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議会で最終的に何らかの移民改正法案が成立する可能性があるとしたら、それは上院で通過した包括的移民改正法案を民主党が諦めて、下院が提案する一つ一つの法案に同意する以外にないかもしれない。そうでない場合、現在の状況であれば、上院法案は完全に死滅する運命にありそうだ。しかし、下院の細切れの法案に民衆党が同意できるのはあくまでも、 全ての不法移民に市民権への道が提起されているかどうかである。これが上院法案の最も重要なポイントである。

しかし、大半の下院の共和党議員は1,100万人の全ての不法移民に市民権を与えるとする上院法案に反対していることは広範に認識されている。共和党がこれを認めない理由は何か? それは下院の大多数の共和党議員は保守派の白人地域の出身であるため、不法移民のヒスパニックに市民権を与えても、投票は得られないと恐れているからである。最近はこの点をあからさまに語る議員が多くなっている。しかし、ヒスパニックの人口層および地域社会は全米で急速に拡大しているため、大半の共和党議員は著しいプレッシャーを感じているというのが真相である。特に、上院少数派の共和党リーダー、ミッチ.マコーネル氏は来年の議会選挙で再選されるかどうか大きな節目に直面していて、移民問題は彼にとっても死活問題である。

共和党がコントロールしている下院議会で、移民改正法案を制定する可能性があるとしたら、それは、下院多数派のリーダーであるエリック.カンター氏(写真左)とバージニア出身の共和党議員ボブ.グッドレット氏(写真右)が共同で約1ヶ月前に提案した不法移民の親または家族に連れてこられた子供達のみに市民権を与えることである。これは、民主党の歴史的なドリーム法案の改訂版のようなもので、暫定的に「子供法案(Kids Act)」と名付けている。この法案は、まだ起草が完了しているとは発表されていないが、カンター氏は今年数回、特別な事情があるこのような子供達には市民権を与えるべきであると繰り返し主張している。これに対する、共和党内の反応は二分している。この提案はドリーム法案とは異なり、1,100万人の全ての不法移民に市民権の道を開く必要はないため、大半の共和党議員は同意しているが、一部の共和党強硬派の議員はこの「子供法案」にさえ反対している。特に、アイオワ州出身のスティーブ.キング氏はヒスパニックの不法移民と麻薬密輸の関連性の懸念をあからさまに語り、ヒスパニック嫌いを前面に打ち出している。

上院の包括的移民改正法案が成立する見込がほとんどない理由は、両党の法案制定方法に根本的な違いがあること、共和党内で派閥があること、共和党は選挙でのメリットを第一に計算していること、下院議長ジョン.ベイナー氏のように多数派ルールを持ち出して、つまらない意地とプライドに固執している為である。7月31日にタウンホールの会合に出席し、下院の共和党が多数派であるかどうかは投票してみないと分からないと述べ、上院の包括的移民改正法案を投票するよう促したポール.ライアンの発言に反応して、カンター氏は「下院は上院法案を協議しません」と4日のFOXニュースで語っている。

従って、両議会で移民改正法案が成立する可能性があるとしたら、カンター氏とグッドレット氏が「子供法案」の起草を完了させ、これが下院で通過した時のみである。なぜなら、これを媒体として、両党で協議する第一歩になるからであり、この暫定法案が移民改正法案成立の望みの綱になるといったところである。おそらく、 移民改正法案が成立する可能性があるとしたら、民主党が大幅に共和党に譲歩する以外に方法はないと思われる。

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