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昨日CNNニュースをみていて、これはまずいと思った。ホワイトハウスのスポークスマン、ジェイ.カーニは、エドワード.スノーデンが香港から逃亡したことについて、香港当局がスノーデンを逃した決定は「意図的な選択だ」と述べたからである。又、オバマ政権が発令した逮捕状についても香港側と米国側の主張がまるで違っている。スノーデンの行動は結果的に米中間関係に亀裂を生じさせた印象がある。更に、スノーデンを追跡して海外まで旅行した多くのジャーナリスト達は見事に出し抜かれたようである。

昨日、ホワイトハウスでの記者会見に対応したカーニは、 14日にオバマ政権が内密で香港当局に送った暫定的逮捕状に関して、情報不足を理由にスノーデンを拘留する合法的手段がないと主張した香港に対して、米国政府はそのような追加情報の要請は受けていなかったと述べた。 また、香港当局がスノーデンを逃した理由が技術的なものであるとすることも信じないと述べ、「香港には十分時間があった」し、「我々は、中国が行動をとらなかったというその提言は買わない」と語った。米国政府は、香港が追加の情報を要求せず、香港と米国との犯罪人引き渡し条約に従わず、スノーデンを逃がしたとして強い怒りを表現している。更に、「スノーデンはロシアにいると推定しているので、モスクワ当局に本人を引き渡すよう緊急要請するつもりである」と伝えた。米国は、最近のボストン.マラソン爆破テロを含む複数のケースでロシアの法務執行部と「強い協力関係」があると述べた。また、スノーデンがロシアを発つことを許可されたとしても、 諦めるようなことはないとの米国政府の立場を明確にした。また、「すでにエクアドルにもプレッシャーをかけている」とし、最終的に亡命する可能性がある国は全て法務執行部を通して厳しく対処すると語った。記者団の中には「軍事力を利用し、スノーデンを乗せてロシアに向かった飛行機を遮断できなかったのか」と質問した人物もいたが、それについては答えていない。

一方、中国がスノーデンの逃走を援助したとする米国政府の主張に中国も怒りを表明している。特に、米中間関係に亀裂を煽っているのはメディアの報道である。スノーデンは、米国政府が中国のネットワークをハッキングしているという情報をサウス.チャイナ.モーニング.ポスト(SCMP)に提供したため、中国は穏やかではない。25日の『ガーディアン』紙によると、米国政府は、中国がスノーデンの拘留と引き渡しに協力しなかったと批判している。一方、中国側のメディアは、スノーデンの行動は「殊勝ぶったその仮面をはがした」と、かなりきつい口調で批判し、米国政府は「個人のプライバシーを盗聴する国際インターネットの中央権力の操縦者であり、他国のネットワークの無謀な侵入者だ」と報道しているという。中国の公的機関紙である人民日報は、「米国政府はスノーデンが香港から脱出したことに関して中国を批判しているが、 中国と香港のネットワークをハッキングしていることを謝罪しなくてはならないはずだ」と報道しているという。 中国は、スノーデンは「若い理想主義者でヒーローであると描写している」という。

25日の今日もスノーデンの行方は不明である。複数のジャーナリストはモスクワ、エクアドル、ハバナに飛び、空港で待ち伏せていたが、空港内のどこにも彼の姿はなかったことが報告された。キューバー方面に向かう飛行機のスノーデンの座席番号まで突き止めたメディアもあり、その座席は空席であったことも報道されていて、驚きの茶番劇が演じられている。米国政府も香港からスノーデンが逃亡する前日の土曜日には彼のパスポートを無効にし、香港当局に拘留を依頼したにも関わらず、彼を逮捕することは不可能であった。本人はどこへ消えたのか、誰もわからない。

この背後でウキリークスは、スノーデンの香港からの逃亡に重要な役目を果たしている。創始者のジュリアン.アサンジ自身も昨年6月からロンドンのエクアドル大使館に身を匿われている立場である。アサンジは性犯罪の容疑でスエーデンに引き渡されることを避け、ロンドンで逃亡生活を続けている。昨日のCNNニュースによると、アサンジは 「スノーデンは健康で安全である」とし、「エクアドルの亡命書類を持参し、安全な所にいる」と述べた。またスノーデンは「裏切り者でもスパイでもない、内部告発者だ」と弁護した。ウキリークスは、スノーデンがエクアドルにいるような印象を与えているが、ホワイトハウスはロシアにいると推測している。オバマ政権は、スノーデンは「おびただしい途方もない高度レベルの犯罪者」だと判断していて、ロシアが米国への引き渡しに協力することを願望している。

要するに、 スノーデンの引き渡し要請に対して、香港当局は香港法の条件に適合しなかったと主張したが、米国政府は、重要な外交上の問題に対して香港当局は何の提案も要求もしなかったと反論している。また米国政府は、暫定的逮捕状に関する情報は不十分であったというような指摘は受けていなかったと述べ、「香港の決定は問題である」と米国司法省は結論を下している。香港当局は、米国が中国ネットワークをハッキングしているというスノーデンの主張に動揺し、犯罪引き渡し協定を遵守せず、この巧みな内部告発者を逃がすことに協力したのではないという印象が強い。単に、双方の意思伝達にずれがあったとう程度の問題ではないことは確かである。スノーデンが提供した情報が事実であったとしても、中国は米国政府を責められる立場ではない。また、スノーデンの追跡ばかりに時間を費やしているメディアもあきれたもので、 NSAの監視プログラムの根底にある愛国者法は合法的なのかどうかを問う肝心な論争を忘れている。従って、ブッシュ政権下で制定された愛国者法を更新したオバマ政権にとって都合がいい状況になっている。しかし、魔術のように消えたスノーデンの逃亡の経緯に一泡吹かされたオバマ政権の怒りとメディアの間抜けさは驚きの茶番劇である。

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