アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

オバマ政権は、APスキャンダルの他にも米国内国歳入局(IRS) の過失に直面している。IRSは特定の保守派グループに対して特別入念な監察を実施していたことが判明し、これもIRSスキャンダルとして騒がれている。オバマ大統領は5月15日の夜半、ホワイトハウスから、 IRS活動委員会の上役の一人を解雇すると発表した。

IRSは、ティパーティまたはペイトリオット(愛国者)の名称を利用して税控除を申請したグループに対して、他のグループより多くの時間をかけ、様々な質問をするなどの不愉快な対応をしたと言われている。オバマ氏は、米国財務長官ジェイコブ.ルーがIRSの活動委員会の副委員長であるスティーブ.ミラーの辞職を請願し、受理したことを報告した。オバマ氏は、「アメリカ人はこのことを怒るべきだ、私も怒っている」と述べ、「どのような政治思想を心棒していようと構わないが、IRSは絶対的な尊厳を持って任務にあたらなくてはならない」と遺憾を表明した。ミラーは明日の聴聞会で 証言を行い、6月初旬に辞職することになるという。

15日のニューヨーク.タイムスによると、IRSは、数年前、税控除申請を受け付ける176のグループのリストを公表していたという。その過程には様々な角度からの検査や質問などが条件であり、主にオハイオ州のシンシナティの事務所で行われていて、ティパーティ運動が台頭した2010年から開始したようである。そのIRS事務所で、 職員は税控除申請を提出したティパーティのグループに対して、 将来の寄付者名など不必要な質問も含めて、他の組織のグループより多くの質問を浴びせたという。16日のロイターによると、申請のプロセスが選挙後まで遅れたケースもあれば、干渉的な質問が多かったとの苦情もあり、税控除が受けられる状況になるまで3年間待たされたケースもあったとティパーティの複数のリーダーが語ったという。

このような報告に、 保守派の議員、特にティパーティ議員と呼ばれる複数の共和党議員は穏やかではない。関与したIRSの職員の正確な人数を含め、虚偽の声明があったかどうか、また自由権の侵害はなかったかどうかを追求する用意があると言われている。また、オバマ氏を弾劾したい共和党議員らは、この情報が昨年11月の大統領選挙前にオバマ氏に通達されていたかどうかも明白にしたいようである。もし、通達されていたのであれば、昨年は選挙年であったため、意図的に表面下させなかったのかどうかを知りたいと意気込んでいる。

税控除を申請したグループは米国内国歳入コード501Cに属していて、これは501(C-3)の慈善団体と501(C-4)の社会福祉団体の2つに分類されている。慈善団体が税控除を受ける場合、政治活動は一切認められていないが、501(C-4)の 社会福祉団体の場合、 政治活動は制限されている。 しかし、教育、慈善、娯楽の目的で、マイナーな政治的アピールを行うことは許可されている。例えば、移民問題や他の政治的課題について教育することは可能であるが、特定の政治家と連携し名指しで支援活動することはできない。しかし、総体的に社会福祉を促進することが目的であれば、ロビー活動や選挙キャンペーンに参加することは可能であると一般的に認識されている。ティパーティは慈善や娯楽を目的とする団体ではないことは明白であるため、501(C-4)の社会福祉団体に属すると思われる。

IRSは、 ここ数年501(C-4)の申請が増えたため、他のグループよりティパーティ.グループに対して余分な監察を実施していたことを認めた。ティパーティとは、全米各地で結成された小団体の集合名であり、それぞれ異なった議題を掲げている。また、独立したグループ名を使っているため、 176の団体の中にはティパーティと区別できない名称が沢山あったと報告されている。ティパーティは、一人のリーダーの下に全国統一された団体ではないが、米国憲法の厳守、連邦政府の規模の縮小、支出と赤字削減、および減税を提唱している点は共通している。ティパーティは共鳴する政策を掲げる議員をバックアップするため選挙キャンペーンに参加するなど、かなり政治的な活動を展開している。政治運動の色彩が強いグループであり、社会福祉を目的としていることはほとんど知られていない。どのような教育に参加していたかと言えば「オバマは、社会主義者であり、イスラム教信者であり、米国市民ではない」と吹聴してきた事くらいであるため、税控除の申請をしていたとは驚きである。

社会福祉団体が免税を乱用して政治活動を行っているとの苦情は年々増えている。特に、多くの教会は米国で最も顕著な税控除の違反団体である。そのような現実的な側面から考えると、IRSの職員がある一定のグループに、特別の注意を払ってもさほど不思議であるとは思えないが、全てのグループに同等の対応をしなかった点は落ち度である。今回のケースは(1)ティパーティは正真正銘の社会福祉グループなのか。(2)税控除の資格を与えられた176のグループはどのような基準でリスト.アップされたのか。(3)IRSの職員が、ティパーティに特別な注意を払った理由は何か。更に(4)ある特定のグループのみに特別な監察を行うことが不正であるなら、どのような監察を基準にして税控除申請の不正を防ぐ事が可能であるのか、などの疑問が残る。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。