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政府閉鎖の7日目を迎えた今日、オバマ氏は債務限度引き上げの妥協案も提示したが、下院の共和党らが政府を再開させる動きはない。連邦政府の閉鎖は、資金の継続決議と債務限度引き上げの二つの問題で、その財務交渉に関する解釈のずれが主な長期的要因であり、一部の極右派の理不尽で無謀な要求が直接的な原因である。

資金の継続決議はCR (Continuing resolution) と呼ばれる法案であり、議会の会計年度末までに連邦政府の各機関に資金を提供することで現存するプログラムを引き続き運営するプロセスのことである。二つ目の債務限度引き上げとは連邦政府の借り入れ金額を法的に制限することであり、財務省が国の負債を支払うためのプロセスである。これは、すでに議会が認可または支出したものに対して財務省に支払いの認可を与えることである。このプロセスが遅れると債務不履行になり、株式市場が急減し、米国の信用格付けが低下するなど金融危機に直面する可能性がある。

オバマ氏は今日、米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)を訪問し、季節的なハリケーンの災害が懸念されている現在、FEMAはセクエスターの影響を受けている一部であるため、政府が閉鎖したままの現状では十分な対応ができないと語り、即刻政府を再開するよう議会に呼びかけた。また、オバマ氏は 、 債務限度引き上げは1年間継続可能であることを希望していたが、債務不履行を回避するため短期も受け入れるとの妥協点を表明した。従って、様々な条件をつけないクリーンCR法案と債務限度引き上げに投票するよう緊急要請した。

下院議長のジョン.ベイナー氏は、下院の民主党がクリーンCR法案に投票を促しているため、投票しても「十分な票はない」と反論している。また、「大統領は交渉しない」ため結論は出ないと繰り返し同じことを述べている。オバマ氏は今朝FEMAの事務所で、 「ベイナー氏は、大統領は交渉しないと述べているが、問題は私が交渉し、譲歩するというような課題ではないことだ」と反論した。また、「私は現在の脅しの状況下では交渉しない」と断言し、 脅しや条件のない「クリーンCR法案と債務限度引き上げに投票し、政府が再開したら、様々な協議を行う」と語った。また、17日までに債務限度引き上げをしない場合「政府の閉鎖よりもっと壊滅的な経済的ダメージを受ける」と警告した。また、投票しても「支持票はない」と言い逃れしているベイナー氏に対して、「十分な票はある。証拠を見せなさい」と圧力をかけ、「今日投票し、国民と国の利益のため政府を再開する」よう請願した。

これらの二つの問題に関して、オバマ氏とベイナー氏の間で長期的な意見の対立が続いていて、本質的に交渉は不可能な拮抗状態である。第一期目の過去4年間は、頻繁にオバマ氏が譲歩してきた。オバマ氏は、債務引き上げは既に議会が支出または承認したものに対して、支払うためであると述べている。また、赤字を増大する性質のものではないため大統領が交渉し、譲歩するという性質の議題ではないと繰り返し説明している。従って、CR法案と債務引き上げの決定は議会の責任であるため、様々な条件をつけないで投票することを要請している。議会がこの責任を果たし政府を再開させた後に、医療改正法であるアフォーダブル.ケア.アクト(ACA、通称オバマケア)も含め、税改革、更なる赤字減少、規制緩和などの交渉を行うと繰り返し説明している。

一方、ベイナー氏は、債務限度引き上げの条件に様々な福祉プログラムを大幅に削減することを主張し、負債限度引き上げの期限である10月17日前に交渉しない場合、政府は再開できないと非常に無謀な主張をしている。その条件とは、社会保障とメディケアの民営化、フードスタンプの削減、メディケイド拡大阻止、退職年金適正年齢の大幅な引き上げである。更に、単純な資金のCR法案に対して、一部の極右派はACAを盾にとって政府を閉鎖に追い込んだ。オバマ氏はこのような卑劣なやり方に対抗する姿勢を強めたため、彼らも一歩も譲歩しないという最悪の事態に至った。当初、ベイナー氏はこのようなアプローチは間違いであることを指摘していたが、政府への融資と ACAの融資停止を結合させた法案が下院で通過した後に態度が変わった。しかし、本質的には一貫性がない。

昨日、CBSのFace the Nation に主演した上院共和党の主要人物の一人であるジョン.コーニン氏に対して、番組のベテラン.ジャーナリストであるボブ.シーファー氏は、CR法案にACAの融資停止や延期条件を加えることは従来の正常なプロセス(クリーンCRを通過すること)ではなく、共和党の手段は「僕に$20をくれないなら煉瓦を君の窓に投げるよと言っているのと同じだ」と指摘した。ACAが原因による政府閉鎖に関する対談で、「それ(ACA)は議会が通過させました。なぜ、政府を運営し続け、皆が座ってそれについて何をしたいのか決めないのですか」と質問した。コーニン氏は、この質問に答えず、「交渉はあるべきです」と述べ、ACA下では議会メンバーは国民とは別の待遇になっていると指摘した。シーファー氏は、「私個人の希望リストが法案に添付されない限り、政府への融資はありえないと言っているのは何か間違っていませんか」と指摘し、「私は、 国立研究所が癌の治療法を発見するまで政府に資金を提供する法案に投票しないと主張することができるとは思いません。今起きていることはこれと同じような類いのものではないですか」と指摘した。

政府閉鎖の一因はシーファー氏が単純明快に解釈したとおりであり、このような無謀な例は米史上類がない。1995年から1996年初期の政府閉鎖は、当時のクリントン大統領と共和党との間で予算削減に関して合意が得られなかったため、当時の共和党下院議長であったニュート.ギングリッチ氏が債務限度の引き上げを拒否し政府閉鎖を誘導した。しかし、今回の直接的な政府閉鎖の要因は、すでに議会が制定し、最高裁が合憲と判定した厳然たる法であるACAを極右派が嫌悪しているという理由だけである。この法の提唱者であり、民主党の大統領に対して、彼らの極端なイデオロギーを押しつける事自体が最初から間違っている。

正常な交渉を不可能にしている議会風潮の変化は、オバマ氏が大統領に就任した直後に台頭したティパーティ運動に起因する。現在、約35州でティパーティ運動に同盟している多くの共和党議員らは、減税、小規模政府、規制排除などを掲げていて、初の黒人大統領の誕生に異様な抵抗を表明してきた。ここ数年、上院および下院ともに共和党の間には、従来の保守派とティパーティ議員との間に大きな亀裂が生じている。今年1月上院議員に就任したばかりで巧みな雄弁家であり、無政府主義者と呼ばれているテッド.クルーズは上院議会の共和党リーダーのように振る舞い、ACAを盾に、ボブ.シーファー氏が解釈したような理不尽で無謀な政府閉鎖の戦略を先導した。党内で勢力を増した彼らの圧力に脅えているベイナー氏もクルーズの「操り人形」であると言われている。従って、米国議会は歴史上記録的な硬直状態に達し、前代未聞の機能不全を露呈している。

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