アメリカの最新課題 Contemporary American Issues © 2016 Yuko’s Blog. All Rights Reserved.  

ストップ&フリスク(Stop and Frisk)のストップとは文字通り警察官が歩行者を呼び止めることであり、フリスクとはその呼び止めた通行者を衣類の上から 身体のほぼ全体を上から下まで軽くたたいて隠した武器などを捜索することである。米国では大多数の州がストップ&フリスクを実施しているが、現在ニューヨークが最も論争的である。

先週12日、ニューヨーク地方裁判所 のシラ.シャインデリン判事はストップ&フリスク慣行は憲法違反であると判定した。判事は警察にそのような慣行が認可される特定の状況を文書で明確にする政策を指示した。つまり何の証拠も無く、単なる感情でむやみやたらに歩行人を呼び止めて、体に触るチエックを行うのではなく、なぜ、どのように疑わしいのか、第三者が納得出来る理由を明確に表現しなくてはならないとし、明瞭で納得できる理由がない限り単なる感情で歩行者を呼び止め身体をチエックする行為は違憲であると決定した。

この判決に対し、ニューヨーク市長のマイケル.ブルンバーグ氏は、この慣行は密輸武器の対抗に貢献してきたとし、この慣行を止める意思はないため上訴する構えがあることを表明している。ニューヨークが特に論争的である理由は、ストップ&フリスクを受けた経験のある人物の大半は黒人およびヒスパニック系アメリカ人が圧倒的に多いことである。従って、この慣行は合理的な犯罪防止活動の根拠がないとの反発が強くなっている。18日、 CBSの日曜番組フェィス..ネイションに出演したニューヨーク警察長官レイ.ケリー 氏は、ストップ&フリスク慣行が憲法違反であるとする判決について、 何万人もの人権を侵害し、確実な情報と証拠もなく、単なる人種的観点からの理由が強調されていると不満を表明した。この慣行を擁護したケリー氏は、この判定の結果は間違いなくニューヨークの犯罪率を上昇させるだろうと予測している。

ニューヨークの警察官の行動を人種差別の観点から懸念を表明しているのはシャインデリン判事だけではないと言われている。ニューヨークの米国地方裁判所の報告書によると、警察官による任意的な呼び止めを受けた全てのケースの150,000件(6.71%)は合法的な根拠がない。加えて、任意的な呼び止めを受けた全てのケースの544,252件(24.37%)は合法性を明確にする詳しい文書が不足している。また、2004年から2009年までの ニューヨークのストップ&フリスクを受けたケースによる人種別統計は、白人が286,753(10.22%)、黒人1,445,472(51.52%)、ヒスパニックは841,755(30.00%)である。このような記録にも基づいて、不均等に黒人とヒスパニックが多いことが不審の要因になっている。

ニューヨーク.タイムス が2012年8月20日に公表した電話インタビューによる世論調査によると、ニューヨークを安全にするためストップ&フリスク慣行を「受け入れる」と答えた全ての成人は48%であり、この慣行は「過剰である」と答えた率は45%であった。人種別には、55%の白人が受け入れるとし、39%が過剰であると答えた。黒人の場合、35%が受け入れるとし、56%が過剰であると答えた。また、ヒスパニックは48%が受け入れるとし、過剰であると答えたのは44%である。しかし、ニューヨーク警察が白人と黒人に対して、「公平に対処しているか」という質問に対して、全ての成人の27%が公平に対処していると感じていて、59%が「白人には好意的である」と答えた。77%の黒人は、警察は白人に好意的と感じ、ヒスパニックの68%も同様に白人の方が好意的に対処されていると感じている。一方、43%の白人は白人が好意的に対処されていると答えた。警察から受ける差別感は黒人が最も多く、人種差による 大差が顕著である。

ストップ&フリスクは多くの州で実施されているが、ニューヨークが最も注目を集めている。一方偶然にも、過去10前から、ニューヨークは著しく犯罪が減少した大都市である事実も見逃せない。問題は憲法がどこまで警察官にこのような権威を与えているかを市民に明確に説明していないことであり、シャインデリン判事の判定はそれを裏付けている。また、人権の侵害と地域の安全性強化とのバランスを法的に明確化していく必要性があることは確かである。地域の安全性を維持することは重要であるが、この慣行だけが方法ではない。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。