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ケンタッキー州のルイビルにホテル.ルイビルという名称のユニークなホテルがある。薬物常用者とホームレスの回復および職業訓練プログラムを提供する訓練所および避難所を兼ねたホテルである。ここで生きる人達は、清潔で安全な環境に無料で住み、「雇用治療プログラム」に基づいてホテル内のあらゆる仕事に従事するという、米国では他に類のないホームレス援助施設である。

このホテルを取材したアルジャジーラによると、外側に白の十字架が刻まれている煉瓦状構造の12階の建物には187の部屋がある。2009年、抵当流れで競売されたホリディ.インのホテルであったという。これを購入したのは1957年に設立されたウェイサイド.クリスチャン.ミッション(WCM)である。宗教関係者の発想らしく、しばらくホームレスの避難所として利用していたが、以前、ホテルであったことを知っている旅行者が宿泊を求めてロビーに到着する頻度が高かったため、ホームレスの避難所だけでは経費が重なったため空室を利用することになったという。

WCMが2009年にホームレスの避難所としてオープンした年の11月、83人のホームレスの女性がホテルに入居した。その後すぐ高熱費が重なり、多くの部屋は空室だったため、一般客にも部屋を公開した。グランド.ピアノが置かれたロビーの高い天井はスキー.リゾートを想像させるような雰囲気があり、木造壁のクラッシックな落ち着いた内装であるという。各部屋は清潔でエアコン、テレビ、小さな机などの設備が整っている。4年後、ホテル.ルイビルは多くの点で「あり得ない成功」を遂げた。無料で薬物常用者やホームレスを援助する一方で、宿泊客と宴会により利益的なビジネスに発展した。

最初一泊$120で値段を設定したが、地元の市場平均価格には高過ぎるとして$39に減少させたがこれは安過ぎるとして値段は数回調整されたようである。現在、薬物常用者やホームレスが無料で利用している部屋は$49であるという。4、5、6、11階にある部屋はホテルというより小さいアパートのような個人の住まいであり、老若男女、白人、および黒人の 96人から162人の薬物常用者やホームレスが住んでいる。ほとんどが女性で、その中には子供のいる家族もある。また、限られた数の男性もその中に含まれている。薬物常用者は家族ベースで治療回復プログラムを利用することが可能であり、子供のいる家族は育児や他の活動を含めて個人の部屋を提供されている。

ホテルには薬物常用者やホームレスの為のカウンセリング及び職業訓練があり、キリスト教関連の宗教的な行事、および黒人のために奨学金を奨励した資金集めの催しもある。仕事の訓練を受けた個人は別のホテルで働くことも可能である。カウンセリングの経験のあるホテル.ルイビルのマネージャーであるバージニア.テイラーは22年前、薬物中毒者であった。現在、ホテルの治療回復プログラムの監督を務め、宗教的な行事も担当している。薬物常用者やホームレスはカウンセリングや職業訓練を受け、同ホテル内のマネージャー、カウンターの受付、ウエイトレス、客室の掃除、宴会の配膳、洗濯係、皿洗いなど多岐におよぶ仕事に従事している。しかし彼らは、光熱費や食費も含めて無料で滞在している立場であるため、彼らは給与の代わりにギフトとして1時間あたり50セントから1.50ドルを受けているだけである。

ホテル.ルイビルは慈善家、非営利事業家、地元の政治家、歓待サービスの専門家、ビジネス.リーダーや学者の支持を集めているという。 安全で清潔なホテルをホームレスに提供する人は誰もいないと歓待サービスの専門家は述べているという。現在、治療回復および職業訓練プログラムを提供する避難所と一般に公開されたホテルを兼ねたホテル.ルイビルの需要は高くなっているという。WCMによると、このようなプログラムの年間の予算は340万ドルであり、政府契約の仕事および寄付から歳入を得ているという。

ホテル.ルイビルに滞在している薬物中毒者、ホームレス、失業者は、別人のようになり、職業訓練を得たため就業に成功している。また、自殺を図ったことのある薬物中毒者、ホテルの労働者となった人達、回復または訓練後に結婚し別の職場で成功した人は、過去の自分を自覚できないほど向上し変わったと述べている。また、現在マクドナルドの交代制のマネージャーであるバーバラ.カーターは、ホテル.ルイビルで13ヶ月間「雇用治療プログラム」を受けた後アパートを見つけることが出来たという。彼女は、自信、責任感、社会のメンバーとしての生産性を学ぶことに役立ったとし、「WCMがなかったら、自分は今頃どこにいるかわからない」と語っている。

寒い冬の季節は、多くの地域でホームレスを避難所に移動させる活動が行われているようである。ホームレスの避難場所は、市が融資する緊急避難所、納税者の助成金によるホテルかモテル、慈善団体がホテルと提携した部屋、教会の一部の敷地、宗教団体または企業が経営するアパートの空室やホテルなどが一時的な避難宿泊所として一般的に利用されている。毎年200万人の子供がホームレスを体験すると言われている。クリスマス.シーズンは、特に子供を持つホームレスの家族を援助する時期でもあるが、ホテル.ルイビルのような施設は異例である。

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