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米国の犯罪における自己防衛に関する法律は、城の原則(Castle Doctrine)とスタンド.ヨォアー.グランド法 (Stand Your Ground Law: SYGL)が主に重要である。城の原則は 「英国男子の家は城である」との英国法のコモン.ローに由来し、 正当防衛を自宅内に限定した法的概念である。家宅侵入された場合、最初に争を避ける義務はなく、一定の状況下で致命的な武力行使を合法化したものである。SYGLは、主に、その自己防衛法の支持者に使われる俗称であり、反対者は「殺しの免許」(License to Kill)と風刺的な表現を用いる場合がある。

SYGLは従来、公的場所で口論が起きた場合、又はある個人が特定の状況で生命の危機に直面した場合、自己防衛の目的で武力を用いる前に、可能な限り争を避けることを義務づけていた。しかし、近年、この争を避ける義務を取り除き、 即座に自己防衛のためなら武力を行使することが可能になっている。不当な脅威に直面した場合、正当防衛のためなら最初に争を避ける義務はなく、危害を加えようとしている相手に致命的な武力を用いて死に至らしめても、民事責任に問われない場合もある。SYGLの基準は、基本的に州によって異なっている。

2000年から2010年までにSYGL及び又は城の原則を採用した州は全米で20以上存在する。これらの州は、基本的に争を避ける義務を廃止した。従って、ある一定の状況下で個人が危機に晒された場合、その義務なしに自己防衛のため武器を使用し、相手を殺害しても合法であると定めている。このような自己防衛措置の目的は、生命の危機に直面した個人が争を避ける義務に惑わされることなく、攻撃者を致命的な状況に追い込んだ場合でも告訴を免れる事を容易にしたためである。

2005年、フロリダは場所を問わず、最初に争を避ける義務がない自己防衛措置を採用した州である。その後、多くの州が自己防衛のためであれば民事責任も解除する措置を講じた。テキサスA&M大学の複数の学者の研究によると、21州は 城の原則を採用し、その内の17州は争を避ける義務を除去した。フロリダ州はこの中で最初の州である。13州は正当防衛の状況には当然の恐怖がある事を推定する条項を含めた。更に、21州中18州は当然の恐怖を推定し、殺害の正当防衛に対する民事責任を確実に解除した。

自動的に争を避ける義務を除去し、民事責任を解除した自己防衛措置は近年論争的になっている。なぜなら、暴力を避けることを努力する前に、まず敵を攻撃することを奨励しているためである。このような自己防衛措置の支持者は争を避ける義務を心配せず、即座に自己防衛の手段を講じることが可能であると述べている。一方、反対者は、暴力を増大させる要因になっていると主張している。 学者の間では、争を避ける義務がない自己防衛措置は、殺人率を減少させるという説と増大させるとする説に別れている。

最近、このような自己防衛措置を支持する州では、公的場所でポケットなどに入れて持ち歩く携帯銃を許可する傾向が劇的に増えている。また、大きな銃もオープンに持ち歩くことを許可する州が台頭している。当然ながら、全米ライフル協会(NRA)は、その促進に貢献している最も強力な自己防衛措置の支持者である。一方、銃の暴力を防ぐブレイデイ.キャンペーンを含む銃規制支持派は、争を避ける義務の解除は「まず射殺する」ことが優先されていると批判している。また、目撃者がいない場合、相手が攻撃したため射殺した後、自己防衛であると簡単に主張できるため裁判を困難にすると指摘している。

昨年2月26に起きた殺人事件に関し、今年6月10日からフロリダ州サンフォードで始まった公開裁判は「世紀の裁判」と呼ばれている。 被告29歳のジョージ.ジマァマンは、フロリダ州のSYGLの権利を求めていないが、 単に「正当防衛である」と主張しているため、今年最も注目を集めている裁判である。当時、17歳の黒人のトレイボァン.マーチンは比較的グレードの高い住宅地に在住する父の婚約者の家に向かっていた。 近隣監視プログラムのキャプテンとして、近所をパトロールしていたジマァマンは、マーチンを怪しい侵入者と思い声をかけた。口論と取っ組み合いの末、マーチンはジマァマンに射殺された。その後、長期的な論争となっているメディアの報道には誤情報が多く、ジマァマンの発言にも一貫性がない点で、かなり混乱する裁判である。また、9人の陪審員は全て女性であるという点でユニークである。裁判は終盤戦を迎えが、彼らがこの事件の本質をどのように見ているのかが決定の鍵になると思われる。

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