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オバマ大統領は先月27日から昨日2日までアフリカを旅行していた。旅行の目的については、ネルソン.マンデラ氏に会うため、 監視プログラムの漏洩スキャンダルの責任から逃避するため、アフリカとの外交関係を築くためなど様々な憶測がある。ホワイトハウスは、アフリカとの外交関係を深めるためであり、投資や貿易の強化を通して経済成長を促すためであると説明している。 

アフリカには特別な思いがあると言われているオバマ氏は、ミッシェル夫人と共に西アフリカのセネガル、東アフリカのタンザニア、他南アフリカの複数の地域を訪問し、各地の政治、経済、および社会的分野の多くの首脳陣と会談したようである。この機会に、6月に肺感染症を患い、南アフリカのロベン島刑務所で療養中のネルソン.マンデラ氏を訪問し、敬意を払ったことが伝えられた。セネガルでは 、黒人の奴隷貿易の歴史の跡地を見学し、感慨深いひとときを過ごした様子が報告されている。しかし、幾つかの区域では、オバマ政権の外交政策に反対するデモ抗議が行われたようである。父の故郷であるケニア訪問を予定していなかったとして、地元の人々は失望したことも報道された。メディアの憶測はともかく、 オバマ氏のアフリカ旅行の真の目的は何か?  6月28 日のマザー.ジョンズによると、オバマ政権は突然アフリカの農業に関心を持ち始めた為、アフリカでのアグリビジネスに投資する事が主要目的だと伝えている。それは未来を養うプログラムに基づいて、世界の飢餓と戦うためアフリカに農業開発を促進する事で将来の「食の安全保障」を明確にするためである。

2050年には世界の人口は91億に達すると言われている。オバマ政権は発展途上国、特にアフリカに農業を拡大するため、開発資金の利用を強くアピールしている。イタリアのラクイラで G8サミットの「食料安全保障」会議が開催された2009年以来、「未来を養う」ため35億ドルを優先的に融資したと言われている。また、オバマ氏は昨年、数十年が経過しても農業や栄養に十分な注意を払っていないとし、世界の飢餓と戦うことが「 グローバル的展開の最前線である」と述べた。しかし、今後農業に大金を投資する米国政府の動機は利他的なものだけではない。発展途上国の農業に熱意が湧いた理由は他にもあるとマザー.ジョンズは伝えている。

更に、このような展開はアラブ諸国で起きている「アラブの春」の危機にも関連性があるとし、2008年の食品価格高騰が要因であると述べている。「未来を養う」ための原動力は、トウモロコシのような基本的な農産物の価格が世界中で劇的に上昇した2007年から08年の食品価格高騰の危機に由来しているかもしれない。なぜなら、2010年12月17日にチュニジアで始まり、エジプト、イエメン、ヨルダン、サウジアラビア、他、ほぼアラブ諸国の全域で起きたアラブの暴動は、これらの発展途上国の一般的な家庭が収入の大部分を食品に支出しなくてはならないからである。2008年5月の食糧価格危機に関する公聴会で上院議員リチャード.ルーガ氏は、もし、米国と国際社会が発展途上国で農業貿易を解放する事と、農業の生産性に投資することに失敗すれば、食品不足は頻繁に発生すると予測し、「食糧危機のダメージはもし、世界の貧しい農民の多くが優れた農業技術、豊かな土壌、小規模融資、長期的なサポート、アクセス可能な市場があれば改善されるだろう」と述べたという。

マザー.ジョンズによると、「未来を養う」ために既に実施されていることは、2012年末、議会が37億ドルの予算のうち10億ドル以上を支出し、米国国際開発庁(USAID)はこのプログラムのために、 様々なサポートを行っているという。例えばペプシコ社は、USAIDと提携し、国内消費および輸出のためにヒヨコ豆を栽培するため、エチオピアの農民を雇用する契約をした。ウォルマートはトマトを栽培するためグアタマラの農民を育成し、栽培したトマトをラテン.アメリカに保存するためUSAIDの資金を受理したという。USAIDとウォルマートは、消費者の需要に基づいて、小さな農家がもっと市場志向型の生産をする方針を掲げているという。ジェネラル.ミルズ社は南部および東部アフリカで加工食品生産の教育を実施する計画に基づいて、1,500万ドルの投資を受けるためUSAIDのプログラムに参加したという。

複数の農業経営学者は食品値段高騰の原因を別の側面からも指摘し、もっと多くの食糧を栽培することが食品価格の高騰を修正することにはならないと述べている。2007年から08年の食品価格高騰の危機は、気候変動および世界的に生産性が低迷したことが原因であるが、この期間、世界の食糧供給はわずかに減少しただけであると指摘している。また、議会と国連の研究者は、ヘッジ.ファンドや投資銀行が基本的な農産物に賭けをすることで価格を押し上げる投機的バブルに原因があると指摘している。ミレニアム研究所は、世界の農家は多量生産に集中せず、少ない肥料でより品質の高い食品を多く生産することが、化学薬品を多量に使用して土壌を破壊することもなく、むしろ土壌を豊かにすると述べている。また、 世界はすでに世界の人口の2倍を養うことができるほど十分な食糧を栽培していると述べ 、将来の食糧不足を否定している。

結論として、将来世界の食糧は不足するのか、それとも40年後には90億以上に増える世界の人口の2倍を養うほど十分な食糧があるのか、この点については専門家の意見は二分しているようである。米国を含め、世界の各地には、十分な食糧供給に恵まれていない貧困層もいるため、農務省は米国の家庭や地域の食糧安全保障と飢餓の研究を実施し、農業経済の強化、農村地域の活性化、天然資源の保存、安全で十分栄養価の高い食糧の供給を国民に提供することを目指している。また、食品値段の高騰の原因は(2012年7月22日の投稿『食品価格高騰化の総体的要因を考える』を参照)様々であるが、食品の供給増大は価格減少に繋がることが基本的な経済的原理であると考える。従ってアフリカに農業開発を促進することで食品供給が増大すれば、アフリカの人々に十分な食品が供給されることになり、世界的な食品値段の低下にも結びつくと思う。また、奴隷の先祖を持つオバマ大統領がアフリカの農業開拓に目を向ける理由は人道的援助でもあると思われる。更に、アフリカへの農業開発への融資は利益にも繋がるというメリットもある。「未来を養う」プログラムの根底には、貧しい国に投資して、世界的なアグリビジネスを容易にすることで食糧の栽培を従来以上に増加することである。米国政府はすでに、遺伝子組み換え食品の栽培を可能にする政策を世界中の政府が採用するよう働きかけているが、この事にも深い関連性があると思われる。

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