕事は得られないことや、コロラド州はラテン系の選挙区民の割合が高いことなどを説明した。また、「不法移民は移民法に違反したが、彼らは他の犯罪法に違反していない」とし、問題は、そのような人口層にどのように対処するかが重要な問題であると語った。更に、幼少の頃不法移民の両親と一緒に米国に移住した子供達には市民権の道を開くべきである、と強く感じると述べ、 犯罪歴がない子供たちの両親にも何らかの合法的地位を与えるべきだと主張している。 また、共和党が「反移民のイメージ」を与えないことは党にとって重要であり、「移民は歴史的にこの国の核心部である」ことを意識する必要性を強調した。

フロリダ州の元共和党知事でジョージ.W.ブッシュの弟であるジェブ.ブッシュも最近までは市民権の道に反対していたが、その立場を変えて支持を表明したため衝撃を与えている。最近の彼の著作『Immigration Wars(移民戦争)』で「法律(移民法)に違反した人たちは米国に居残ることは可能であっても、市民権を希望することはできない」と述べている。ブッシュは移民法に関しては影響力のある人物であるが、数年前までは不法移民を支持していたが、その本には、不法移民に市民権を与えることに反対する意向を書いていると言われている。しかし数日前、再度その立場を変えたため「風見鶏」と呼ばれているブッシュは、本を出版したときは「 超党派による不法移民のコンセンサスは、 市民権の概念に論議が集中する前のことであった」と説明している。現在、市民権の道と合法的在住のいずれも支持し、この問題に現実的に取り組むことを提案している。更に、バージニア出身の共和党の下院司法委員会の委員長ボブ.グッドラテは、以前市民権の道を支持していなかったが、立場を和らげるようになったと言われている。

下院議長のジョン.ベイナーは、「市民権への道」が含まれているかについては明言していないが、「移民法に取り組むグループが移民改正法の原則に同意しつつある」とABC.ニュースで語っている。次々と共和党が不法移民に理解を見せ始めた理由は、包括的移民改正法を支持しない事は「政治的自殺行為」であると言われているためである。不法移民の大半を占めるヒスパニックは選挙に重要な位置にあるため、2016年の大統領候補者には必然であるようだ。2012年の大統領選で、ヒスパニックは圧倒的にオバマ大統領に投票したことが教訓になっている。

このような社会趨勢に適合するため、ポリシーを変える必要があると大半の共和党が理解し始めたという現状である。不法移民問題は共和党にとって生存に関わる問題であると自負しているということかもしれない。問題は、彼らは具体的な考案を提起していないことである。ほぼ全員は「市民権への道」と表現しているが、その過程と具体案はほとんど提案していない。 多数の共和党議員の不法移民支持発言は、 党のメリットを考慮した観点からであるという印象が色濃い。

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