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ロード.アイランド州はホームレスを様々な差別から保護するための法律を2012年 6月に制定した。これに見習い、イリノイ州は今年5月に制定し、コネチカット州も同様の法案を6月5日に通過した。ホームレスの人々にたいして平等の権利を保障する保護政策を一般的に「ホームレス権利章典」と呼んでいる。この画期的な法律を制定している州はまだ少なく、ホームレスの犯罪化との戦いは始まったばかりである。

米国の各地で、ホームレスを犯罪化することで懲罰的措置がホームレスへの歯止めになると考える傾向がトレンドになっている。多くの都市で、公的場所での物乞い、野宿、居座り、飲食などを禁じている。これに違反すると、罰金や刑務所拘留はおろか、公的サービスを受けることさえ著しく困難になり、雇用、住宅のアクセスが不可能になる。従って、特定の法律を定めていない州や自治体でも、ホームレスの人たちは様々な差別に直面する可能性が高い。ホームレスと貧困の全米法律センター(NLC)の2012年の報告によると、多くの都市で公的場所での野宿や物乞いを犯罪化しているため、全米で350万人のホームレスの人たちが野宿場所からの閉め出しを含む様々な虐待に直面しているという。

ホームレスを犯罪化している悪名高い市は全米に複数あるようだ。ホームレス擁護団体は、カリフォルナ州のロスアンゼルスを意地の悪い都市と呼ぶそうである。ロス市警は、特にホームレスをターゲットにし、横断歩道のない通りを横切るようなマイナーな行動にも違反であるとして罰金を科し、支払いができないと逮捕する。同州の ネバダ市は、森林地帯にテントを設置して眠ることや、自動車の中で生活することも禁じている。ペンシルベニア州のフィラデルフィアでは、食中毒を防ぐためホームレスに屋外で食物を与えることを禁じている。フロリダ州のオーランド市も同じく、ホームレスへの食事提供を法律違反としている。更に、フロリダ州のセントピーターズバーグは厳しい法律を制定し、物乞いで逮捕された人物は500ドルの罰金を科すか、又は90日間刑務所に拘留する罰則を定めている。ミシガン州のカラマズー市は、公園のベンチで眠ることを犯罪化し、その犯罪記録は永久に残ることになる。従って、就労や住宅への入居を不可能にするため、状況をますます悪化させる。これはほんの一例であるが、全米で多くの地域が様々な方法でホームレスを犯罪化している。

一方、このようなホームレス問題に対処するため「ホームレス権利章典」を制定したロード.アイランド、イリノイ、コネチカット州は、他の州に比較してホームレスの数は少ないと言われている。悪質な差別や虐待からホームレスを保護するため、最も人道的な法律を制定している数少ないこれらの州の制定条項はほぼ共通している。例えば、(1)公園、一般の歩道、公共輸送システムを含む公共の建物や場所を自由に移動できる権利(2)全ての州および地方自治体のサービスを同等に受ける権利(3)永久的な住宅および郵便アドレスの所持の有無に関係なく同等の雇用機会を求める権利(4)在住状況に関係なく、緊急な場合の医療ケアを受ける権利(5)住居状況に関係なく、投票および投票登録を行う権利(6)個人情報、個人財産に関するプライバシーの権利などを保障したものである。

カリフォルニア州には、ホームレスに対して差別的で懲罰的な措置を講じている地域が幾つかあるが、州レベルでは「ホームレス権利章典」の制定を検討している。同州は、子供や女性を含むホールレスは約16万人いると言われているため、同州が制定すれば、ロスアンゼルスや  ネバダ市で起きている虐待は減少すると期待されている。しかし、NLCによると、カリフォルニア州は4月23日、州の司法委員会の公聴会で「ホームレス権利章典」を承認したが、州両院での投票は2014年1月まで保留になっている。NLCは、ホームレスの原因を究明し、その解決策を模索することより、多くの都市は人権に反する法を制定し、ホームレスの雇用及び入居の機会を阻んでいる状況を指摘している。また、 2009年から2011年に約190の都市を調査し、街頭での物乞いを禁止する率は、以前に比較して7%増大していると報告している。

NLCはロード.アイランドの保護法制定も援助し、他多くの擁護団体と同様にホームレスを援助し、差別や犯罪化と戦っているが、現状は「ホームレス権利章典」を尊重し保護政策を制定するケースより、差別的で懲罰的な措置を講じている例が多いようである。しかし、大半が弁護士のメンバーで構成されているNLCや他の人権擁護団体は、選択の余地がなく、公的場所での野宿や物乞いをしているホームレスを犯罪化する法の合法性に挑む戦いを全国的に展開しているため、各地での訴訟は多いと言われている。非情なホームレスの犯罪化と人道的な保護政策のどちらが今後の潮流になるかは長期的な展望で見る必要がありそうだ。

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