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16日の朝、 ワシントン海軍工廠で起きた銃乱射事件の襲撃者アロン.アレキシスはニューヨークで育ち、テキサス州のフォートワースに住み、米国国防総省の下請け会社であるコンピュータ会社の契約社員であった。暴力的なオンラインゲームに凝っていたという情報もあれば、もっと平和的なイメジーの仏教徒であったとの情報もある。犯人は昨日の銃撃戦で死亡したため、その動機はミステリーである。警戒厳重な歴史的名所で起きた乱射事件は、一際センセーショナルな反響があると同時に幾つかの隠れた問題を提起している。

ワシントン海軍工廠 (Washington Navy Yard)は、ホワイトハウス(White House)から約4マイル、議事堂から2マイル離れたワシントンDCの南部に位置する。(地図参照)1799年10月に連邦政府によって設立された米国で最初の米軍の施設である。 歴史的な名所として、米国の海軍作戦部や海軍歴史センターの本部があり、広い敷地内には文化、科学、行政関係の建物がある。しかし、歴史的な名所ではあっても観光地ではなく、むしろ警戒は厳重である。17日のAP通信によると、 40エーカー以上の敷地内は複雑に入れ組んだ建物と外の通路には武装した護衛およびメタル探知機などが配備された完全警備体制であり、従業員は全てのドア及び門でIDを提示しなくてはならない。海軍工廠全体の職員は18,000人であり、 現在は通称、ワシントン海軍基地と呼ばれている。軍人関係者は適切なIDを保持していれば基地内に自由に入ることが可能である。アレキシスは防衛省の契約社員として有効なIDを利用し、敷地内にアクセしたようである。

アレキシスは人種差別を受けていたこと、警察に2回尋問を受けたことなどの苦情をもらしていたという。また、偏執病、不眠、何らかの声を聞くなどの精神障害があり、8月から退役軍人の施設で治療を受けていた。また、APによると、負傷者は8名であり、その内の3人は警察官であり銃撃による傷を受けている。また、2名は女性の市民であると判明した。死亡した12名の被害者は46歳から73歳の範囲である。アレキシスは、散弾銃、拳銃、AR-15アサルト.ライフルを所持し、単独犯行であると法務執行当局が決定した。襲撃は基地内のどこで始まったのかは不明であるが、3,000人の従業員がいる海軍作戦部の本部の建物に侵入し、4階のメイン.フロアに向けて銃を発射したとの説もある。4階にはカフェテリアがあり、朝食をとっていたある目撃者は最初3回銃声を聞き、数秒後に4回銃声を聞いた後、逃げ出したと証言した。銃乱射が始まった時、本部および他の建物内に何人の労働者が居たのか不明である。

また、アレキシスが所持していた3つの武器のうち2つは入手方法も不明である。アレキシスは、ワシントンから15マイル離れたバージニアにある武器業者から、前日に散弾銃のみ購入したことが判明しているが、拳銃やAR-15アサルト.ライフルは敷地内の軍用武器庫で入手したか、または警察官から奪ったのではないかと推測されている。AR-15は昨年7月のコロラドでの映画館で12名が死亡し、70名が負傷した時の銃乱射事件でも使用され、12月のニュータウンでも使用された武器であるという。

まだ不明な点も多い事件であるが、米国人には精神的な問題を抱える人口層が多いことが指摘されている。銃乱射事件は先進国のどの国より20倍高く、12月のニュータウン後からすでに約6,000人が死亡している。 最も重要な課題は、精神障害者のバックグランド.チエックが監督不十分である事である。APによると、アレキシスは、解雇されたのではなく、4年間軍隊の正職軍人として2011年に退職を許可された。昨日の事件直後、米国海軍長官のレイ.メイバス氏はアレキシスが襲撃した時点でもまだ契約社員であったかどうかを知らなかったとの発言をしているが、上層部が政府関係の契約社員をほとんど掌握していないことを示唆している。エドワード.スノーデンは精神障害者でも殺人者でもないが、米国安全保障局の契約社員であった。今度の事件は、契約社員に対するセキュリティ.システムに何らかの落とし穴があることを示唆している。また、軍隊施設での精神科医の治療を受けていたアレキシスが放置されていた可能性がある。銃規制論争では頻繁に精神障害者に焦点をあてる対策を提起しながら、ワシントン海軍工廠でのセキュリティ.システムは、アレキシスが退役軍人の医療施設で精神障害の治療を受けていたことを認識していない。

別の大きな問題は、銃購入者の完全なリストは全米ライフル協会 (NRA)が保持し、連邦政府が保持していているのは、連邦政府認可の武器業者が提供する情報およびFBIやNCIS (海軍犯罪捜査局)など各種の法務執行機関がアクセス可能な独自の情報があるだけである。一方、NRAは 莫大な量のデーターベースを収集していることは知られている。しかし、その特権を政府に与えることに猛烈な反対をしているため、常識的なバックグランド.チエック法案にさえも反対している。更に、ニュータウンの小学生殺戮事件後、国レベルでの銃保持者のデーターベースを作成する提案があったが成立していない。仮に、アレキシスのように政府関連の施設で勤務していた精神障害者のリストがあったとしても、 連邦政府は統合した完全な銃購入者のリストを保持していないため落とし穴がある。連邦政府関連施設で長く働いていた精神障害者が、簡単に警戒厳重な歴史的海軍基地に侵入し、12名を殺害した事件を未然に防ぐことが出来なかったことは明確である。

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