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24日、オバマ大統領は、2008年に上院議員として、初めて主な経済問題のスピーチを行ったことがあるイリノイ州中西部のゲイルスバーグにあるノックス大学で、主にオバマ氏の二期目の議題である中流家庭の経済向上に焦点をあてたスピーチを行った。 それらの一部は、今年の一般教書演説で語った内容とオーバーラップするが、今回のスピーチの主要点は、中流家庭と富裕層との経済格差、中流家庭の経済的強化を目指すための経済ビジョン、それらのビジョンに基づくオバマ氏の取り組み、予算危機に関する共和党への警告などについて語った。

オバマ氏は、米国の経済は他の先進国より早く回復し、はるかに成長しているとの楽観的な見方を示す一方で、経済格差の原因について、 第二次世界大戦後と現在の違いを歴史的な観点から語った。 戦後、中流家庭は「アメリカの経済のエンジン」であったと述べ、懸命に働けば、公平な賃金や正当な受益があり退職後の預金も可能であった。そのため、子供達にも良い機会を残してあげることが出来た。しかし、時が経過するにつれて、そのエンジンは失速し、多くの家庭では、そのような保証がすり減っていると述べた。また、住宅バブルから経済危機に陥るまでの経過を語り、中流家庭が経済的な安全性を失ったことを強調した。時代の推移とともに高度技術が発達したため、時代遅れになる仕事もあり、グローバル競争で仕事が海外に移転し、国内の多くの仕事が失われたことなどについても語った。中流家庭のために労働組合が戦うことも難しくなったとし、組合の衰退は中流家庭が弱体化している原因の一つであると述べた。また、議会は、富裕層に大きな減税をするが、貧しい労働者の最低賃金を上げることを最小限度に抑えているとし、中流家庭が重要視された政治体制ではないことを指摘した。

更に、中流家庭の出費が減少するとビジネスも顧客を失うとし「経済格差は道徳的に間違っているだけでなく、悪い経済である」と述べた。更に、過去数年間、議会は此の問題を無視しただけでなく、悪化させたと批判した。オバマ氏は、経済的な不均等について「過去10年間の所得はほぼ全てトップ1%に流れている」とし、「2009年から、平均的な最高経営責任者(CEO)の収入は合計40%上昇している。一方、平均的なアメリカ人は1999年から収入が減少している」と語り、収入格差による経済状況はバランスがとれていないと指摘した。また、富がトップに集中すると不安定なバブルを膨らませ、経済成長を遅らせ、この国の基本的な要素が損なわれると述べた。

従って、中流家庭の経済的強化を目指すためのビジョンとして、未来の雇用拡大の為に教育への投資を強調した。具体的には、次の5年間で99%のアメリカの学校に高速インターネットを接続すること、教育費を下げること、全ての家庭の子供が通える質の高い幼稚園を構築すること、労働者の技術や訓練の機会を向上させることなどを提案した。また、貧困から抜け出せない人口層のために、最低賃金の上昇を提案し、現在の最低賃金はレーガン時代から続いている相場であるため上げる必要があると指摘した。また、 懸命に働いていても、十分な退職預金がないため、退職は生涯不可能であると感じている中流家庭の人達もいるとし、退職預金を試みる人達には税控除をしたいと述べた。更に、以前から複数の銀行が開始した住宅ローンの組み直しの強化や、全ての国民の医療保険の加入を強調した。オバマ氏は、オマバケアの経済的利点について、筆者が紹介した(21日投稿の「経済的なメリットがあるオバマケア」を参照)記事とほぼ同じ内容について語った。また、海外に移転した仕事を米国内に戻す必要があると述べた。更に、ソーラーや風力などの再生エネルギーおよび天然ガスを拡大して、エネルギー.コストを削減する必要があると述べた。

これらのビジョンを行動に移す努力として、超党派の姿勢で両党の議員と一緒に協議し、全ての人の意見を歓迎すると述べた。しかし、現在のように議会が行き詰まっている状態は認められないので、中流家庭を助けるためには、必要があれば大統領としての権力を駆使すると述べた。更に、オバマ氏は企業のCEO、慈善団体または個人、大学の校長、他に援助できる人達に経済回復を押し進めるため、電話討論を行うと述べた。また、地域の人達と論議する事は直接彼らの着想を得ることが可能であり、それが米国を強化する要であるとし、今後数週間は各地域で地元のアメリカ人と討議すると語った。 オバマ氏は自分の「提案に同意している共和党議員は沢山いるが、彼らは報復を恐れている。ある一部の議員は全ての提案を拒否している」とし、彼らは基本的に、一般のアメリカ人とは異なっているからであると述べた。

また、オバマ氏は、予算問題に関して、最近6ヶ月間の行き詰まりは更に悪化しているとし、共和党は優先すべき経済向上の努力に集中していないし、彼の発議権も妨害していると苦情を表明した。支出削減を強調するセクエスターは、雇用と経済成長を妨げ、教育、科学、医学研究への投資を損なうと指摘。共和党が予算危機を再発させないよう警告し、今年秋の終わりまでには新たな予算案に合意しなくてはならないと忠告した。更に、「オバマケア撤廃と支出削減は自分の経済計画でない」と宣言し、オバマケア撤廃の頻繁な試みは単なる「政治的なポーズ」であり、「野球のボールを打つ時は、目をそらしてはいけない」と、つまらない妨害があることを比喩的に警告した。

スピーチの最後に、「アメリカは世界最大の経済国としての地位に留まる」とし、大半のアメリカ人はどうすればそうなるかを理解していると述べた。また、「経済格差は引き続き増大し、富裕層(大企業)の金力はさらに政治を歪めるだろうが、それが我々のビジョンではない」と語った。また、大統領として、この国を労働者が報われる国にするために「残された1,276日をどのように使うか、その事だけが気になっている」と語った。

結論として、議会は今後しばらくの間、予算編成の論議に入る予定であるが、予算問題に関しては長い間、 健全な交渉が成立せず、オバマ氏と共和党指導者の間で意見が対立したままである。共和党は負債限度額を上げるなら、支出削減をしなくてはならないと述べている。一方、オバマ氏は、中流家庭の基盤を安定させる為には雇用拡大がポイントであるとして、そのためには長期的な道路や橋の修理などを含むインフラ整備を計り、および教育に力を入れるため教師の訓練と増員などに伴う雇用拡大のための支出を強調している。オバマ氏は、多くの共和党議員らは移民改正法案に取り組む意欲がある一方で、一部の議員らは、法案さえ受け付けないと指摘し、共和党には派閥があることを提起した。また、もし貴方が、このような派閥グループの議員に経済の議題について、中流家庭の経済を強化する方法を質問したとしたら、「手に負えない政府の支出」に話題をすり替えると議会の裏幕を暴露した。 オバマ氏の70分以上の本格的なスピーチは久しぶりであるが、スピーチ後、一部の共和党が批判的な反応を示したことは言うまでもない。

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