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4日に発表されたアメリカ自由人権協会(ACLU)の調査によると、マリファナ使用または所持で逮捕された黒人数は、白人に比較して不釣り合いに多いことが判明した。これに対して、規制と課税によりマリファナの合法化を目指すACLUや公民権運動の大御所である全米黒人地位向上協会(NAACP)など黒人を保護する組織のコメントは、黒人に対する差別は相変わらず続いていることを示唆している。

米国ではマリファナへの対処は州や地域によって異なっている。最近、合法化したコロラドやワシントン州のように少量の所持を合法化する州もあれば、罪を軽減する州もあり、犯罪の枠内から外して対処する民事法を適用している州もある。 一方、マリファナ所持は犯罪であるとして刑事法を適用し、逮捕後に投獄する厳しい処罰を科す州もある。ACLUは、そのような処罰に直面した個人の人生は破壊に繋がるため、刑事法と民事法のいずれも排除した合法化を支持しているが、少なくとも、マリファナ所持を犯罪扱いしない法律の制定を支持している。最も厳しい州で問題となっているのは、犯罪者として、特に黒人を攻撃的に逮捕していることである。ACLUの調査によると、2001年から2010年にはマリファナの所持による逮捕は急増し、2010年には、37秒間に一人が逮捕されている。この期間にマリファナ関連で逮捕された人数は800万人であり、その内の88%はマリファナ所持による逮捕である。現在、薬物所持で逮捕されている率は52%であり、約46%はマリファナ所持である。

マリファナの使用又は所持は白人も黒人もほぼ同じ率であるが、 黒人の逮捕率は圧倒的に多いため警察当局の人種差別が懸念されている。 4 日のAP によると、2001年に黒人が逮捕された率は10万人当たり537人であったが、2010年には10万人当たり716人に増大した。一方、2001年に白人が逮捕された率は10万人当たり191人で2010年には10万人当たり192人でほとんど変化していない。 黒人の逮捕率は総体的に3.7倍高く、地域によっては10倍から30倍高いそうである。また、黒人の人口密度、収入レベルに関係なく全国的に見られる傾向であるという。中間所得が年間85,000 から115,000ドルの地域では、マリファナを所持している白人より黒人の逮捕率は2倍から8倍高いという。22,000から30,000ドルの地域では白人に比較して黒人の逮捕率は1.5倍から5倍高いという。また、不公平な逮捕は米国の特定の地域または黒人の多い都会に限られていないと報告されている。更に、地域によって黒人の逮捕率は100% のところもあるという。アラバマ州のモーガン郡では黒人の人口層は12%、パイク郡は37%であるが、マリファナ保持で黒人は全員が逮捕されたという。また、不釣り合いが大きいアイオワ州では、黒人の逮捕は白人より8.3倍高く、ミネソタ州では7.8倍高く、イリノイ州では7.5倍高く、ウイスコンシンとケンタッキー州ではいずれも約6倍、ペンシルベニア州では約5倍高いという。

NAACPの最高経営責任者は、黒人に対する逮捕と監禁による不釣り合いの記録は、過去に黒人を学校や公的場所で人種隔離することを認可したような新たなジム.クロウが台頭していると言っている。どのようなケースの逮捕であろうと、 逮捕された個人は「人生の記録に汚点」を残すだけではなく、「将来の仕事や機会」に与える影響は大きいとNAACPの代表者は指摘している。 処罰の厳しい州で逮捕された個人は、自由、お金、時間、仕事、運転免許など全てを失う結果になるため、政治に多大な影響力のあるNAACPはマリファナの合法化を支持しているようだ。

規制と課税を通して合法化した場合のプラス面は歳入が見込める。不法売買が減少する。タバコの生産は難しいがマリファナは比較的簡単であるため、経済的メリットがあることなどが考えられる。マイナス面は、薬物の長期的影響が懸念され、交通事故が増えるのではないと心配されている。一方、合法化しない場合のマイナス側面としては、今回報告されているような黒人に対する法務執行の乱用が続き、 不法売買も長期的になると思われる。従って、警察当局の取り締まりに必要な資源および 拘留のための莫大な支出を伴う。合法化しないプラス面では、マリファナ乱用による事故は少ないことが考えられる。

リスクを伴っても合法化し、規制と課税で歳入を得るか、それとも、禁止して刑事法で取り締まるため税金を無駄にするか、どちらかの選択であると短絡的に結論は出せない難しい問題が潜んでいる。AP通信によると、ワシントンD.C.で40年間、判事を努めているアーサー.バネット氏は、彼の同盟グループはマリファナ使用の影響とその犯罪性を科学的に調査する委員会を設立し、「マリファナをヘロインやコケインと同様に扱う必要はない」と述べている。また、二次的結果が懸念されるマリファナ使用をタバコと同様に扱うことが可能であるかどうかを決定するための科学的証拠が必要であると語っている。複数の州で合法化したマリファナの娯楽的な使用は、経済的および安全性の側面からの論争が続いている。しかし、人種別による逮捕率の不釣り合いは厄介な社会的問題も背後にあることを示唆している。

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