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オバマ政権が議会に承認を要請しているシリアに対する懲罰的な攻撃は良い政策であるかどうか判断しにくい要素が幾つかある。その理由は、アサド政権に責任があると主張している確定的な証拠がない、両議会の議員の大半は確信がないためもっと多くの情報を必要としている、 宗教界の大物が強烈な反対を表明している、国民に反対ムードがあるなど、シリア攻撃決議案の決定を近日中に求めることには無理がある。

その最も重要な点は、8月21日の化学兵器により約1,400人が死亡した事件の背後にシリアの大統領バッシャール.アサドがいるとオバマ政権が主張していることである。しかし、実際には誰が毒ガス攻撃を命令したのか確定的な証拠が提示されていない。これは、多くのメディアが指摘し、多くの議員も肝心なことが不明であると述べている。使用された化学兵器はサリンガスであったという科学的な見方が濃厚である。しかし、誰がその背後にいたのかまだ判明していない。7日のロイター通信によると、連邦政府および情報当局は誰が毒ガス攻撃を命令したのかまだ調査中であり、ダマスカス郊外でのサリンガス殺戮とアサド政府およびその周辺とのリンクが発見されていない。

今朝のCBSニュースのフェイス..ネイションによると、シリアの大統領バッシャール.アサドと直接インタビューしたベテランのジャーナリストであるチャーリ.ローズ氏は、ベイルートからの電話で番組の司会者であるボブ.シーファー氏と対談した。ローズ氏の話によると、アサドは、自分自身が8月21日の背後にいることを否定し「自国民に対して化学兵器を使用したという証拠はない」と語ったという。またアサドはシリアが化学兵器を所持しているかどうかに関しては肯定も否定もしなかったようである。しかし「米国は証拠を提示するべきだ」と警告し、米国が攻撃をした場合、シリア政府軍隊は弱体化することを恐れていると語ったという。

議会の大半は上院および下院とも、シリア攻撃の決議案への投票に消極的であることが判明している。特に共和党でコントロールされている下院では多くの議員がこの決議案には懐疑的である。ニューヨーク.タイムスが9月5日に調査し、7日に公表した議会の意見は、上院の場合支持している人は25名、反対者は18名、未決定者は57名、不明な人物は0である。一方、下院議会の場合、支持者は40人、反対者は153人、未決定者は211人、何らかの理由で不明者は29人いる。今朝8日のアルジャジーラの英語ニュースでは、上院議員で支持しているのは23人、反対は27人、未決定の上院議員は丁度50%の50人である。下院議会の場合、支持者はわずか25名であり、182名は全て未決定であり、他220人以上が反対している。この未決定の議員の90%を獲得しない場合、決議案は可決しないと言われている。

なぜ多くの議員が決定できないのか?上院少数派リーダーのミッチ.マコネール氏は、アサドに責任があるとして罰するには証拠がないため、もっと情報がほしいと述べている。サリンガスを使用したのはシリア政府でありながら「反政府軍が使用した」と主張することで米国の軍事行動を奨励しているとの疑いもあるが、その点も説明可能な確定的な証拠がない。また、共和党の大半は、シリアの反政府軍にはアルカイダおよびアルカイダに関与しているグループなどシリアには悪い人間が多いとして、アサド政権を攻撃することでテロリストを援助する結果になることを恐れている人達が多い。しかし、シリアの反政府側で戦っている人達は一体何者なのか、誰も詳しく説明出来る議員もいないようだ。

シリア攻撃の決議案に対する反対ムードを煽る心理的要因は他にもある。宗教界の大物が強烈な反対を表明している。昨夜は、シリア攻撃に反対する平和集会がバチカンのセイント.ピーター広場で開催された。推定100,000人の参加者は平和の祈りをこめた静かな通夜集会に参加し、シリア攻撃が平和を維持する方法ではないと訴えたという。8日のアルジャジーラの英語ニュースよると、これはフランシスコ.ローマ教皇が米国のシリア攻撃による軍事行動に反対するデモンストレーションとして、静かな祈りを捧げるため大衆に呼びかけたことに反応したものである。フランシスコ教皇は、スピーチで平和を嘆願し「制圧と権力」にとらわれた行為は戦争で神が創造したものを破壊すると批判し「暴力と戦争は決して平和への道ではない」と語った。

バチカンの大物が率いるデモ抗議が、米国の議員と国民にどのようなインパクトを与えるかどうかは不明である。イラクが大量破壊兵器を所持しているとの誤情報を基に、ブッシュ政権が 2003年にイラク戦争を開始したような同じ過ちを繰り返したくないというのが大半の米国民の心境であると言われている。また、なぜ、米国だけが単独の軍事行動をとらなくてはならないのか? 米国は予算不足と言っているのにシリア攻撃の資金はどこからくるのか? オバマ氏はシリアを攻撃することにその結果も含めて、本当に自信があるのか?など多くの疑問を抱えている。そのような理由により、大半の国民は反シリア攻撃ムードである。総体的にシリア攻撃の決議案はつかみどころがない印象が強い。

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