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下院議長のジョン.ベイナー氏は暫定的な移民改正法の基準を先週公表したばかりであるが、それから1週間後の6日、共和党とオバマ大統領との信頼関係に問題があるため、移民改正法を推進することは出来ないと記者団の前で抽象的な発言をした。これを受けて、昨日上院民主党は、今年までに制定することを目指すよう呼びかけた。

ベイナー氏は、移民の問題には対処する必要があるため、多かれ少なかれ、共和党は1月30日に発表した移民改正法の概要を支持しているが、今年制定することは難しいと述べた。またアメリカ人の信頼を築くために「常識的で段階的なアプローチが必要である」と語った。更に、「率直に言うなら、もっと大きな障害は我々が信頼という問題に直面していることである」と述べ、「我々のメンバーも含めてアメリカ人は、 我々が語っている改正法が意図した通り施行されるか信じていない。大統領は大統領が好きな様に医療改正法も変え、 自分の方法で行動すると皆に言っている。大統領は不信の種をまいている」と感情的な発言をし、民主党を落胆させた。ポール.ライアン氏やマルコ.ルビオ氏はオバマ大統領が国境の安全性を強化できるとは思わないと語り「大統領を信頼していない」と公然と表現している。

つまり、ベイナー氏は、下院議会は共和党が大統領への信頼を回復するまで移民改正法に対処しないと非論理的な発言をしている。これを受けて、9日、上院議会で昨年6月27日に通過した包括的移民改正法案の8人の起草者の一人である、ニューヨーク出身の民主党議員チャック.シューマー氏は、NBCのMeet the Pressに出演し、今年移民改正法を通過するよう共和党に要請した。シューマー氏は「今年法を施行させよう。単に、大統領が任期を終える2017年まで始めないというようなことは止めよう」と呼びかけた。また、大統領に対する「批難は間違っている。彼は、他のどの大統領より多くの人々(不法移民)を強制送還している」とオバマ氏を弁護した。また、特に国境の安全保障問題になると、「オバマ氏は法を効力的に施行しないのではないかと共和党は疑いを抱いているが、これだけが共和党がためらっている原因である」と指摘した。しかし、2015年以降、大統領予備選挙が近づくに従って、選挙キャンペーンで多忙になるため、今年中に移民法を制定する必要があると力説した。

ベイナー氏の態度が頻繁に変わるその原因は一体何なのか?オバマ大統領が国境の安全保障を施行できるかどうか信用できないので、移民改正法を推進しないという理由は都合の良い矛盾した建前論である。オバマ氏は前代未聞の強烈な強制送還を認可した初の大統領である。国境の安全保障は過去のどの大統領より強化され、2009年から2012年までには記録的に不法入国者数は減少した。ベイナー氏の本音は、上院民主党多数派のリーダー、ハリー.リード氏や他複数の民主党が指摘した通り、ベイナー氏はティーパーティを恐れているからであり、ベイナー氏の風見鶏的な政治姿勢の最大の原因はティーパーティである。1月30日に移民改正法の基準草案を発表した数日後、議事堂前でティーパーティの熾烈な抗議が始まった。彼らは実際、今年の中間選挙でベイナー氏をターゲットにしている。民主党の政策に妥協すればするほど、その脅しは激しくなっている。

保守派は一般的に、不法移民に市民権および合法的地位を与えることを快く思っていない。特にティーパーティは市民権を与えることに対して、米国の人口動態的な変化を恐れていると言われている。しかし、ベイナー氏は、正統派の共和党と極右派のティーパーティとの板挟みになっていることも確かである。ベイナー氏自身も述べている通り、彼の仲間および共和党外部機関のリーダー達はほとんど移民改正法を支持している。1999 年から 2007年まで共和党下院議長であったデニス.ハスタートの元スポークスマンのジョン.フェリー 氏は、「かなり的確に将来を予測することは難しいですが、これだけは言えます。もし、我々が今年移民改正法を通過しない場合、我々は2016年、2020年、又は2024年にホワイトハウスを取り戻すことはできません」と述べている。

ベイナー氏は移民改正法で各方面からのプレッシャーに直面していると思われるが、基本的には決断力に乏しい弱いリーダーであるため、いつも態度が変わるが、特に移民改正法に関してはその優柔不断さは甚だしい。下院議会で今年移民改正法を通過しない場合、上院で通過した 包括的移民改正法案も無効になるため、おそらく、オバマ氏が任期中に通過する可能性は著しく減少する。ベイナー氏の移り気と優柔不断な態度が下院共和党の人気を低下させる原因になるばかりか、移民改正法は米国にとって最も重要な課題の一つであるため、フェリー氏が予測している通り、2016年の大統領選挙では共和党が敗北する可能性があると思われる。

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