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現在、国連の査察団はまだ調査中であるが、オバマ政権は、化学兵器を使用して数百万の無実の市民を殺害した責任はシリアのアサド政権にあると確信している。シリアに対する何らかの処罰的措置が論議されている折り、オバマ氏の考えや議会の意向はどうなのか、シリアの化学兵器に関する不明点、攻撃する場合の選択の可能性、シリアへの軍事介入に対する世論など、国際的に最も論争的になっているこの問題の現状について、幾つかの重要なポイントを知る必要がある。

オバマ氏は昨日PBS のニュース.アワーのインタビューで、シリアを攻撃するかどうかは決定していないと述べ、既に判明している「全ての証拠を検証した」と語った。反政府軍が化学兵器を所有しているとは思わないとし、反政府軍が毒性物質を搭載して運ぶことを可能にするロケットのようなシステムを保持している可能性はほとんどないとする見解を示した。シリア政府がそのような方法で毒物を運んだと確信しているが、もし、そうであれば国際的な問題に発展することは必然的であると語った。また、シリアに今後2度と化学兵器を使用させないため「強い合図を送る」必要があるとし、同時にシリアの「政権交代に外交的に取り組みたい」意志があることを表明した。

そのような必然性について考慮しているのはイギリス、フランス、他の同盟国であるが、特にイギリスは積極的である。29日のニューヨーク.タイムスによると、イギリスも米国と同様、反政府軍が化学兵器を所有しているという著しい証拠はないと結論している。イギリスのビッド.キャメロン首相は29日、同国の情報委員会の評価を公表するという異例のステップを踏まえ、先週致命的な化学兵器を使用し、多数の市民を殺害したシリア政府を批判した。また、国連安全保障理事会の委任があろうとなかろうと、人道的見地からシリア攻撃に関する法的推論を打ち出した。キャメロン氏は、反対意見にも直面し、国連の査察団の調査結果を待つことを示唆している。英国政府は、軍事行動を承認するための決議案を議会に提出したが、その後の決定については、おそらく来週の投票の結果次第であると述べている。

これは米国の議会とほぼ似たような状況である。オバマとキャメロン両氏は、いずれもシリア政府に対する責任を追求する意向はあるが、両国は証拠を国民に提示する必要性を考慮している。米国の議会はオバマ氏に、攻撃する前に「議会に相談」し、議会の承認を投票で得るよう要請している。下院議会の共和党98人及び民主党18人は署名入りの手紙をオバマ氏に送り、シリアに対する軍事行動を決断する前に議会の認可を得ることを緊急要請した。手紙は議会の認可なしで軍事行動を決定することは「憲法に叙述されている三権分立に明らかに反する」と警告している。また上院議長のジョン.ベイナー氏もシリア攻撃に関して、軍事攻撃の効果や結果など10以上の質問をオバマ氏に提示し、全質問の解答を要求している。

もし、米国議会が軍事行動を認可した場合、巡航ミサイルを使う可能性が論議されている。環境汚染を防ぎ、これ以上シリア国民の被害者を出さないため、化学兵器が保存されている施設を避けて、化学兵器を運搬するロケットなどの装置がある軍事施設をターゲットにすることである。化学兵器によるシリアの大量殺戮はアサド政府に責任があるとの疑いは濃厚であるが、まだ2つの疑問が残されている。それは、実際誰がシリアの化学兵器を支配し、保存しているのか。また、毒物をロケットに搭載し、それを発射することを命令したのはアサド自身なのかという点である。現時点では、オバマ氏は全て明白になるまで短絡的な行動は取らないことを明白にしている。29日のAP通信によると、国連事務総長のバン.キムン氏は専門家が国連加盟国と安全保障理事会に調査結果を提示するまで任意の決定を差し控えるよう欧米諸国に要請した。

シリア攻撃に対する世論は否定的であるとの印象がある。米国の大多数の国民は 、シリア攻撃の事前認可をオバマ氏に要請した議会がどのような結論を出そうとシリア攻撃を支持していない。26日のワシントン.ポストによると、 シリアに対して「軍事介入」を支持している国民はわずか9%である。 更に、シリアの大統領バッシャール.アサドは、如何なる攻撃に対しても対抗する意志があることを西洋諸国に警告した。多くの中東諸国は シリア攻撃反対の白熱したデモを行っている。西洋諸国では、特にキャメロン首相がシリア処罰に積極的であるため、イギリスのロンドン(上部写真)では一般市民が反対運動を展開している。

結論として、シリアは化学兵器を所有している可能性があることが論じられているが、化学兵器による大量殺戮の背後に誰がいたのか決定的なことは一切判明していない。そのような現状であるため、オバマ氏は、制限のない紛争には関与しないことを明確にしている。米国の多くの議員も投票で決定することを希望しているようである。また、米国やイギリスの国民がシリアへの軍事介入に反対する理由は、 前大統領ジョージ.W.ブッシュおよび前首相のトニー.ブレアにイラク戦争の動機はイラクが大量破壊兵器を所有していると偽りを伝えられ、8年以上の長い戦争に資源を枯渇させた苦い体験をしているからである。

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